ポップとオーソドックスの絶妙なバランスを楽しめる70年代の腕時計 – ブローバ・ディープシー666フィート
ヴィンテージウォッチの黄金時代である50~60年代には名モデルが山ほど存在するが、人気のある時代だけにプライスも非現実的であることが多い。そこで、LIVE IN RUGGEDでは遊び心のあるデザインが一斉に花開いた70年代に注目してみた。
明らかに人とは違う腕時計を手に入れられる!独特なデザインが特徴の70年代
機械式腕時計の黄金時代と言われる50~60年代(40年代を含む場合も多い)はオーセンティックなデザインが多い。いわゆる正統派な格式高さを感じさせるモデルが多いのは、ロレックスだとエクスプローラーⅠやサブマリーナ、デイトナなどの現在にも通じるスポーツウォッチの傑作が多く誕生した年代だからでもある。腕時計誕生からそれなりに年月が経ち、各メーカーの試行錯誤がありつつ、技術やノウハウなどが洗練されつつある時代でもあったと言えるだろう。ロレックスに限らず50~60年代は各メーカーが渾身のモデルを発表していることからもそれが伺える。
だから、この時代の腕時計はとても高額だ。1stや2ndモデルが多く生まれた時代なので当然と言えば当然なのだけれど、売りたい人よりも欲しい人の方が遥かに多いので決して相場が下がることがない。
そこで今注目したいのは70年代の腕時計。黄金時代の雰囲気を強く持ちつつ、70年代特有の遊び心に溢れたデザインが一斉に花開いた時代なのだ。ブローバのクロノグラフをピックアップしその魅力を共有したい。
そこで今注目したいのは70年代の腕時計。黄金時代の雰囲気を強く持ちつつ、70年代特有の遊び心に溢れたデザインが一斉に花開いた時代なのだ。ブローバのクロノグラフをピックアップしその魅力を共有したい。
ポップとオーソドックスの絶妙なバランス
BULOVA(ブローバ)は1875年にチェコスロバキアの移民であったジョセフ・ブローバによってアメリカで創立され、当時は宝石商として活動していた。1911年から時計製造も開始し、1919年には男性用腕時計のフルラインを発表。1912年にはスイス・ビエンヌに工場を設立し、1923年には高精度な部品の完全標準化に成功。1930~50年代は航行用クロックや高度計測器、高性能望遠鏡や撮影機器など、主に航空計器を開発していたが、その流れで世界初となる音叉時計「アキュトロン」を開発した。月差1分以内という当時最高の精度を誇ったアキュトロンは腕時計の歴史においても偉業のひとつであり、ブローバの名前を一気に世界レベルに押し上げる発明でもあった。
ブローバ・ディープシー666フィートはオーソドックスな2カウンタークロノグラフだが、ベゼルが色を塗り分けられていたり、クロノグラフ針がオレンジ色だったりと、要所要所にポップなデザインセンスが盛り込まれている。70年代の腕時計はそれ以前にはあり得なかったような派手な色使いが積極的に採用された時代であり、ディープシー666フィートもそんな時代らしさが強く出たモデルなのだ。ただ、極端なことを言うと色使い以外は珍しさがなく、普遍性の高いデザインであることも特徴。この「ポップなカラーリング」と「ベースはオーソドックス」の絶妙なバランス感こそが70年代デザインの魅力のひとつだ。
70’sウォッチは手に入れるなら今がおすすめ
華やかで遊び心のあるルックスと機械式時計として確かな作りが両立していながら、価格はまだ上がっていないこともポイント。ブローバ・ディープシー666フィートはHODINKEEで発売当時2,700ドルだった。現在の日本円にして30万円台後半~40万円ちょっとだろうか。ヴィンテージのクロノグラフとしては手が届きやすい現実的な値段であることが嬉しい。
同年代に製作されたチュードルのモンテカルロが200万円を超える相場で取引されていることを考えると、ブローバがいかに安価で買えるかが分かる。
同年代に製作されたチュードルのモンテカルロが200万円を超える相場で取引されていることを考えると、ブローバがいかに安価で買えるかが分かる。
70年代の腕時計は探せば探すほど面白いので、興味のある方はこの年代に絞って宝探しをするのもおすすめだ。スイスの時計職人が手作業で組み上げた黄金時代の機械式ムーブメント。アイコニックなトリチウム夜光やプラ風防。雰囲気たっぷりのエイジングやデザイン。これらをお得に手に入れられる素晴らしい70年代の魅力は、まだまだ一般には知られていない。
ITEM CREDIT
- BULOVA:1970’s Deep Sea 666 Feet