アメカジとの無類の相性の良さを持つロレックスGMTマスター

ヴィンテージ・ロレックスの中でもここ1~2年で特に市場価格が急騰したのがGMTマスター。60年代のヴィンテージモデルはデニムやレザーと抜群の相性を持つ。


Written : LIVE IN RUGGED
Photo : HODINKEE

GMTマスターは市場価格が急激に高騰した

パン・アメリカン航空から製造を依頼されたという異色の背景を持つロレックスGMTマスター。初代のRef.6542は1957年に誕生し、異なる国の時刻を同時に知ることができる腕時計として、当時のパイロットたちに重宝された。
ロレックスのスポーツウォッチは冒険家のためのエクスプローラーやレーサー向けのデイトナ、潜水士のためのサブマリーナとシードゥエラーなど様々なモデルが存在する。常に特殊な状況で任務を遂行する専門家を的確にサポートすること。これがロレックスのスポーツウォッチに課された最重要課題だ。GMTマスターは航空パイロットのために作られたスペシャリティウォッチ。後に登場するGMTマスターⅡを含めると、誕生以来ロレックスのカタログから一度も外れることなく製造され続けてきたロングセラーモデルだ。


50年以上前に作られたとは思えないほど状態の良いRef.1675。トリチウム夜光の焼けもほとんどなく、まるでタイムスリップしてきたようだ。

赤と青に分けられた通称「ペプシベゼル」もほとんど変色がない。特に青は鮮やかさが鮮明に残っており、状態の良さが一目で分かる。

GMTマスターならではの個性とユニークな経年変化

GMTマスターはプレミア価格という点では、他のスポーツウォッチに比べて「遅咲き」のモデルと言えるだろう。デイトナやエクスプローラーⅠは現在のようなロレックスバブルが起こる以前から高い人気を持っていたし、サブマリーナもそうだ。もちろんどのモデルも5年前と比較すると遥かに相場が上がっているが、GMTマスターの相場はここ1~2年で一気に上がった印象がある。ほんの数年前までは60年代のモデルを除くと100万円を超える個体はほとんどなかったはずなのに、あれよあれよという間に凄まじいプライスに。今60年代のモデルを買おうとすると、ほとんどの個体で300万円以上支払わなければいけない。
最大の魅力は、やはり枯れた雰囲気。腕時計全般に言えることだが、ヴィンテージモデルには長い時間を掛けて少しづつ味を出してきたエイジングの魅力がある。GMTマスターの場合、ペプシベゼルという強烈な個性があるので、赤と青に分けられたベゼルの経年変化の具合は市場価格にそのまま直結している。面白いのは、ミントコンディションに近い個体が高額なのはもちろん、強く劣化した個体もプレミア価格が付いていることだ。例えば赤が褪色してピンクやオレンジに変化したものや、青がグレーっぽくなったりパープルになったりしているものが数百万円で取引されている。
現行モデルのベゼルは変色しないセラミック素材で作られているので、こういった経年変化を楽しめるのはヴィンテージだけ。世界中の時計愛好家たちの間でヴィンテージGMTマスター特有の個性が認められて市場価値が跳ね上がり、それに引っ張られる形で近年製造された新しめのモデルたちの中古相場も上がってしまった、ということになる。


ヴィンテージならではのぷっくりとしたプラスチック風防。ケースにはわずかに小傷が見受けられるが、年代を考えるとやはり奇跡のように綺麗な状態を保っている。

ペプシベゼルはポップな雰囲気が強いので、デニムなどのアメカジとの相性は抜群。ヴィンテージウォッチの枯れた雰囲気が色落ちしたジーンズにピッタリだ。

ことさらにヴィンテージであることを主張しない大人っぽい味出し具合がたまらない

この個体は1966年製。GMTマスターとしては第2世代となるRef.1675で、搭載ムーブメントはCal.1565だ(Ref.1675のムーブメントは初期型(~1964年以前)はCal.1566)。ケースサイズは40mmと、スポーツウォッチとしてもっとも使いやすいサイズなのも嬉しい。
わずかに変色したゴールドレターやトリチウムの変色がヴィンテージであることを控えめに主張しているが、全体的に穏やかなエイジングなので、これを身に着けていて第三者から「希少なロレックスのヴィンテージを持っている」と気付かれることは少ないだろう。もっと激しくエイジングしたヴィンテージウォッチもたくさんあるが、合わせやすさなどを考えると大人っぽく味が出たこれくらいがもっとも使いやすいかもしれないと思う。


この角度から見ると文字盤のレターがわずかにゴールドがかっているのが分かる。トリチウム夜光の焼けはこれからの使い方で変化していくだろう。

自動巻きのCal.1565。ヴィンテージウォッチはローターが交換されている個体も多いので、気になる方は購入前に確認を。

まったく同じモノはひとつもない…それがヴィンテージ・ロレックス

腕時計の黄金時代と呼ばれる1960年代に製造されたペプシベゼルのGMTマスター。状態の良さは個体により様々なので、何年も掛けて理想のモデルを探すのも面白い。
現行モデルを手に入れるという選択の方がよっぽど現実的だけれど、絶妙なサイズ感と枯れた雰囲気を堪能できるのはヴィンテージしかない。本日紹介した個体のようにミントコンディションに限りなく近い個体をひたすら探すのも良いし、ペプシベゼル特有のユニークに経年変化した個体との出会いを楽しむのも素敵だ。
ロレックスのスポーツウォッチの中でもペプシベゼルのGMTマスターは特にアメカジとの相性が抜群。腕時計を主体にしたコーディネイトにすることを妄想するだけでワクワクしてしまう。

ITEM CREDIT
  • Rolex:1966 GMT-Master Ref.1675 With Gilt Dial

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