Taste of old Japan 45R L5 jeans

ジャパンメイドならではのセンスが注入される45Rの限定ジーンズ「L5」

ヴィンテージに敬意を払いながらジャパンメイドならではのセンスにこだわる45R。L5ジーンズは過去に限定生産された特別モデルの復刻で、ハードコアなデニム狂を再び歓喜させた。


Written : LIVE IN RUGGED
Photo : 45R

日本のエッセンスを入れることで独自のスタイルを築き上げたプレミアムブランド

藍納戸や麦デニム、ゴマデニム、群青など、日本的な色や質感をモデル名に掲げる45R。5ポケットジーンズはアメリカ生まれのヴィンテージをベースにしつつ、日本製ならではのセンスをデザインや世界観に落とし込むスタイルはこのブランドの大きな魅力だ。45Rの日本製へのこだわりと愛情は欧米でも非常に高く評価されている。特に海外の人たちからは日本のエッセンスが加わった洋服はエキゾチックなものとして映るのだろう。そう考えると、日本名が付けられた洋服を海外のファッション好きが嬉々として着ているのは何だか少し誇らしい気持ちになる。
45Rは昔からデニムウェアや藍染めを得意としており、デニムブランドが作るジーンズこそが至高という強いパブリックイメージの中で独自の立ち位置を確立した稀有なブランドでもある。ファッションブランドが作るデニムウェアでも高品質なモノはいくつもあるが、国内外を含めてそれらの中でも45Rが作るプロダクトは超一級品。
デニム自体をオリジナルで開発し、定番モデルであっても不定期にアップデートを繰り返す。どれだけ良いデニム生地を開発しても「もっと良い品質を!」と求め続ける姿勢を貫いてきた。例えば昔から定番モデルとして作られている5ポケットジーンズの「空比古」も素材、デザイン、仕様、シルエットを幾度もアップデートしてきた。穿きこんだ後の風合いや色落ちは過去のモデルと現行モデルではかなり違うし、ボタンやリベット、革パッチなどの副資材を含めて細かいデザインや仕様はまったく異なる。シルエットも、やや太めのクラシカルなストレートであることは変わらないが、テーパードの程度や股上の深さ、腰回りのフィット感などはミリ単位で必要に応じて調整。モノ作りのこだわりと情熱は45Rの核となる大切な部分なのだ。
今年突如発売されたL5ジーンズは過去に発売された5ポケットジーンズで、レギュラーモデルとは一線を画す限定版。デニム自体が「空比古」を含めて他のどのデニムウェアにも使われていない特別製で、ゴツゴツ・ザラザラしたSlubbyな質感が特徴。写真のL5ジーンズはリジッドではなく加工モデルで、何年も穿き古した状態をリアルに再現している。


太腿の部分がもっともフェイドした自然な色落ちを再現。場所によってはアイスブルーに近い色合いになっており、デイリーユースで何年も着用した後のエイジングが表現されている。

ナチュラルカラーの革パッチには「L5」のロゴがスタンプされる。全体の色落ち具合は適度に選択を繰り返して着用した状態を再現したと推測。


旧「空比古」で使われていたトップボタンと、無刻印のリベット。この時代の「空比古」を愛用する私にとっては非常に泣けるディテール。

中盛りのベルトループやオーセンティックなコインポケットなど、各所のディテールはあくまでもヴィンテージがソースになっている。

オールドファンが歓喜するディテールを備え、光の速さで完売…

L5ジーンズはデニム自体も特別さがあるが、ボタンやリベットなどの副資材が旧「空比古」で使われていたパーツが使われているところもポイント。「R」ロゴのデザインは星型のアイコンが付く鉄製で、長く着用すると金属パーツもわずかに経年変化していくのだ。特別に開発されたSlubbyなデニムと廃盤になっているパーツを利用していることから、L5ジーンズは特にオールドファンから大歓迎され、即完売した。私もかなり欲しかったのだけれど、発売に気付いた時点で自分にとってのゴールデンサイズは既に完売…まさに涙を飲んだという次第。
ちなみにこのSlubbyなデニムのセルビッチはホワイトタイプ。リーバイス501などは赤耳が定番なのに対し、L5のホワイトセルビッチも爽やかでさり気なさがあってとても良い。また、隠しリベットも凹凸のあるブランド名入りの旧タイプだったり、やはりオールドファンが「待ってました!」と歓迎するディテールが満載だった。


ただの鉄製ボタンなのに旧タイプのデザインにはグッとくる。凹凸のある隠しリベットも現行モデルでは使われていないパーツ。凹凸があるためデニムにダメージが蓄積されやすいというデメリットはあるが、それもまた好きだったり。

薄いペンキのような汚れがフロントにも手作業でつけられる。色落ちは線落ち。淡いブルーに清涼感があり、どんな洋服や靴を合わせるかを考えるのも楽しそうだ。


これもまた爽やかなホワイトセルビッチ。当然裾はチェーンステッチで、ウネウネした色落ちも見事に再現されている。

このモデルだけの特性革パッチ。L5のロゴ部分はひび割れたような加工が施され、リアルなエイジングへの熱意が伺える。

どうかL5ジーンズがまたいつか再販されますように…

洋服とはその名の通り欧米から伝わってきた服のこと。日本人は昔から外国の文化を独自にアレンジすることが得意で、時に大胆に、時に繊細に日本的な「編集」を行ってきた。45Rの洋服はデニムに限らずジャパンメイド・ジャパンブランドならではのエッセンスが注入されていて、繊細でありながらパワフルなデザインに昇華されている。
L5ジーンズは限定モデルだったので再生産の可能性が低いことは承知しつつ、またいつか再販されることを願ってやまない。45Rのオールドファンとしてもデニム狂としてもこのモデルは手に入れて後悔することは決してないからだ。
ちなみに、筆者が所有する「空比古」はチェック済み?

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