SHEIN Is Dead

SHEIN にさようならを告げるべき5つの理由

異常なほどの安さを武器に世界を席巻するも、品質の低さや有害物質の検知などネガティブなニュースが常に付きまとう「SHEIN」について


Written : LIVE IN RUGGED

爆発的ブームを起こすも、常にきな臭い「SHEIN」

10~20代の若い世代の女性を中心に日本でも爆発的なブームを巻き起こした「SHEIN(シーイン)」。中国発の総合ネット通販サービス「シーイン」は、既存のファストファッションブランドと比べても圧倒的に安価であることから世界的な話題を呼び、アメリカやヨーロッパ、日本や韓国をはじめとしたアジア圏など世界的な人気を短期間で獲得した。インスタグラムなどのSNSでも購入したユーザーによる投稿が数え切れないほどあふれており、ビジネス的には大成功を収めたショップと言っていいだろう。しかし、これほどの人気と知名度を獲得したにもかかわらず「シーイン」には常にきな臭いニュースが報じられている。
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多くの人が耳にしたことがあるのは、商品自体のクオリティの低さだろう。「届いたその日に壊れた」「縫製が雑すぎて数日で着られない状態になった」といった意見は数え切れないほど見つけることができる。もっとも、品質が極端に低いのは商品価格の安さから推して計るべきと言っていいだろう。Tシャツが500円、スニーカーが2000円など、大量に生産しているとはいえ、いくらなんでも安すぎる。実店舗を持たないことと自社工場で生産していることが安さの秘訣らしいが、工場の劣悪な労働環境問題も社会的に話題を呼んだ(2022年に世界唯一の実店舗「SHEIN TOKYO」がオープン)。低賃金、長時間労働、従業員の健康状態を無視した環境などで不買運動が起きたことも。当たり前のことだが「異常なほど安い=誰かが酷い目に合っている」可能性が高いことも、消費者の私たちは頭に入れておくべきだ。

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複数の商品で発がん性物質などの有害な成分を確認

また、韓国・ソウル市が2024年6月11日から7月11日までの1ヵ月間、「シーイン」、「Temu(テム)」、「Ali Express(アリエクスプレス)」などの海外直輸入商品における安全性検査を実施した結果、女性用下着1件から膀胱がん発生リスクを高める発がん性物質、化粧品8件から皮膚感染症を引き起こす有害物質を確認したと発表し、世界的にニュースとなった。内訳は、「シーイン」の下着からは発がん性物質であるアリルアミンが国内基準値の2.9倍である87.9mg/kgを検出。アリルアミンは化学染料で、国際がん研究機関(IARC)では人体発がん性物質(Group 1)に分類されている。化粧品においては「アリエクスプレス」と「シーイン」で展開するリップスティック2件とアリエクスプレスのチーク2件から、皮膚に感染した場合に発疹やアトピー性皮膚炎などを引き起こす可能性がある黄色ブドウ球菌を確認。さらに、両ブランドのマニキュア4件からは基準値以上のニッケルとジオキサンが検出されている。ニッケルは基準値を超えるとアレルギー性皮膚炎を誘発し、ジオキサンは呼吸器や眼粘膜、肝臓、腎臓に影響を与える危険性がある。加えて、リップスティック2件やチーク2件、ファンデーション3件などの一部化粧品は、表記量に比べて製品含有量が7~23%不足していることも判明している。さらにキッズアイテムにおいては、基準値を超えると生殖機能に影響を与えるほか、発がんリスクもあるフタル酸系可塑剤が確認されたと発表。この事実から推測せざるを得ないのは、「シーイン」が消費者・労働者双方の健康よりも売ることを優先しているということだ。

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大切なのは、人気があるから買うのではなく、しっかりと自分の価値基準を持つこと

2025年6月12日、フランスの上院が「シーイン」や「テム」などのウルトラファストファッションに関連する企業や製品の広告を全面的に禁止する条項を追加した。また、これらを宣伝するインフルエンサーに対しても最大10万ユーロの罰金が科される可能性があるなど、世界的に見ても厳しい法案を可決している。この法案が通った背景には、繊維産業の環境影響の軽減という目的があるようだが、消費者に対して責任を持たない企業に対するNoの姿勢も伺える。もちろん、フランスはファッション大国なので、自国のファッション産業を守りたいという思惑もあるのだろう。
一方、「シーイン」は2025年6月27日に、製品の安全性と品質管理体制を強化する新たな施策を発表。米国の消費者製品安全法(CPSA)やEUの一般製品安全規則(GPSR)など、各国の法規制に準拠しつつ、独自の安全基準を設定し、製造前後の各フェーズで品質をチェックすること。子ども用アパレルに使用する生地は、化学成分および可燃性の検査に合格していることを利用条件とするなど、コンプライアンス関連も含めた行動基準や方針の見直しを図るとしている。
今後「シーイン」の商品がどの程度改善されるのかは不明だ。しかし、私たちが決して忘れてはならないのは、しっかりと自分の価値基準を持って買い物をすべきということ。生活を豊かにするために購入したものが健康を害する可能性があるなんてあり得ないし、それを作るために誰かが劣悪な環境で働いていることも許されてはならない。長くなってしまったので、「シーイン」に別れを告げるべき理由を以下に箇条書きにする。
・あまりに品質が低い(安かろう悪かろうの典型)
・現在も劣悪な労働条件で働かされている従業員がいる可能性が高い
・発がん性物質など、人体に有害な成分が検知されている
・オンラインサイトの個人情報の取り扱いやデータ保護に問題があるとされ、ハッキングや不正アクセスの危険性が懸念されている
・デザインのコピー問題がある(ファッションブランドに期待するクリエイティビティが低い)
LIVE IN RUGGEDの読者の多くは男性なので、女性向けの商品を展開する「シーイン」には直接関係はないかもしれない。しかし、家族やパートナー、友人がこういった事情を知らずに同ショップで買い物をしようと考えているなら、それとなく止めてあげる方がいいかもしれない。
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