Incredible Syoai denim Burgus Plus Lot.770

バーガスプラスから阿波正藍染のスペシャルジーンズが登場

バーガスプラスの定番モデル、Lot.770から阿波正藍染のスペシャルモデルが登場。


Written : LIVE IN RUGGED
Photo : HINOYA

無形文化遺産「阿波正藍染」で染められる特別なデニム

上野アメ横の名店HINOYA(ヒノヤ)が展開するオリジナルブランド、BURGUS PLUS(バーガスプラス)。アメカジやワーク、ミリタリーといった男の定番服を独自に解釈し、「究極のベーシック」となる洋服をメイドインジャパンにこだわって作り続けるブランドだ。主軸となるデニムウェアの完成度とコストパフォーマンスの高さは日本全国のデニム狂からリスペクトされており、私も2本愛用中。ヴィンテージをベースにしながら絶妙なレベルでオリジナリティを入れるバランス感も程よく、まさに価格以上の満足度があるブランドである。
そんなバーガスプラスから最近リリースされたのがLot.770のスペシャルモデル。阿波正藍染という非常に手間の掛かる伝統技法で染められた、これ以上ないほど日本製であることを体感できるジーンズだ。
阿波正藍染とは江戸時代から続く伝統的な染め手法で、昭和43年に徳島県の無形文化遺産に指定された。阿波正藍染は阿波藍を原料に発酵させる「発酵建て」という方法で長い時間と手間を掛けて染められる。藍染めは一度で濃い色に染められないため、釜の中で発酵した藍に生地を漬けて染め、手作業で絞り、空気に触れ乾燥させるという工程を何度も繰り返す必要がある。しかも、機械生産ではなくすべて職人による手作業である。更に、このジーンズは通常の2倍近い回数を掛けて特濃で染められているという。


Lot.770はバーガスプラスが継続して製作する5ポケットジーンズ。やや細身のストレートシルエットで、ベーシックを絵に描いたようなモデル。

ちょうど良い股上、ちょうど良い太さ、ちょうど良い裾幅…すべてがちょうど良い。流行が変わっても普通に穿けるシルエットの偉大さを感じられるのがLot.770。


バックポケットの大きさと取り付けられる位置もちょうど良い。何の変哲もない普通のジーンズに見えるモデルだが、すべてがよく計算されている。

スペシャルエディションである「770-AI」は革パッチも藍染めされ、バックポケットのステッチはセルヴィッチが縫われるという凝った仕様に。

超デコボコ!オリジナル開発の16ozスラブデニムを開発

この「770-AI」はデニム自体も通常とは違う特別製。ノーマルモデルは15ozなのに対し、「770-AI」は16ozでかなりスラブ感の強いデニムが採用された。バーガスプラスが契約するデニムファクトリーの熟練職人が開発に苦労したほどの出来栄えで、凄まじい凹凸感が写真からも伝わってくるはず。スラビーなデニムは限られた日本のデニムブランドのいくつかが採用しているが、バーガスプラスの16ozスラブデニムもさすがのクオリティだ。


ボタンは通常モデルと同じオリジナルパーツ。ヴィンテージを彷彿させる鉄製のボタンは長く着用すると質感を変えていく。

セルヴィッチの色はグリーンカラー。通常のLot.770は桜色なので、ロールアップするとここでも違いを演出できる。


バックポケットにクローズアップ。オリジナル開発のセルヴィッチデニムをポケットでも楽しめる贅沢な仕様が嬉しい。穿きこむことでどんなエイジングになるのだろう。

スレーキには「阿波正藍染」の文字が。達筆!

日本の伝統技術を日常生活で楽しめる貴重なジーンズ

スペシャルエディションの「770-AI」は51,700円(税込)。高いと感じるだろうか?特別に開発したオリジナルのスラブデニムで、無形文化遺産である伝統の手法で職人がひとつひとつ染め上げたジーンズであれば、適正な価格(むしろリーズナブル?)だと思う。
何百年も昔から続いてきた阿波正藍染は手間もコストも非常に掛かり、必然的に高価な値段になってしまうため、消えつつある文化だという。メイドインジャパンであることを謳うブランドは多いが、文化遺産を使ったプロダクトは大量生産ができずハイプライスになるため、採用されるケース自体決して多くないだろう。バーガスプラスの「770-AI」は消えつつある日本の伝統技術の凄さも日常生活で感じられる、非常に貴重なジーンズなのだ。