世界トップクラスの優雅なクロノグラフ – ボーム&メルシエ Ref.1919

クロノグラフ、トリプルカレンダー、そしてムーンフェイズ。これほど多機能でありながらそれを上回る優雅さを振りまくボーム&メルシエのRef.1919について。


Written : LIVE IN RUGGED
Photo : HODINKEE

黄金時代の卓越した技術を堪能できる

清潔感溢れるシルバーカラーの文字盤。そこにセットされるトリプルインダイヤルと4つの針。そしてカレンダーとデイト表示に加えてムーンフェイズまで…。複雑機構の代表であるクロノグラフ機構意外にトリプルカレンダーとムーンフェイズまで同時に搭載する腕時計は決して珍しくはないが、ボーム&メルシエのRef.1919ほど優雅なルックスにまとめているモデルはほとんどないだろう。
ゴールドの針は背後の文字盤と素晴らしい相性をもたらしている。完璧なバランスでセットされた3つのインダイヤルと、濃紺と濃いゴールドにペイントされたムーンフェイズは、ヴィンテージウォッチのお手本のような完成度だ。
ボーム&メルシエの歴史は1830年まで遡る。ルイ=ヴィクトールとセレスタン・ボーム兄弟がスイスのジュラ地方にあるレ・ボアという村に開いた時計工房が名ブランドの始まりだ。現在まで続く「妥協を許すことなく、最高品質の時計だけをつくる」というモットーを忠実に表した時計作りはすぐに評価され、19世紀後半にはロンドンに最初の支社「Baume Brothers」を設立。間もなく世界各地で知られる時計メゾンとして名声を確立することとなる。
ボーム&メルシエは複雑機構を得意とするメーカーとして知られているが、実は20世紀に入る以前からクロノグラフとグランド・コンプリケーションモデルで高く評価されていた。1892年にはロンドン近郊にあるキュー天文台で行われた大会で、トゥールビヨン機構を持つクロノメーターで入賞。何とその記録は10年以上破られることはなかったという。
Ref.1919は50年代に作られた同社の複雑時計の代表格であり、世界的に見ても腕時計の黄金時代の真っ只中に生まれた傑作でもある。


まさに完璧なバランス。控えめなブランドロゴの上には曜日/月を知らす小窓が。

クロノグラフ特有の細かいダイヤルだが、視認性がまったく損なわれていないことがよく分かる。

この時計を手に入れることは、宝物を毎日身に着けられるということ

現代よりも遥かに手作業がメインだった50年代の腕時計。しかもクロノグラフ、トリプルカレンダー、ムーンフェイズという複雑機構の代表格を3つも備えたモデルである。当然内部機構の複雑さも凄いことになっているだろう。それは故障時にメンテナンス代が高くつくデメリットもあるが、しっかりとメンテナンスされた個体であれば神経質にならずに日常使いが可能。
何よりも、これほど手の込んだヴィンテージウォッチを手に入れるということは、宝物を毎日身に着けられることと同じことだ。ちなみにムーブメントはかの有名なバルジュー72の兄弟機と言えるバルジュー88を搭載。パーフェクトなルックスを持ち、心臓部まで名高い名機を積む複雑時計…ボーム&メルシエのRef.1919は5,800ドルでソールドアウトになっているが、本質的な価値を考えると望外に安いと言って良いだろう。


ケースサイズは35.5mmと若干小振りなのでユニセックスで使える。着用時のバランスもため息が出るほど美しい。

斜めから見るとプラスチック風防のぷっくりとした盛り上がりが確認できる。ケースはエッジがしっかり立っている。

優雅を極めた贅沢な複雑時計

もし同じ仕様の腕時計を新品で手に入れようとネットで検索したら、もしかするとあなたはガッカリするかもしれない。なぜなら、このRef.1919ほど優雅で美しいモデルの新品は存在しないか、存在しても非常に高額だからだ。
厳密な精度は新品とヴィンテージでは勝負にならないが、古い腕時計には特有の暖かみがある。Ref.1919は腕時計黄金時代に当時のデザイナーや職人たちが腕を振るって完成させた非常にハイレベルな複雑時計であり、機能的にも美的観点からも世界トップクラスのモデルなのだ。そこには物理的な豊かさだけではなく、精神的な贅沢さがある。

ITEM CREDIT
  • Baume & Mercier:1950’s Reference 1919 Triple-Calendar Chronograph With Moon-phase

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