高貴なギルトダイヤルの61年製ロレックス・エクスプローラーⅠ

誕生した時点で完成されていたという点で、ロレックス・エクスプローラーⅠは他の追随を許さない。入門用としても一生物としても完璧なRef.1016について。


Written : LIVE IN RUGGED
Photo : HODINKEE

シンプルさに価値を見出せる人へ

過去の記事でエクスプローラーⅠのことを「実用時計の本質が詰まっている」と書いたが、基本的にこの腕時計はどの時代に作られたものであってもその点に違いはない。日付表示のないシンプルな3針仕様は多機能であることを良しとする今の時代においては物足りなく感じる人もいるだろう。しかし、もし時刻を知るという腕時計の本質を洗練されたデザインで堪能したければ…シンプルさに価値を見出せるなら、エクスプローラーⅠはいつでも最善の選択のひとつだ。


1961年製エクスプローラーⅠ、Ref.1016。正面から見る顔は極上の一言。

ケース径36mmは日本人の腕にもしっくりくるサイズ。オンオフ問わずいつでも身に着けられる。

この時代特有の金色に光るギルトダイヤル

Ref.1016はほぼ30年間モデルチェンジをせずに生産されていた大ヒット商品。1966年の終わりから1967年の初めにかけて文字盤が艶消しタイプに変更されるが、この61年製は光沢のあるギルトダイヤル。インデックスや3・6・9の数字は渋い金色に輝く。ヴィンテージロレックスの中でも特に人気の高い年代であり、ひとつひとつのエイジングが異なることから、ファンは自分好みの1本を常に探し求めているモデルなのだ。


高精度の自動巻きムーブメントを収納しているとは思えないほど厚さが抑えられたケース(厚さ12mm)。真横から見るとプラ風防の膨らみがよく分かる。

見た目以上に堅牢であることも実用時計の頂点を極めるロレックスならでは。オイスターケースとリベットブレスが最高にカッコいい。


多少使用感を感じるケース。ヴィンテージ・ロレックスはコンディションによって大きく値段を変えるが、経年変化やダメージが逆に価値を上げることもある。

パーフェクトなルックス!ミラーダイヤルはやはり美しい。

所有欲を完璧に満たしてくれる傑作スポーツウォッチ

元々冒険家のために作られたエクスプローラーⅠは根本的なコンセプトを変えずに時代ごとにアップデートしてきた。現行モデルが機械的にもっとも優れているのは当然ではあるものの、61年製のRef.1016は新品には決してない見事なオーラをまとっている。
角度によって光の反射具合を変えるミラーダイヤルや金色のミニッツサークルは、ごく限られた時代特有のロレックスを身に着けているという所有欲を完璧に満たしてくれるし、実際モノとしての価値は年々上がる一方だ。今同じモデルを購入しようとすると、恐らく250万円を下回ることはないだろう。
ヴィンテージ・ロレックスの異常なまでの高騰っぷりに疑問を感じることは時折あるが、頑張って貯金して手に入れるだけの価値があるのは間違いない。腕時計に数百万円を投じて「買って良かった」と心底思えるメーカーは、もしかしたらロレックスくらいかもしれない。

ITEM CREDIT
  • ROLEX:1961 Explorer Gilt Dial Ref.1016