Nostalgic hero Caterham Seven Sprint

現代では失われた精神的な豊かさが詰まっているクルマ – ケーターハム・セブンスプリント

「古き良き」を最高レベルで作り上げたブリティッシュライトウェイトカーの60周年記念モデル。


Written : LIVE IN RUGGED
Photo : Net Car Show

〈ケーターハム〉セブン60周年を祝福する限定モデルは、原点回帰のノスタルジックなデザイン

〈Caterham(ケーターハム)〉セブンを見ていると、クルマがただの移動手段ではなく、ライフスタイルを充実させる相棒であることを改めて思わせる。子供の頃に遊んだミニカーを1/1スケールで実車化したようなデザイン。運転することの楽しさに100%振り切ったような設計。軽自動車やエコカーばかりが宣伝される日本ではなかなか実感できないが、世の中にはまだまだ価値観やカルチャーを思いっきり包み込んだようなクルマが存在する。
写真の〈ケーターハム〉セブンスプリントはブリティッシュ・ライトウェイトを代表するセブンの60周年を祝うスペシャルモデルとして2017年に60台限定で発売された。これまでいくつものモデルを展開してきたセブンの60年の歴史において、セブンスプリントはパフォーマンス的に特別優れているわけではない。つまり、トップグレードに位置づけられるスパルタンなレーシングカーのようなモデルの方がより速く刺激的なのは間違いないのだけれど、セブンスプリントには60年の歴史を振り返り、原点の素晴らしさを思い起こさせるという命題が与えられている。
まるでタイムカプセルに乗ってきたかのようなノスタルジックなデザインは、速さに特化したモデルよりも〈ケーターハム〉ファンを喜ばせたようだ。スタジオジブリのアニメに出てきそうな朴訥としたルックスに注目してほしい。紛れもなくつい数年前に生産されたモデルなのに、何十年も前のクルマをそのまま再現したようなデザイン。パステルカラーにペイントされたボディがもたらす雰囲気もセブンが元々持っているパッチリした丸目と最高の相性だ。わずか60台の限定モデルは一瞬で飛ぶようにソールドアウト。現在は縁がなければ決して手に入らないコレクターズカーとなっている。


ファン・トゥ・ドライブを地で行く〈ケーターハム〉セブン。レーシングカートのような走行感覚は一度味わうと病みつきになるとか。

スペアタイヤを後方に剥き出しで積むスタイルも実にノスタルジック。

内外装共にノスタルジックを極めた仕様が光るセブンスプリントは、「古き良き」をそのまま形にしたようなクルマ

セブンスプリントはエントリーレベルのセブン160に搭載されるスズキ製3気筒エンジンを搭載。わずか80hpのパワーながら、圧倒的に軽い車重で走行感覚は軽やかそのもの。スポーツカーのエンジンは外国製が最高!と信じるエンスーが多いが、実際長く乗ることを考えると信頼性とメンテナンス性に優れていることは意外と大切だ。その観点で、スズキ製3気筒エンジンはセブンにうってつけ。バラバラと野性的なエンジン音をオープンエアで楽しみながら安心して楽しむことができる。
ボディカラーはクリーム、メロウイエロー、リージェンシーレッド、キャンバーウィックグリーン、ブリティッシュレーシンググリーン、ミスティブルーの6色展開。どのボディカラーを選んでもホイールは美しくポリッシュされたキャップが付くクリーム色がセットされる。
インテリアもノスタルジックそのもの。木製の縁取りが施されたスポーツステアリングホイールはまさにクラシックカーそのものだし、レーシーな赤いレザーのダッシュボードはセブンがピュアスポーツカーであることを主張している。デジタル化がすっかり浸透した現代のクルマではあり得ないクラシックなメーター類は旧車ファンならずとも感涙モノだろう。タコメーターにイエローゾーンとレッドゾーンがしっかりペイントされている点も60年代のクルマのエッセンスをそのまま受け継いだもの。
当然ギアにオートマ設定などない。シフトはレバー部分が短いタイプで、シフトチェンジの度に快感を感じること間違いなし。マニュアルギアのスポーツカーにとってシフトの操作感が重要であることはスポーツカー乗りであればご存知だと思うが、セブンスプリントのシフトは間違いなく快感を感じるレベルだろう。


現代のクルマとは思えないほどクラシックカー寄りのセブンスプリント。ハンドルの木目が泣かせる…。

パッセンジャーシート側のダッシュボードには限定モデルであることを証明するシリアルナンバーが刻まれたプレートが。各種スイッチ類も自動車用とは思えないほどレトロ!


どこに乗って行っても注目を浴びるだろうけど、このクルマを眺める目はきっと優しいはず。

週末のドライブ専用にしても良し。通勤用にこれ一台で選ぶのももちろん良し。

精神的な豊かさが徹頭徹尾感じられる稀有なスポーツカー

パウダーコーティングされたグレーのスプリントシャーシはセブンの初期モデルに忠実な仕様で、サスペンションとロールオーバーバーもコリン・チャップマン時代を彷彿させるもの。フレアフロントウィングと磨き上げられたエキゾーストサイレンサー、レトロ極まりない左右で分割されたリアライトなど、「徹底的にオリジナルに忠実であれ!」と号令があったかのような徹底っぷりだ(実際そういう指令があったのだと思う)。
コックピット内までレトロであることは先に述べたが、インテリアパネルとシートが昔ながらのスタイルで手縫いで作られ、ラゲッジスペースはカーペット敷きというツッコミどころが一切ない仕様が貫かれているのだから本当に凄い。これみよがしに高級感を演出するラグジュアリーカーとは真逆の方向で作られるセブンスプリントには、物質的な豊かさもあるが、むしろ精神的な豊かさがテーマになっているのではないだろうか。
60年の長い歴史を祝う特別な〈ケーターハム〉セブンスプリントには、利便性はなくても圧倒的に楽しいドライビングプレジャーと英国車ならではの歴史やカルチャーを内包したスペシャル感がある。まず間違いなく日本の自動車メーカーは作らないクルマだ。雨が降ったらどうするのって?幌も装着できるけど、いっそのことクルマと一緒に濡れてしまえばいいじゃない。
〈ケーターハム〉セブンほど振り切っていないけれど、LIVE IN RUGGED流オープンカー特集も併せてご一読を。

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