Fastest Exige ever 420 Final Edition

【徹底解剖】今年生産が終了するロータス・エキシージの最終モデルは、徹頭徹尾ピュアなスポーツカーだった

「エキシージ」の有終の美を飾る記念モデルは、史上最強・最速。ライトウェイトスポーツカーの頂点を極める〈ロータス〉のすべてが詰まったファイナルエディションを徹底解剖する。


Written : LIVE IN RUGGED
Photo : NET CAR SHOW

ライトウェイトスポーツカーにこだわり続け、世界中のクルマ好きから愛されてきた〈ロータス〉

本来目的地に移動するための手段でしかなかった自動車。自動車はしかし、産業としてはもちろん、ある種の文化として成長するに至る。速さを追求したクルマ。ラグジュアリーに振り切ったクルマ。家族を安全に目的地に運び、快適性に特化したクルマ。化石燃料から脱却し、エコ方向を突き詰めるクルマ…。時代によって様々なクルマが生まれてきた。これはクルマ好き以外にはなかなか理解されないことなのだけれど、自動車はお国柄を表し、時代を映す鏡のような役割も持ってきたとも言える。
イギリスの〈LOTUS CARS(ロータス・カーズ)〉は一貫して「速いクルマ」を作ってきたメーカーだ。いわゆるライトウェイトスポーツカーにこだわって作り続けてきた歴史があり、大排気量・大パワーで「最高速度は300km/h以上!」と謳うスーパーカーではなく、軽量かつコンパクトなスポーツカーで世界に挑戦し続けてきた。トップスピードはイタリア製のスーパーカーの足元にも及ばなくても、コーナリングスピードの速さと運転時の一体感は世界第一級。実際、〈ロータス〉はF1を頂点にツーリングカーレースを含めたモータースポーツの世界で数々の栄光を築き上げ、そのイメージそのままにライトウェイトスポーツカーメーカーであり続けた。近年は車重が1,000kgを超えることが当たり前になってしまったものの、かつては600kg~700kg台という驚異の軽さのモデルだけを作る、世界的に見ても稀有なメーカーだったのだ。
前置きが長くなってしまったが、〈ロータス〉を長い間支えてきた主力モデルである「ELISE(エリーゼ)」「EXIGE(エキシージ)」「EVORA(エヴォーラ)」が2021年をもって生産を終えるというニュースが半年ほど前に発表された。「エリーゼ」は誕生から25年、「エキシージ」は21年という長い間〈ロータス〉を支えてきたクルマ。それらが一気に生産終了になるというニュースには、クルマ好き、とりわけスポーツカーを愛する人間にとっては少なからず衝撃的だ。〈ロータス〉はスポーツカーメーカーが随分昔に失ってしまったアナログの良さ、シンプルなモノ作りの素晴らしさを今の時代に伝える伝道師のような存在で、これらのモデルはその素晴らしさがぎっしりと詰まった名車だからだ。
そして今年いっぱいで生産終了となる各モデルのこれまでの軌跡を祝うかのように、最後の記念モデルが登場。本日紹介する「Lotus Exige Sport 420 Final Edition(ロータス・エキシージ・スポーツ420 ファイナル・エディション)」は「エキシージ」の最終モデルで、間違いなく過去最強・最速。良い意味で時代の空気を読まないハードコアな精神性を持つライトウェイトスポーツカーの神髄に迫る。


レーシングカーさながらのエアロパーツで武装する「エキシージ・スポーツ420 ファイナル・エディション」。

空力特性を向上させる各種エアロパーツはサーキット走行時に真価を発揮する。


丸型のテールライトは初代から綿々と受け継ぐ意匠。今でこそすっかり少なくなってしまったが、かつてはカッコいいスポーツカーの多くが丸形テールライトだった。「エキシージ」はクラシックなデザインを受け継ぐスポーツカーとしても高い人気がある。

グラマラスで筋肉質なボディ。市販車としては大型のリアウイングも本気のスポーツカーであることの証明。

スーパーカー並みの性能を手に入れた「エキシージ」ファイナルエディションは、少し走らせるだけで脳内麻薬に溺れそう

「エキシージ・スポーツ420 ファイナル・エディション」には、20年以上に渡って培われてきたエンジニアリング的な経験値とノウハウが惜しげもなく注ぎ込まれている。既に生産が終了している「エキシージスポーツ410」の後継モデルとして更なるパフォーマンス向上を実現。最高速度はスーパーカーに匹敵する290km/h。0-100km加速は後輪駆動車としては驚異的と言える3.4秒をマークしている。
スーパーチャージャー付きのV6エンジンは最高出力426ps(1トンあたり383.8psというレーシングカー顔負けのパワーウェイトレシオ)と43.5kgm(427Nm)もの最大トルクを発生。それでいて車両重量は1,110kgに抑えられているため、まさにカミソリのような切れ味の乗り味が保証されているのだ。
「エキシージ」以外のモデル、例えばノーマルの「エリーゼ」であっても、〈ロータス〉のクルマは運転時のダイレクトな操作性とダイナミックさは常に評価されてきた。スポーツカーを運転する時によく用いられる「人馬一体」という形容詞をこれほどピュアに実現できているメーカーは〈ロータス〉以外にはほとんどないと言うひともいるくらいだ(〈Caterham(ケーターハム)〉セブンの人馬一体感も凄まじいものがあるが、あれは少々特殊なクルマなので…)。
その中でもパフォーマンスという点で頭抜けた性能を持つ「エキシージ」の最強モデルは、サーキットで走らせたら脳内麻薬がドクドクと出っ放しになるに違いない。パワーアシストなしのステアリングはクルマの挙動をダイレクトに感じられる「言語ツール」のような役割を果たす。加速時、高速コーナリング時、そして低速で流している時ですら、クルマがどんな状態であるかをフィードバックしてくれる。これはまさにライトウェイトスポーツカーでしか味わえない、クルマとの対話。制限速度を守りながら高速道路を走るだけでドキドキできるクルマは、今の時代滅多にあるものではない。


インテリアはごく簡素に映るかもしれないが、すべては軽量化と性能のため。必要最低限の装備に絞った内装も現代のクルマとは思えないほどスパルタン。

イギリス車なので右ハンドルも用意される。流れるように入る赤いステッチがいかにもスポーツカーらしい雰囲気を加速させている。

スーパーカー並みの性能を手に入れた「エキシージ」ファイナルエディションは、少し走らせるだけで脳内麻薬に溺れそう

〈ロータス〉のクルマの内装は伝統的に簡素。冷暖房は装備されているものの、あれやこれやの便利な機能は基本的にないと思っておいた方が良い。日本の軽自動車でも当たり前のように備わっている快適機能がないのは軽量化のためだ。先に述べたように〈ロータス〉は一部のモデル以外はライトウェイトスポーツカーであることを突き詰めてきたので、優しくする対象は人ではなくクルマなのだ。
ただ、「エキシージ・スポーツ420 ファイナル・エディション」は内装がアップグレードされている。TFTインストルメントパネル、ファイナルエディションビルドプレート、新デザインのステアリングホイール、新しいシートトリム/ステッチパターンなどを盛り込み、最終モデルにふさわしく更にレーシーでスパルタンな方向に振り切った。
TFTインストルメントパネルは丸形タコメーターのアナログスタイルとリニアバータコメーターのデジタルスタイルに切り替え可能。そしてレーシングカーのようなシフトライトが付いているところも見逃せない。これはエンジンの回転数が上がるとライトが緑から黄色、レブリミットに近づくと赤になることで最適なシフトアップのタイミングをドライバーに教えてくれる機能なのだが、市販車で装備されるクルマはごく一部。こんなところからもレーシングカーを運転しているような気分にさせてくれるのだ。


アナログスタイルの丸型タコメーター。デジタル表示だがクラシカルな雰囲気がある。

これがシフトライト。どちらかというとサーキット走行時に役立つ機能だ。


床下からニョキッと生えるシフトレバーは「根元」が剥き出し!これも軽量化の策のひとつなのだけれど、とにかくあらゆるところがスパルタンで感心してしまう。

コーナリング時に体をしっかりと支えるバケットシートは人間工学に基づいた設計。長時間のツーリング時にも疲労を感じにくいメリットがある。


鍛造アルミホイールとミシュラン・パイロット・スポーツカップタイヤの組み合わせで足元も軽量でありながら高い運動性を確保。ブレーキ系統はAPレーシング製のキャリパーとブレーキディスクを装備。熱容量が大きく耐摩耗性に優れているため、スポーツ走行の要となる制動力にも安心感が強い。

カーボンファイバーが多用されている点もこのモデルの特徴だ。リアウイングはもちろん、ボンネットやルーフなど内外装を問わず様々な箇所で採用されている。

やっぱりスポーツカーはマニュアルミッションに限る!

また、頑なにマニュアルミッションであることも絶賛したい。硬派なスポーツカー/スーパーカーであってもほぼすべてのクルマが電子制御のセミATなのに対し、〈ロータス〉のスポーツカーはマニュアルミッションがしっかり用意される。もちろんATの方が遥かに楽なのだけれど、スポーツカーを本当に楽しみたいならマニュアルミッションがベスト!これはテクノロジーが進化した今の時代でも変わらないと思うクルマ好きはきっと多いはずだ。「エキシージ・スポーツ420 ファイナル・エディション」のような扱いに慎重さが求められるクルマを古典的なマニュアルミッションで操ることは、状況次第ではリスクをも伴う行為。だからこそ、何度も運転して少しずつ上手に操ることができるようになれば喜びもひとしおだろう。


ファイナルエディションであることを証明するデカールは、生粋の〈ロータス〉ファンから一目置かれること間違いなし。

最高出力426psを発揮する3.5L DOHC V6 スーパーチャージャー付きエンジンはミッドシップに配置される。


「エリーゼ」のファイナルエディション(向かって左)はよりマイルドな性格だが、ピュアスポーツカーとしての性能は十二分に発揮。並べてみると「エキシージ」のレーシーなルックスが際立つ。

「エキシージ・スポーツ420 ファイナル・エディション」は本記事でレッド紹介しているカリプソレッドの他に、メタリックホワイト、ブラック、レーシンググリーン、ナイトフォールブルー、エセックスブルーの計6色展開。

今後の〈ロータス〉が気になりつつ、「最後のエキシージ」は今年もっともプッシュしたい一台

主力モデルが軒並み生産終了になることから今後の〈ロータス〉の動向が非常に気になるところだが、噂によると100%電動で2,000馬力を超えるハイパーカーを開発中とのこと。〈ロータス〉がハイパーカーの領域に手を伸ばす情報にどれくらい信憑性があるかは未知数だが、実際にプロトタイプが製作されているのであながちあり得ない話ではないかもしれない。現時点でメーカー側から公式に発表されているのは「これまでのロータスのレガシーを引き継ぐ」というコメントのみ。ということは、電気自動車もしくはハイブリッドカーとしてライトウェイトスポーツカーを生まれ変わらせる可能性はあるのではないだろうか。
いずれにしても、20年以上に渡り世界のクルマ好きを夢中にさせてきたピュアなライトウェイトスポーツカーの生産が終了することは非常に残念な事実。特に「エキシージ」はルックスの良さも含めて今の時代には稀有な存在だった。世界的に見てガソリン車の生産がいつまで続くのか、という過渡期に生きる私たちにとって、〈ロータス〉が作るスポーツカーはある意味で「最後の砦」のようなものだったのかもしれない。ステータス性を自慢する類のクルマではなく、心底運転が好きな人々に向けて作られる「最後のエキシージ」は間違いなく今年もっとも手に入れる価値のあるクルマのひとつだ。
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