Evil is going on Dodge Challenger

「悪魔」の名と840馬力のハイパワーが与えられたダッジ・チャレンジャー・デーモン

時代に完全に逆行したスタイルがハードコアなエンスーから絶賛されている「悪魔のアメ車」。


Written : LIVE IN RUGGED
Photo : WallpaperCave

自宅からサーキットに向かい、そのままドラッグレースで優勝できるクルマ

スーパーカー、マッスルカーの世界でもハイブリッド化が進む中、アメリカの〈Dodge(ダッジ)〉が作るチャレンジャー・デーモンはまさに時代を逆行するモデルと言えよう。6.2リッターHEMIエンジンにスーパーチャージャーを組み合わせ、707馬力を絞り出したヘルキャットエンジンに更に手を加え、何と840馬力というレースカー顔負けのパワーを獲得。840馬力は大抵のレーシングカーよりもパワフルで、時代によってはF1よりもパワーがある。ハッキリ言って市販車にそんな馬力はまったく必要ないのだが、そんな野暮なことを考えずに純粋なパワーを追い求めるところがいかにもアメリカっぽい。
このデーモンは〈ダッジ〉史上もっともパワフルなモデルとして2018年に1年限りアメリカ国内で3,000台、カナダで300台、計3,300台の限定モデルとして発売された。エコが叫ばれる中こんなクルマが3,300台も売れるの?と思うかもしれないが、熱狂的なマッスルカーファンやクルマ好きから絶賛され、どうやらそんな心配は杞憂に終わったようだ。
人気の秘訣はただパワーがある限定車というだけではない、〈ダッジ〉のこだわりが注がれたクルマだから。デーモンには「市販車の状態でドラッグレースで勝てるクルマ」というミッションが与えられた。ただエンジンをパワーアップさせるだけではなく、軽量化のためシートは運転席のみ(オプションで助手席も用意できる)。ドラッグレース専用のタイヤを装備するなど、自宅からサーキットに移動しそのままレースに出れる怪物に生まれ変わっている。


すべてのクルマが道を譲りそうなふてぶてしい顔立ち。もちろん公道ではマナー重視の運転を!

バックショットも最高にクール。オリジナルのチャレンジャーをそのまま現代的にアレンジしたデザインで、見た目のカッコ良さもこのクルマの魅力だ。


専用のボンネットフードやスポイラー、左右に張り出すオーバーフェンダーがデーモンの特徴。全身から悪のオーラが漂っている。

いかにもマッスルカーらしい筋肉質な流線型。エンジンをつけただけで凄まじい音が出るので早朝と深夜のお出かけはできるだけ控えるべし。

悪のオーラを漂わせながらオリジナルデザインの良さを残すルックスも魅力

デーモンの最大の魅力はレースカー顔負けの性能。ただ、デザインの良さも見逃せない。そもそもこのクルマは1970年頃に発売されていたチャレンジャーの復刻モデルとして2008年に登場。2008年はフォード・マスタングやシボレー・カマロもほぼ同じタイミングでオリジナルデザインをベースに復活したマッスルカーの当たり年で、チャレンジャーの復活も世界中から大歓迎された。
マスタングとカマロは今でも生産が続行されているが、モデルチェンジの度にオリジナルデザインから遠くなっており、特にオールドカーを愛するエンスーたちからは不評を買っている。しかし、チャレンジャーは何度モデルチェンジをしてもオリジナルデザインに忠実な範囲でアレンジしており、往年の名車の大切な意匠をそのまま引き継いだクルマとしてもリスペクトされているのだ。いたずらに妙なデザインアレンジをせず、ファンが何を求めているかを大切にする〈ダッジ〉の姿勢は本当に素晴らしい。
デーモンに話を戻すと、見た目的にはベースモデルと大きな変更はない。しかし、フロントマスクを見るとぽっこりと盛り上がり口を開けるボンネットフードが何やら不穏な空気を漂わせている。今時これほど大きく口を開けたボンネットフードは珍しいのだけれど、840馬力を発生するエンジンとスーパーチャージャーを冷却するためにはこの「穴」が絶対に必要なのだ。
高速領域でエアロダイナミクスを確保する大型のチンスポイラーも凶悪なルックスに拍車を掛けている。リアウイングは意外なほど控えめだが、市販車なのでこれくらいがちょうど良い。トドメはドラッグレースにも使えるファットなタイヤを収めるために左右に張り出したオーバーフェンダー。地を這うような車高の低さと車幅の広さも併せて悪のオーラが半端じゃない。それでも、やり過ぎではないデザインにまとめているところに〈ダッジ〉の美学がある。一見して普通じゃないクルマであることは伝わりながら、決して派手な装飾に走らず、オリジナルデザインの良さを決して損なわない。簡単なようで他のメーカーにはなかなかできないことではないだろうか。


往年のアメリカン・マッスルカー直系のルックス。言うまでもなく燃費の悪さもアメリカン・マッスル直系。

ハコっぽさの強いチャレンジャーだが、サイドから見ると美しい流線型で構成されていることが分かる。実は外装に真っ直ぐなラインはほとんどない。

こんなクルマを楽しめるのは今だけ?
時代に完全に逆行しているから魅力がある

エコ全盛の今の時代に840馬力のスポーツカーなんて、完全に時代に逆行している。それでもデーモンが欲しい!と思う方のために、簡単にアドバイスをまとめたので参考にしてほしい。まず、ここ日本には1台しか入荷しなかったという話もあるので、手に入れるにはアメリカの中古車市場を根気よく探して船便で運ぶ必要があるだろう。そして、もしあなたに家族がいるのなら必ず事前に相談すること。趣味性の強いクルマを気持ち良く乗るためには家族の理解が必須だ。
金銭面も冷静に考慮してほしい。車両価格+輸送費で2,000万円を超える可能性が高く、更に日本で乗るには最大級の税金を毎年支払う必要がある。当然燃費は極悪で、地方の一泊旅行に使うだけでガソリンタンクは悲鳴を上げるだろう。つまり、手に入れるのも維持するのも想像以上に出費がかさむクルマだと思っておいた方が良い。
もしこれらの条件がクリアになり、それでもデーモンが欲しくてたまらないのなら…もう誰も止めはしない。世界的にますます電気自動車がシェアを伸ばす中、バカバカしいほどパワフルなマッスルカーを楽しめるのは今の時代に生きる私たちの特権かもしれない。

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