古き良きクロムハーツ – ワイドケルティックバンドリング

数多いクロムハーツのモチーフの中でもマニアックな人気があるケルティックモチーフ。かつて所有していたワイドケルティックバンドリングは一度も人と被ることがなかった。


Written / Photo : LIVE IN RUGGED

2000年代のクロムハーツでは決して生まれないリング

80年代後半に誕生した〈CHROME HEARTS(クロムハーツ)〉。今やライフスタイル全般をカバーする幅広いラインナップを誇る同ブランドは、かつてバイカー向けのレザーウェアを作るブランドだった。デザイナー兼創設者のひとりであるRichard Stark(リチャード・スターク)が自分と仲間のために作り始めたライダースジャケットやレザーパンツ。それらの金具として使っていたスターリングシルバー製のパーツの評判も高まり、ジュエリー単体として発売し始めたのが爆発的な人気の引き金となる。
当時〈LEONARD KAMHOUT(レナード・カムホート)〉や〈STANLEY GUESS(スタンリー・ゲス)〉といったデザイナー/ジュエラーの助けを得て生まれたヨーロッパ的なデザイン…クロスやダガー、フローラルといったモチーフは性別を超えた支持を集めることとなる。創立からしばらくは男性的なボリュームでクラシカルなデザインのアイテムが多く、ケルト族の神話に出てくるケルティックドッグをモチーフにしたアイテムもブランド創立から間もなく発売されている。
このワイドケルティックバンドリングは一時期愛用していた筆者のかつての私物。ケルティックドッグモチーフが大好きだったわけではないものの、このリングの奇をてらわないクラシカルなデザインと重厚なボリュームに一目惚れ。厚みがあるのでかえって着け心地が良く、手に入れてからしばらくは毎日右手の中指に鎮座。まったく飽きの来ないお気に入りだった。
男性的でボリュームたっぷり、洗練よりもワイルドでクラシックなデザインなので、2000年代以降の〈クロムハーツ〉ではなかなか生まれないタイプのリングと言えるだろう。


「ワイドバンドリング」のモデル名の通り、幅広かつ上下でモチーフを挟むように構成されている。適度な重量感が病みつきに。

古い〈クロムハーツ〉ならではの荒めの作りがかえって好ましい。マスターピースの作り自体が丁寧さに欠けているのが手に取って見るとよく分かる。でも、それがいい。

郷愁的なデザイン

だから、古いファンほどワイドケルティックバンドリングを見て心が動かされるかもしれない。実際このリングを着けていて興味を示したのは私と同年代かそれ以上の男性だけ。通なリングを着けているね!というお褒めの言葉を何度かいただいたことがある。
人とまったく被らない点も気に入っていた。〈クロムハーツ〉の代表的なリング…キーパーリングやフローラルクロスリング、ダガーリングといった傑作たちは高確率で〈クロムハーツ〉好きと被ってしまう。だが、このリングはただの一度も着けている人と実際に会ったことがない。そういうマニアックなアイテムであることも私が満足していた理由のひとつだったりする。
ワイドケルティックバンドリングのマニアックさや郷愁的なデザインは今見ると更に魅力を感じる。多くの人が見向きもしないデザインという意味では単純に「不人気モデル」の烙印が貼られてしまうかもしれないけども。コアな〈クロムハーツ〉ファンには良さがきっと伝わるだろう。
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ITEM CREDIT
  • CHROME HEARTS:Wide celtic band ring