Made in Malibu Bill Wall Leather

シルバー界の巨匠、ビル・ウォール・レザーの魅力(パート2・アイテム編)

日本でも絶大な人気を持つビル・ウォール・レザー。パート2となる今回は主力アイテムであるシルバージュエリーとレザーアイテムの魅力に迫る。
ブランドのヒストリーなどを紹介したパート1はこちら


Written : LIVE IN RUGGED
Photo : BEAMS / Bill Wall Leather BEAMS

メイドインマリブを貫くビル・ウォール・レザーのアイテム

パート1の記事で触れたように、ビル・ウォール・レザーは創業から一貫してシルバージュエリーとレザーアイテムの製作をメインに活動してきた。アメリカ・ロサンゼルスの小さな海辺の町、マリブで生まれ育ったインスピレーションを元に、ひとつひとつハンドメイドで製作されるジュエリーやレザー製品たち。それらは時に荒々しく、時にポップで優しい。ビル・ウォールことウィリアム・クレイグ・ウォール氏の趣味嗜好が大いに反映された、ローカル感あふれるデザインだ。
1985年のブランド操業から34年以上もの間、ビルはマリブで創作活動を行ってきた。東京のような大都会で暮らしていると、マリブのような海辺の町で創作活動を行う環境が羨ましく思えてしまう。
私がビル・ウォール・レザーの存在を知ったのは今から20年以上前の90年代後半。初めて手に入れたのは2000年頃だった。今は廃盤になっているアルティメットスカルシリーズがちょうど誕生した頃で、学生のためお金がなかった私はなけなしのバイト代でスカルペンダントを購入した。そのペンダントは今もキーリングに付けて毎日愛用している。


シンプルなシャツスタイルにもハマるプレーンなチェーンブレスレット。錨がモチーフで、海を愛するビル・ウォールならではだ。

女性ファンが多いのもビル・ウォール・レザーの特徴。適度なボリューム感のリングやペンダントを身に着けると、ご覧の通り甘辛なスタイルになる。


もちろんライダースジャケットとデニムのように男っぽいスタイルとの相性も抜群。いかにもアメリカンな$モチーフのリングやウェーブモチーフのリング、ウォレットチェーンなど、ロックなスタイルが完成する。

アンカー(錨)モチーフのブレスレット。パーツ同士が丸みを帯びており、着け心地が良いことが容易に想像できる。シンプルなデザインは洋服を選ばない。

34年以上ファンを魅了し続けるデザインセンスとオリジナリティ

ビル・ウォール・レザーのジュエリーは肩肘を張らずに身に着けるのが一番だ。コーディネートによってアイテムを着けかえるような付き合い方ももちろん素敵だけど、ひとつのモノを常に身に着けるのも良いだろう。どのアイテムもデザイナー自身のリアルなライフスタイルから生まれたデザインであることがこのブランドの魅力でもあるのだから。
メンズジュエリーの世界では意外なほど固定観念が強いブランドが多い。ハード系ならハード系、ミニマムならミニマムといった具合に、まるで「こうでなくてはいけない」と思いこんでいるようなブランドが存在するのだ。もしかしたら緻密なマーケティング作業の結果なのかもしれないが、ビル・ウォール・レザーはそういった固定観念や必要以上なマーケティング作業とは無縁のブランドだ。自分の好きなモノ…マリブの自然やオートバイ、クルマ、音楽、アートなどからインスピレーションを受けてデザインするスタイルを創業時から一貫して変えていない。
それは、言い方を変えると34年以上もの間「ネタ切れ」になっていないということでもある。しかもデザイナーは基本的にビル・ウォールひとりなのだから、これは相当凄いことではないか。


ブランド初期から作られているクロスモチーフのペンダント。カッチリし過ぎず、手作業の温もりが強いのもビル・ウォール・レザーの特徴。

近年は18kとコンビネーションさせたデザインも多く誕生している。シルバーの白い輝きにゴールドカラーが組み合わされるとひとつ上のクラス感を演出できる。


シルバー製のセーフティーピンといった遊び心のあるアイテムも揃う。スマイルマークやピースマーク、ホースシューなどのポップなモチーフが可愛らしい。

こちらもブランド初期から今なお製作されているウォレットチェーン。ウェーブはブランドを代表するモチーフのひとつだ。2つ折りの財布も定番として作られている。牛革以外にもスティングレー(エイ)やシャークスキン(鮫革)、エレファント(象革)、クロコダイル(ワニ革)などのエキゾチックレザーも豊富に揃う。


シルバー製のチェーンブレスレットは常に品薄が続く人気アイテム。ボリューム感とデザインのバランス感をしっかり考えて作られており、着け心地が良いと評判。

ビル・ウォールが製作する手元の写真。成功を収めた今も自ら率先してジュエリーやレザーアイテムを作り続けている。デザイナー兼職人のスタンスを貫き、経営だけする似非デザイナーには決してならない姿勢もファンの尊敬を集める理由なのだ。

ブランドとファンの間で強い信頼関係が生まれている稀有なブランド

ビル・ウォール・レザーがクロムハーツのような巨大なブランドになることは恐らくないだろう。しかし、設立当初の精神を忘れずに、良い意味でマイペースに作る姿勢はこのブランドの美徳だと思う。自分の目の届く範囲で作り続けることを頑なに守り続けることは、ユーザーの信頼にも繋がっている。自分が購入したアイテムが、間違いなくごく少数の職人により手作業で作られていること…大量生産、大量消費の現代ではすっかり減ってしまった貴重な経験と言っても良いかもしれない。
きっと数年後にブランドが40周年を迎えても今と変わらないペースで活動していることだろう。40年という節目にどんなアイテムが生まれるかも、少し気が早いが今から楽しみだったりもする。

ITEM CREDIT
  • All items made by:Bill Wall Leather