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本物よりも本物 – 世界のデニム狂からリスペクトされるFULLCOUNTの魅力に迫る

ジャパンデニムをけん引してきた〈FULLCOUNT〉の魅惑的な世界へようこそ。星の数ほどあるデニムブランドの中で、なぜ〈フルカウント〉はこれほど世界中のデニム狂からリスペクトされ続けるのだろうか?その魅力の一部に迫る。


Written : LIVE IN RUGGED
Photo : FULLCOUNT

20年掛けて「ジャパンデニム」という独立したジャンルを確立した

本物をこよなく愛するLIVE IN RUGGED読者にとって、ジーンズやデニムジャケットはファッションの範疇を超えたライフスタイルウェアと言って過言ではないはず。まっさらな新品状態から穿き始めて、何年も掛けて根気よくエイジングさせていく行為は、一種の儀式のようなもの。同じように見えてひとつひとつが異なる色落ちへと成長するデニムウェアに憑りつかれると、トレンドがどう変わろうとも決して離れることができなくなる。本記事ではジャパンデニム業界を代表するブランド〈FULLCOUNT(フルカウント)〉の美しい写真をフィーチャー。ヴィンテージデニム愛好家をもうならせる「本物のデニム」の魅力に迫る。
デニム業界には国内外問わず数えきれないほどのブランドが乱立しているが、その頂点に君臨するのが〈Levi’s®(リーバイス®)〉であることは今後も変わらないだろう。ただし、ここ20~30年間で大きく変わったのは日本製のデニムを使ったジャパンデニムブランドの台頭だ。〈フルカウント〉、〈EVISU(エヴィス)〉、〈DENIME(ドゥニーム)〉、〈STUDIO D’ARTISAN(ステュディオ・ダ・ルチザン)〉、そして〈WAREHOUSE(ウエアハウス)〉といった先駆者たちを筆頭に、第2世代となるブランドも数多く誕生。
オーセンティックなヴィンテージレプリカを極めるブランド、ヴィンテージのディテールを備えながら洗練されたパターンを武器にするブランド、素材としてジャパンデニムを使いながらとことんミニマルな方向性に進むブランドなど、デザインもテイストもかつてないほどの広がりを見せている。ブランドにより方向性こそ様々ながら、今やジャパンデニムは世界のファッション業界にとって最高品質の証明。ヨーロッパのビッグメゾンもわざわざ岡山県のデニムファクトリーを訪問し、オリジナルのデニムを開発するほどなのだ。

既存の価値観に捉われず刺激的なモノ作りを続ける姿勢が〈フルカウント〉の未来を切り開いてきた

その中で〈フルカウント〉も独自の進化を遂げてきた。主力となるジーンズとデニムジャケットはとことんオーセンティックかつクラシックに。素材は最高級のジンバブエコットンにこだわり、パターンは都度見直しを入れてアップデートを繰り返している。定番モデルであっても「はい、完成!」と言わずにミリ単位で調整し続ける姿勢は、ファンからリスペクトされる理由のひとつだ。数年前に〈フルカウント〉であることを特徴づけていたバックポケットのアーキュエイトステッチを廃止し、ステッチなしのデザインに変更した時はファンの間でも賛否両論だったことが記憶に新しい。ジーンズにとってバックポケットのステッチは見た目上の生命線のひとつ。すでにアイコンになっていたステッチをなくすという判断には〈フルカウント〉代表である辻田幹晴氏の葛藤が表れていた。
元々ヴィンテージの501®XXを再現することを目標にモノ作りをしていた〈フルカウント〉は素材開発からパターン引き、縫製などすべての工程でヴィンテージジーンズを再現する概念があった。しかし、何年もモノ作りをしているうちにレプリカの範疇を超えたオリジナルのデザインも多く生み出すようになり、辻田氏を始めとしたスタッフの心の中には徐々に変化が訪れる。ブランド立ち上げからしばらくして発生した空前のレプリカデニムブームを経て、いつしか「フルカウント=501®XXのコピー」という見られ方をされるようになり、辻田氏の目線と異なるイメージに悩みが生じるようになったという。
その後、501®のアーキュエイトステッチからヒントを得て生まれた〈フルカウント〉のアーキュエイトステッチが何と商標登録を取得。当たり前のことだけれど、商標が取れた=オリジナルとして認められたということになる。辻田氏自身が意外だったと語る商標登録を経て、ステッチを廃止するという大胆な決断を敢行。周囲からはかなり反対されたと言う。それでもアイコニックなステッチを廃止したのは、ジーンズの最大の魅力はエイジングさせることであり、かっこいいエイジングへと成長したジーンズにはステッチの有無はさほど重要ではないのではないか、という考えに変わったから。ディテールのデザインに魅力を感じてもらうのではなく、ジーンズそのものに魅力を感じてもらえることを最大の目標として、改良を重ねている。
その決意は、現在作られているすべての〈フルカウント〉のデニムウェアに反映されている。絶対定番として作られる品番であっても現状にあぐらをかかず、絶えずアップデートし続けること。既存のヴィンテージ系ブランドの枠組みからあえて外れたモノ作りも行うこと。2021年秋冬シーズンに発表された〈ISAMU KATAYAMA BACKLASH(イサム・カタヤマ・バックラッシュ)〉との異業種コラボレーションは、現状に満足せず常に前を向き続ける〈フルカウント〉の姿勢を強く象徴している。

ホッとする我が家のような安心感を感じるのはデニムウェアだけ

2021年の現在、〈フルカウント〉はデニムファンの間で伝説的な存在だ。90年代から始まったモノ作りは大阪から東京へと広がり、純粋なデニム好きはもちろん、古着好きや裏原宿ブームに沸く当時のキッズたちからも一目置かれる存在だった。2000年代以降は海外にも積極的に進出。ヨーロッパとアメリカ、アジア各国で〈フルカウント〉のデニムウェアはラギッドなファッションを愛する男たちから熱烈に支持されている。
黒に近いほど濃く染められたジンバブエコットンは数年間着用すると鮮やかでコントラストの強い色落ちへと変化する。張りがありながら素晴らしい肌触りのオリジナルデニムを着ると、他のパンツでは得られない安心感を感じるはず。お気に入りのデニムウェアはHOMEのようなものだ。何百回、何千回と繰り返し着用してきたジーンズやデニムジャケットを着用すると、暖かい我が家に帰ってきたような感覚になる。それこそがデニムウェアの魅力なのかもしれない。
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