強烈な個性を自分のモノにする楽しさ – エヴィスの圧倒的な世界

ジャパンデニムのパイオニアであり、その強烈なアイデンティティで今もカリスマ的な人気を誇るエヴィス。中毒者も続出する一方で、まったく受け付けない人もいる。エヴィスは個性が強すぎて普通のデニム好きには着こなせないブランドなのだろうか?


Written : LIVE IN RUGGED
Photo : EVISU official site

アクの強さと同居するヴィンテージ気質

ジーンズのバックポケットに手描きで描かれるカモメ形のペイント。エヴィスのアイコンであり、これがあるだけでジーンズ好きは全員エヴィスであることを瞬時に認識する。このアイコンは積極的に採用されており、いまやジーンズやデニムジャケットのみならずゴルフウェアや靴、コートやTシャツなどのファッションアイテムのみならず、家具に至るまで所狭しと入る。まるでルイ・ヴィトンのモノグラムのようだ。
誰もが即座に認識できるアイコンがあることはブランドとしての強みではあるものの、それがあることで遠ざかる人がいるのもまた事実。エヴィスの場合は「さり気なく」使うのではなく「ふんだんに」使うため、その傾向は他ブランドと比べてもずっと多いことだろう。
ということは、エヴィスはド派手でアクの強いだけのブランドなのだろうか?エヴィスファン以外もこの質問には「No」と言うはずだ。元々エヴィスは非常にオーセンティックなモノ作りをするデニムブランドであり、魅力的なヴィンテージ的スペックを豊富に盛り込んできた。
防縮加工あり・なしを選べる日本製デニム。黄色や黒などの個性的なセルヴィッジ。オフセットしたベルトループや隠しリベット。素材からパーツまでヴィンテージへのリスペクトがありつつ、独自の解釈でエヴィスがカッコいいと思うアレンジをしてきただけ。最初はアクの強さに目が向いてしまうが、よくよく見ると徹底的なほどヴィンテージ気質が同居していることに気付く。


カモメアイコンがモノグラムのようにパターン化されたテーラードジャケットとシャツ。エヴィスを知らない人が見ればちょっと変わったカモフラ柄だと思うかもしれない。よく穿きこんだジーンズとの相性は抜群。エヴィスはこのスタイルに革靴を合わせることを勧めている。

合わせるボトムスによってガラリと雰囲気が変わる。レインボー柄のペイントが施されたジーンズやオーバーオールなど個性的なアイテムが揃うのもエヴィスならでは。今やキャップやバッグ、チェアなどアパレルブランドの枠を超えたモノ作りを行うブランドに成長した。

Made in Japanを強烈に感じるブランド

ジーンズはアメリカで生まれた洋服だが、エヴィスは誕生時から日本らしさを押し出してきたブランドでもある。レザーパッチの戎様のイラストからもそれが分かる。あくまでも洋服を作っているのだが、間違いなく根底には日本人としての美意識が強く流れているのだ。単純に日本で作っているからメイドインジャパンなのではなく、日本的なセンスやアイディアを積極的に盛り込むことで確固たる地位と人気を確立したブランドと言っても良いだろう。
どことなく昭和的なノスタルジーを感じさせる雰囲気も、今の時代にはとても新鮮。こんなモノ作りをするブランドは他にいない…日本人も外国人もそう思っているに違いない。


80年代のダサさの象徴、ブリーチデニムですらエヴィスの手に掛かるとエキゾチックでクールな洋服に生まれ変わる。このセンスこそ真骨頂。

世界一強烈なデニムオンデニムのセットアップ。ジャケットからボトムス、ストールに至るまでカモメが躍る。しかし胸に差した真紅のスカーフが悔しいくらいオシャレだったりもする。

もちろんデニムは選べないほどラインナップが豊富

例えばレギュラーストレートのLot.2000と、スリムテーパードのLot.2000Tでも5種類もの生地を選択できる。防縮加工なしのNo.1タイガーセルヴィッジ。荒い質感を活かしたNo.1タイガーセルヴィッジ「ガタガタ」。防縮加工ありのNo.2レッドセルヴィッジ。青い耳のNo.2チモーサ・インダコ。そしてNo.1デニムに防縮加工を施したトラ耳のタイガー・プレシュリンク。生地の質感や肌触りが違ったり、耳の色が違ったりと、見ているだけでワクワクするデニムがエヴィスにはある。
シルエットはエヴィスらしさのあるゆったりとした形から、今っぽい強めのテーパードも用意されており、好みに応じたパターンが揃う。裾幅の広いモデルを選べばラギッドな着こなしにピッタリだし、テーパードしたモデルは男らしいスタイルでも洗練されたコーディネイトにも合う万能さがある。バックポケットのカモメペイントは希望しなければ入れないこともできる。この柔軟さもエヴィスならではだ。


標準的なストレートシルエットのLot.2000。エヴィスの代表モデルと言えばこれだろう。太くも細くもない絶妙なシルエットゆえ、流行に関係なく長く穿ける。

ヒップから太腿に掛けてややゆとりのある形状で、膝下からテーパードするLot.2000T。ここ数年で特に売れているモデル。レギュラーストレートよりも洗練された印象なので、ジャケットなどを合わせると意外なほど大人っぽいスタイリングが決まる。

強烈な個性を自分のスタイルに取り入れる楽しさ

例えばジーンズにカモメペイントをあえて入れないことで落ち着いた着方もできるけれど、どうせエヴィスを着るなら「らしさ」を存分に感じられる仕様がおすすめ。定番のジーンズはもちろん、テーラードジャケットやシャツ、スカ^フや靴など種類を問わずエヴィス特有の個性を楽しめるはずだ。
エヴィスが強烈な個性を持った派手なブランドなのは間違いないが、確かな品質も売りであることを忘れてはいけない。エキセントリックな個性を普段の自分のスタイルにどう取り入れるかを想像するのも楽しい。実際に取り入れてみたら抜け出せなくなるほど大好きになるかもしれない。

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