It's only horse hide High Large Leathers

【熱狂的ファン増殖中】馬革だけを使うハイラージレザーズのレザージャケット

短い夏が終わり秋が訪れた。洋服好きが一年で一番ファッションを楽しめる季節だ。秋冬のアウターは何といってもレザー。定番のライダースジャケットも良いけれど、デニムジャケットの形をした馬革のレザージャケットはいつものコーディネートをより男らしく演出してくれる。


Written : LIVE IN RUGGED
Photo : HIGH LARGE LEATHERS

使うのはホースハイド(馬革)だけ!
革キチから熱狂的に支持されるドメスティックブランド

LIVE IN RUGGEDの読者であれば、本格的な秋冬シーズンを迎えるにあたりワクワクしている頃ではないだろうか。大好きなレザーウェアをもっとも楽しめる季節が訪れたのだから。何年も着古したライダースジャケットに袖を通す瞬間は決して飽きることがない。硬かった革がシーズンごとに柔らかくなり、自分の体に沿って馴染む様子を感じると「愛着」という一言では表せない様々な感情が胸の中に溢れてくる。レザーウェアは一着一着がかけがえのない相棒であり、親友なのだ。
もしあなたが今年新しくレザーウェアを迎えようと目論んでいるのであれば、HIGH LARGE LEATHERS(ハイラージレザーズ)はもっともおすすめするブランドのひとつ。ホースハイド(馬革)だけを使うドメスティックブランドである。
HIGH LARGE LEATHERSのブランドネームはアメリカ合衆国オクラホマ州にある牧場「HIGH & LARGE」が由来。アメリカならではの雄大な自然に囲まれたオクラホマ州の牧場には多くの牧場馬や野生馬がいる。地平線のはるか向こうまで広がる森や川、大昔から壮大な大自然と共に生きてきた美しい馬たち…ハイラージレザーズというブランド名には自然が生み出した美しいものたちへの畏敬の念が多く込められている。
馬革が得意なブランドはいくつかあるけれど、馬革だけを使い続けるブランドは世界的に見ても珍しい。そして、ハイラージレザーズのウェアはどれもクラシックなデニムジャケットのデザインを踏襲している。リーバイスの1stタイプをベースにした「Oklahoma City」、2ndタイプの「Still Water」、3rdタイプの「Broken Arrow」。いずれも私たちが産まれるより前に登場したワークウェアの代表格だ。ハイラージレザーズは作業着として生まれたワークウェアと、飛行機や戦闘機のパイロットを守る防護服として生まれたレザージャケットという出自の異なるプロダクトをミックスさせるために、いくつものヴィンテージウェアを解体・研究したという。そうやってたどり着いた答えは「ワークウェアをホースハイドでつくるのではなく、ワークウェアのディテールを持ったホースハイドジャケットを作る」ということ。馬革の美しさや洋服にした時の耐久性、経年変化などを含め、ホースハイドに徹底的にこだわるブランドとして、今も超一級のレザーウェアを日々制作している。


1stタイプがベースの「Oklahoma City」。デザイン的にはクラシックだが、シルエットは現代的。程よいタイトシルエットも絶賛された。

2ndタイプの「Still Water」。両胸にポケットが付くと印象がまったく異なるのが面白い。鈍いレザーの光沢も最高にクール。

長く愛用できる秘訣はエイジングを視野に入れた上質な素材

ハイラージレザーズがジャケットに使う馬革は1.2mm厚、フルベジタブルタンニン鞣し、アニリン仕上げという条件を徹底している。ウェアに用いる場合、革の厚さは厚すぎても薄すぎてもいけない。厚すぎると機能性が失われるし、薄すぎると防寒性が低下する。裂けなどのダメージも発生しやすくなるからだ。1.2mmはバランスや耐久性を考慮したうえでの最適な厚さなのだろう。
フルベジタブルタンニン鞣しは上質なレザーウェアには欠かせない条件だ。クロム鞣しは効率的でより安価だが、質感やエイジングの観点ではベジタブルタンニン鞣しには決して勝てない。新品状態の美しさが完成形ではなく、ユーザーひとりひとりが何年も着込んだ後の変化こそが完成形。革が好きであればきっとこの考えに行き着くと思うが、ハイラージレザーズも同じはず。
アニリン仕上げにする理由は、よりナチュラルな仕上げには必須だからだ。顔料を含まずに合成染料と主にタンパク系のバインダーからなる塗料を用いて染色した革を仕上げるのがアニリン仕上げ。透明感のある塗膜になるため革本来の銀面の特長が生かされる。塗膜の耐久性が低いという欠点はあるものの、傷や日焼けも含めてのエイジング。つまり、ハイラージレザーズの馬革は素晴らしい経年変化を味わえるナチュラルな手法で作られているということだ。どれほどデザイン性が高くシルエットが美しくても、ベースである素材が悪ければ何年も着続けることはできない。見た目の美しさとエイジングにもしっかり配慮したモノ作りにブランドのレザーへの愛情を強く感じる。


3rdタイプがベースの「Broken Arrow」。1stと2ndよりもやや現代的なデザインの3rdタイプはラギッドなレザーがとてもよく似合う。

大戦モデルのデニムジャケットがベースの「Guthrie WWII」。染めを施していない馬革はかなり日焼けしやすく、長く着用するとベージュ~飴色に変化する。その独特な経年変化にハマる革キチは多い。


1950年代以降のデニムジャケットをモチーフにした「Noman」。動きやすいアクションプリーツを採用するなど、ハイラージレザーズの中でも特にライダースジャケットに近しい作りを持つ。鮮烈なレッドカラーも美しい。

Leeの名作からインスパイアされた「Moore」。リーバイス系とはひと味違う独特なデザイン性が楽しめる。

いくつになっても男らしさを忘れたくない人のために。
時代を超えて着用できるホースハイドジャケット

いつまでも色褪せない往年のデニムジャケットのデザイン。より洗練した着こなしができるための現代的なシルエット。素材の選定から作り、染めまでを一貫してこだわった一級のホースハイド。すべてがミックスされて極上のレザージャケットに昇華している。安易なトレンドを追う男には似合わない、硬派なオーラを放っているところもたまらない。理想のエイジングに育つにはきっと何年も掛かるだろうが、時代を超えて着用できる最高の相棒へと成長しているはずだ。