Wonderful slow life with a classic Mini

クラシック・ミニで素晴らしいスローライフを

充実したカーライフを送るには最新の高級車じゃないといけない?とんでもない。クラシック・ミニが一台あればあなたの人生はバラ色に輝く。


Written : LIVE IN RUGGED
Photo : NET CAR SHOW

せっかく買うなら楽しいクルマに乗ろう!

10代の頃からクルマ好きだった私にとって、クルマ選びにほとんどこだわりを持たない人たちが昔から不思議だった。見た目や運転時の楽しさにはあまり目を向けず、燃費の良さや税制面でどれだけ優遇があるか、極論を言うとトータルで安く収まればOKという価値観で選ぶ人が日本にはとても多い。または、こだわる人はブランドやイメージばかりに目を向けて、本質的な魅力を見ることなく高級車を選んでいるようにも見える。これは少しうがった見方や先入観も入っているかもしれないけれど、意外なほどこういう人たちが日本には多い。
家を除くと自動車は2番目くらいに高額の買い物だ。それくらい高い買い物なのにこだわりを持たないというのは不思議なことだし、これほどの自動車大国なのに興味がまったくないのも不思議なことだと思う。もちろん、日本という国がクルマを所有するには不利な面が多いという理由もあるだろう。意味不明とすら思える税金を多く支払わなければいけないし、国産メーカーが作るクルマはどれも似たような軽自動車やエコカー、ファミリーカーばかり。それらが悪いとは思わないものの、あまりに没個性的だ。
例えば海外にはクラシックカーの税金が軽減される国がある。古いクルマの文化的側面を国が認めており、何十年も前に作られたクルマを今も乗り続けることはエコに繋がることの裏返しでもある。日本でクラシックカーに乗ってもそんな優遇はないし、今後税金面でますます不利になっていくだろう。
そういったアレコレが積み重なって、日本にはクルマ好きが少ない。若者のクルマ離れなんて言われているが、それは今の大人たちがそういう世の中にしてしまった結果でしかないのではないだろうか。一部のクルマ好きとお金持ちだけが自分の好きなクルマを買う…そんな日本はちょっと変わっているんじゃないかと思う。
でも、だからこそ、LIVE IN RUGGEDでは「せっかく買うなら楽しいクルマに乗ろう!」と叫び続けたい。何も高級車である必要はないし、最新モデルである必要もない。それぞれがそれぞれの価値観で「このクルマなら楽しそう!」と心底思えるクルマに乗ろう。
というわけで、本日は永遠の名車、イギリスが生んだ最高のスモールカーであるミニを全力でプッシュする。


まさに永遠のアイドル。クリッとした可愛い目と丸みのあるコンパクトなボディ。ミニは現在生産されているスモールカーの礎のような存在である。

ミニカーを1/1のフルスケールにしたかのような可愛らしい後ろ姿。走らせれば意外なほど刺激的なところも二面性があって素晴らしい。

山椒は小粒でもぴりりと辛い…それがミニのアイデンティティ

ミニは1959年にBMCの技術者、アレック・イシゴニスによって「Smaller outside, Bigger inside」というコンセプトのもとに設計された。外側から見ると小さいけど乗ってみると意外と大きいね、という思想を具現化したミニは、数々のエンジニア的工夫が結実した結果生まれたクルマだ。
エンジンを横置きに配置し、独自に組み込まれたギアボックスを介して前輪を駆動させるため、大人4人が乗っても問題ない車内スペースを確保。車幅全体に個別のギアボックスを収容する必要がなく、車内とエンジンルームのみで構成された2ボックス設計のため、横幅も全長もギュッとコンパクトなサイズに。小さな10インチ(250 mm)のホイールは、車内へのホイールアーチの侵入を減らし、後部座席の後ろのブーツエリアに適度なラゲッジスペースを確保するのに役立った。
車両自体は非常にコンパクトではあるものの、成人男性が4人乗車しても普通に移動できるスペースを確保するために様々な画期的な工夫が施されたクルマなのだ。もちろん現代のクルマと比べると狭さを感じる場面はある。しかし、今でもクラシック・ミニは世界中でファミリーカーとしても愛されていたりもする。
初代ミニ(モリスミニ・マイナー)は水冷直列4気筒OHVエンジンを搭載。たった600kgの車重に848㏄の排気量を持つエンジンの組み合わせは、見た目から受ける印象以上に刺激的!後年ジョン・クーパーと共同開発したミニ・クーパーはモンテカルロラリーで総合優勝を果たすほど走りに関しても高いポテンシャルを持つ韋駄天カーだったのだ。だから、クラシック・ミニに乗ると意外なほどワイルドなエンジン音とキビキビした挙動にビックリするかもしれない。軽量なコーナリングマシンという英国車ならではの美学を日常生活で感じられるだろう。それも法定速度内で。


超シンプルな初代ミニのインテリア。ジブリ映画に出てきそうなレトロなハンドルとスピードメーター、トグル型スイッチ、床からニョキッと生えるシフトレバーなど、あらゆる面が古き良き時代の意匠。

SMITHS製のメーターはフォントも古めかしくてオシャレ。ヴィンテージの家電やウォールクロックを彷彿させるデザインだ。強くぶつけると折れてしまいそうなトグル型スイッチも雰囲気たっぷり。


ファブリックやカーペットが多用され、余計なものが一切ない。むしろ現代人から見ると必要なものさえないのだけど、それもまた良い…と思ってしまうのは少し愛情が強すぎるだろうか。

後席はベンチシートタイプ。荷物置きにしても良し。友人たちを乗せても良し。もちろんペットと一緒にお出掛けしても最高。

ミニはすべての人を幸せにする魔法のクルマ

意外と走りが熱い点はクルマ好きにしか響かないかもしれないので、もっと重要な魅力に目を向けてみよう。ズバリ、ミニの最大の魅力はルックスだ。クルマは見た目が一番と子供の頃から頑なに信じている身としては、ここは声を大にして伝えたい。過去から現在まで、これほど可愛らしいクルマが他に合っただろうか?
突っ込みどころが一切ないキュートな顔立ちと頬ずりしたくなる後ろ姿。全体を眺めてもとにかく可愛らしい。しかも、男女問わず誰が乗ってもオシャレだ。例えば女性がひとりで運転していたらセンスの良さに一目惚れしそうになるし、老夫婦が乗っていたらあんな風に歳を取りたいと思ってしまう。いい歳をしたオジサンが犬を隣に乗せていたらパーキングエリアで話しかけてしまうかもしれない。ミニはオーナーすべてを幸せにするどころか、偶然目にした通行人さえ幸せな気持ちにしてしまう魔法のようなクルマなのだ。


初代ミニは最高速度が116km/hしか出ないけど、頑張ればビュンビュン走る。小さいボディで一生懸命走る姿がまた愛おしい。

すべてにおいてシンプルなデザイン。だからこそ今乗っても新鮮さがあり、個性を演出できる。

クラシック・ミニで素晴らしいスローライフを!

クラシックなデザインのミニは2000年まで生産されていたので、古さにこだわりがなければ本物のヴィンテージではなく近年作られたモデルを選ぶのも良いだろう。新しいモデルは当然トラブルも起きにくいし、快適装備も充実している(オートマも用意されている)。2001年以降に生まれ変わったBMWミニという選択ももちろんアリだ。でも、もしここまで読んであなたがクラシック・ミニに魅力を感じたなら…思い切って2000年以前のモデルを購入することを強くおすすめする。どこに乗っていっても一目置かれるし、何よりもクルマへの愛情が爆発するに違いない。過剰な高級感やブランド志向を一切排した、スローライフを具現化したようなミニであれば、きっと素晴らしいカーライフを送ることができる。

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