男が羨む理想的な旧車生活 – 家族全員から愛されるハコスカ

クルマ好きがこの美しい家族のストーリーを知れば、間違いなく羨望の眼差しを送ることだろう。考えうる限り最高のクルマ生活を送る宮里さん一家とハコスカの物語をお届けする。


Written : LIVE IN RUGGED
Photo : SPEEDHUNTERS

一途に貫くハコスカへの愛

日産GT-Rのルーツにして旧車の世界では王者のような存在である初代スカイラインGT-R。「ハコスカ」の愛称で知られる名車中の名車は、1969年に生を受けた。
スカイライン2000GT(GC10型)の車体に、GTプロトタイプレーシングカーである日産R380のエンジンであるGR8型をベースに開発された直列6気筒DOHCエンジンを搭載。1968年の東京モーターショーに出展された「スカイラインGTレーシング仕様」をほぼそのままの形で1969年に発売したのが初代GT-R(PGC10型)である。
PGC10型はセダンタイプのボディなので、外観以上に獰猛な性格という意味で「羊の皮を被った狼」というキャッチフレーズがピッタリだ。
沖縄在住の宮里さんはレースの世界で圧勝を重ねたハコスカを心から愛するカーエンスーで、このクルマを手に入れたのは25年以上前。今でこそ国内外を問わず異常なほどのプレミア価格で取引されるようになってしまったが、単純に25年前の場合は一部の熱狂的な旧車好きしか乗らないクルマだ。
宮里さんはヴィンテージGT-Rをゆっくり時間を掛けてカスタムし、今に至るまで維持している。HKS製ターボチャージャーでブーストを過給(湾岸ミッドナイトの悪魔のZと同じ設定にしているという)。外付けのオイルクーラーなどの吸気系のカスタムはもちろん、内装に至るまで徹底的にこだわりが注がれている。前述の通りレースで圧倒的な戦績を収めたクルマなので、軽量化も可能な限り遂行。カーペットやダッシュトリムの大部分も取り除かれ、内外装どこから見てもレーシーな匂いが漂うモデルに仕上がっているのだ。


ワークススタイルのオーバーフェンダーと程よくローダウンされたひ低い姿勢が最高にクール。ナンバープレートの横にある外付けのインタークーラーが物々しさに拍車を掛けている。

ハコスカとして一番人気のKPGC10は2ドアだが、宮里さんが乗るPGC10は4ドアタイプ。バックショットも隙なしのカッコ良さだ。

「羊の革を被った狼」は、後に結婚する奥様と娘さんにも愛された

若い頃にスポーツカーやクラシックカーに乗っていても、80%以上の人は結婚を機に(あるいは出産を機に)やむなく手放すことになる。これはクルマ好きにとっては悲しい現実だが、一部のお金持ち以外のほとんどの人はそうせざるを得ないだろう。その主な理由は金銭面と家族からの反対だ。
日本でスポーツカーやクラシックカーを維持するには金銭的な負担が大きいことは言うまでもないだろう。持っているだけで浪費していくのが自動車であり、速いクルマと古いクルマは湯水のようにお金が消えていく。
また、ほとんどの女性はこの手のクルマが理解できないので(それに関しては至極当たり前だと思う)、男側がいくらクルマを愛していても、結婚するなら手放さざるを得なくなってしまう…というのが典型的な流れだったりする。
ところが、宮里さんの奥様は宮里さんから愛車を引き離すことはしなかった。それどころか、数年後に生まれた女の子たちまでハコスカのことが大好きになったのだ。トップ写真を眺めると、ハコスカがまるで一人息子のように見えてこないだろうか?もしくは犬や猫のようにごく自然な形で家族として溶け込んでいるように感じる。ハイブリッドカーや高級車ではなく、数十年前のイカツイ旧車を囲んで笑顔で写る家族写真は、この上なく微笑ましい。


エンジンルームを興味津々に覗き込む娘さん。10年後もパパのハコスカに乗ってくれるだろうか。

家族みんなでボディをピカピカに。クルマも幸せだ。

男が思い描く理想的なクルマ生活

宮里さんは80年代から90年代、そして2000年代を超えて2010年代もハコスカ一筋の生活を送ってきた。このクルマを開発した日産のエンジニアたちが宮里さん一家を見たらきっと驚くに違いない。そこには強要や遠慮、諦めなどのネガティブな感情はなく、ごく自然な形で人生に旧車を取り込んでいるからだ。
クルマへの愛が強ければ強いほど、男は家族にクルマ趣味を認められると嬉しく感じる。ましてや、家族がクルマのことを愛してくれたなら、クルマ好きにとってこれ以上幸せなことはないだろう。
宮里さん一家の幸せな姿を見て、娘さんたちが父親のハコスカを受け継いでほしいと勝手に願ってしまった。

ITEM CREDIT
  • NISSAN:Skyline GT-R (PGC10)

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