引き継がれていく腕時計 – ブライトリング・プレミエ765
クロノグラフ機構を持つ腕時計のパイオニアであるブライトリング。ファッション性の高さと職人的な意匠を両方感じられるヴィンテージのプレミエ765は、生産から70年以上経過しても色褪せない魅力がある。
Written : LIVE IN RUGGED
Photo : Hodinkee
ブライトリングは語りたくなるヒストリーがてんこ盛り
腕時計が成熟した今の時代において数十年前、あるいは100年近く前の歴史的側面を感じられる機会は滅多にない。精度が高いことが当たり前になり、複雑機構の代表的テクノロジーであるクロノグラフもあらゆるメーカーが当然のように搭載している。
一般的にはあまり知られていない事実だが、クロノグラフとしての基本的な機能であるスタート・ストップ・リセット機能を最初に作り上げ、特許を取得したのはブライトリングだった。ブライトリングはクロノグラフのテクノロジーにおいて常に先駆者であり、ロレックスを含めた世界的なメーカーが数年後にブライトリングの後を追うような時代があったのだ。スタート・ストップ・リセットというデュアルプッシャー・クロノグラフをブライトリングが発明してから約2年後、他のメーカーたちが同じような機構を自身の腕時計に搭載するようになる。
一般的にはあまり知られていない事実だが、クロノグラフとしての基本的な機能であるスタート・ストップ・リセット機能を最初に作り上げ、特許を取得したのはブライトリングだった。ブライトリングはクロノグラフのテクノロジーにおいて常に先駆者であり、ロレックスを含めた世界的なメーカーが数年後にブライトリングの後を追うような時代があったのだ。スタート・ストップ・リセットというデュアルプッシャー・クロノグラフをブライトリングが発明してから約2年後、他のメーカーたちが同じような機構を自身の腕時計に搭載するようになる。
それでは、なぜブライトリングはクロノグラフにおいてこれほど先駆者たりえたのか?1884年にスイスのサンティミエに設立した精密機器を製造する工房から歴史は始まる。創業当初は懐中型のクロノグラフとストップウォッチを中心に時計を製作し、既にこの時代から多くの賞を受賞するほどの技術力を持っていた。
1892年に時計産業の中心地であるラ・ショー・ド・フォンに移転してからは、パイロット用懐中クロノグラフの製作を開始。後のブライトリングの将来を決定づけるパイロットウォッチとしての礎を築くようになる。それからのブライトリングの歴史はまさにクロノグラフと共にあったと言って良いだろう。
30分積算計が装備されたワンプッシュ・クロノグラフを開発し、現在のクロノグラフ腕時計の原型とされるモデルを発表。20世紀になり世界的にクロノグラフの需要が高まると、1915年には世界初となる専用プッシュボタンを携えたクロノグラフ腕時計を開発。1934年にはリセットボタン機構の開発に成功し、現在のクロノグラフの原型を創り上げることとなる。さらに1936年には当時の英国空軍のサプライヤーとなり、航空界とのパートナーシップを密接なものとした。
このように、ブライトリングのヒストリーは常にクロノグラフのヒストリーでもあった。親子3代に渡りクロノグラフを搭載する時計への情熱を絶やさなかったことも凄いが、ライバルに先んじて画期的なテクノロジーを発明し続けた創造力と、実際に形にしてしまう技術力は時計史上に残る偉業である。
1892年に時計産業の中心地であるラ・ショー・ド・フォンに移転してからは、パイロット用懐中クロノグラフの製作を開始。後のブライトリングの将来を決定づけるパイロットウォッチとしての礎を築くようになる。それからのブライトリングの歴史はまさにクロノグラフと共にあったと言って良いだろう。
30分積算計が装備されたワンプッシュ・クロノグラフを開発し、現在のクロノグラフ腕時計の原型とされるモデルを発表。20世紀になり世界的にクロノグラフの需要が高まると、1915年には世界初となる専用プッシュボタンを携えたクロノグラフ腕時計を開発。1934年にはリセットボタン機構の開発に成功し、現在のクロノグラフの原型を創り上げることとなる。さらに1936年には当時の英国空軍のサプライヤーとなり、航空界とのパートナーシップを密接なものとした。
このように、ブライトリングのヒストリーは常にクロノグラフのヒストリーでもあった。親子3代に渡りクロノグラフを搭載する時計への情熱を絶やさなかったことも凄いが、ライバルに先んじて画期的なテクノロジーを発明し続けた創造力と、実際に形にしてしまう技術力は時計史上に残る偉業である。
腕元がオシャレに決まる最高のルックスと、絶妙なバランス感
このプレミエ765は1940年代(推定では46年製)と70年以上昔のモデル。ややクリーム色に変色した文字盤が枯れた雰囲気を醸し出しているが、全体的には非常にクリーンでリッチな腕時計だ。若干グレー掛かったインダイヤルは文字盤とのコントラストが少ないため、時計自体が必要以上に目立たない控えめな印象。素晴らしく美しいデザインなのに落ち着いた雰囲気であることが洋服との合わせやすさに繋がっている。
派手で押しの強い腕時計はパッと見た時のインパクトが強烈なので腕元を力強く彩ってくれるだろう。一方落ち着いた静かな印象の腕時計は知性を感じさせる。ヴィンテージのプレミエ765は間違いなく後者だ。38mmというケースサイズは日本人の腕にも最適なサイズ感で、着用時はことさら目立つことなく、それでいて程よく主張してくれるだろう。前述のように文字盤のカラーリングが控えめなのでどんな色のトップスにも合わせられる。そしてこの洗練された美しいデザイン!一目でヴィンテージであることが伝わる枯れた表情は、現行モデルでは決して味わえない魅力だ。
時代を超えて引き継がれていく腕時計
このプレミエ765は名機Valjoux(バルジュー)178を搭載していることも見逃せない。現在のブライトリングはすべてのモデルのムーブメントを自社生産し、そのすべてがクロノメーター(クロノメーター検定協会による厳しい検査に合格した腕時計のこと。スイス製ウォッチのわずか3%しか合格していない)という凄まじいことを達成しているため、真新しいブライトリングもとても魅力的なのだけれど、伝説的なバルジューというムーブメントを搭載している事実は時計好きにはたまらない。
古いヴィンテージウォッチには見た目以上のヒストリーがある。生産当時のエンジニアやデザイナーたちの卓越した技術とセンスを今の時代でも味わえることは、本当に贅沢なことだ。ブライトリングが創業者からその息子へ、そして孫へと受け継がれて発展を遂げたように、このプレミエ765もきっとオーナー自身から次のオーナーへと引き継がれていくだろう。本当に良い名品は時代を超えて愛されていく。
ITEM CREDIT
- BREITLING:1940s Premier Reference 765