Cheap or expensive? Find the best knit

【3,990円~72,600円】この冬買い足したいニットを厳選

安くても高くても値段以上の価値を持つニットを厳選。さぁ、あなたが選ぶのは安いニット?高いニット?


Written : LIVE IN RUGGED
Photo : 無印良品 / BEAMS / BRITISH MADE / ZOZO TOWN / MAISON MARGIELA

低価格から高価格まで買って損のないニットをピックアップ

男女問わず秋冬の定番インナーとして重宝されるニット。日によって最高気温にばらつきがあるもののまだまだ厳しい真冬日は続きそうなので、もう一着追加したい方もいらっしゃるのではないだろうか。ニット選びが冬を制する…というのは大げさだが、アウターを問わず合わせやすいニットは毎シーズン多くのブランドから定番アイテムとしてリリースされており、どれを選ぶべきか迷ってしまうこともある。そこで、LIVE IN RUGGED的におすすめのニットを厳選して紹介。低価格帯(3,990円~)から高価格帯(~72,600円)までピックアップしたので、ダメ押し的に購入したいニット選びの参考にしていただきたい。

【3,990円】無印良品のヤク混ウールクルーネックセーター

まずは我々庶民の味方、〈無印良品〉から。〈無印良品〉の洋服はすべてが素晴らしいわけではないが、時折「これは良い!」と思える掘り出し物を見つけられる。今季発売されたヤク混ウールクルーネックセーターもその好例だ。
ヤクというのはウシ科の動物のことで、チベット高原を中心に標高4,000~6,000メートルにある草原、ツンドラ、岩場などに生息する。ヤクは食用だけでなく毛皮も古くから防寒着として重宝されてきた。寒さの厳しい高地で育つ特性から毛の防寒性は非常に高く、テントやロープとしても使われているという。
ヤク混ウールクルーネックセーターはその名の通りヤクの毛を混紡したもの。厳しい寒さに耐える毛が自然に生え変わるタイミングを見計らって、人の手で丁寧に梳き取って生産される。ちなみに「混紡」と書いた通りヤクの毛100%ではなく、メリノウールと繊維の太さを揃えた上で混紡している。メリノウールと混紡することで手触りが滑らかになり、肌触りの良さと防寒性を両立。自宅で手洗いできるという手軽さもあり、今季よく売れたトップスのひとつのようだ。
〈無印良品〉の凄さは、このように手間を掛けながら超良心的なプライスであること。税込み3,990円を高いと思う人はほとんどいないのではないだろうか。つい先日実際に店頭で手に取って見たら、謳い文句通りしっとりと心地良い肌触りだった。やや薄手だったので真冬のインナーはこれひとつで充分!とは言えないかもしれないが、質を考えると値段以上の価値があると思う。しつこいようだが圧倒的に安いので、色違いで複数揃えたくなってしまう。ニットは何枚あっても困らないし。


良い意味で無個性なのが〈無印良品〉の魅力だったりする。このニットも至って普通の見た目で安心して着用できる。

シルエットもごくごくベーシック。もちろんそれが良い。

【8,250円】BEAMS PLUSの5ゲージ ケーブルクルーニット

続いて老舗セレクトショップ〈BEAMS〉のオリジナルレーベル〈BEAMS PLUS〉から、やや厚手のケーブルニットを。定番として秋冬シーズンに登場する5ゲージケーブルクルーニットは、生後6ヵ月前後までのメリノ種の子羊から刈り取られた柔らかな羊毛糸(ラムズウール)を使用している。ラムズウールは通常の羊毛糸と比べて繊維が細く柔らかいため、肌触りが良く軽量なのが特徴。また、熱伝導率の低さと空気をしっかり含む特性があり、クリンプ(弾力性と保温性)に優れながらも、吸湿性と放湿性にも優れている。まさにニットとして使い勝手の良い羊毛糸なのだ。
〈BEAMS PLUS〉の5ゲージケーブルクルーニットもベーシックなデザインで、余計なことは何もしていないシンプルさが魅力。ファブリック自体の厚みもあり、〈無印良品〉のヤク混ウールクルーネックセーターよりも防寒性の面ではアドバンテージがあるだろう。
ちなみに8,250円はセール価格であることを追記しておく。定価は16,500円で、半額セール中のプライスなので、気になる方はソールドアウトになる前にご検討のほどを。


ケーブル編みの素朴なルックス。程よい厚みがあり、いかにも暖かそうだ。

定番商品なのでデザイン自体はごくベーシック。飽きずに次の秋冬も着用できる。

【17,050円】DRAKE’Sのシェットランドウールセーター

3つめは英国から、〈DRAKE’S(ドレイクス)〉のシェットランドウールセーター。こちらも〈BEAMS PLUS〉と同様生後6ヵ月前後までのメリノ種の子羊から刈り取られた羊毛糸、ラムウールを使用している。通常のウールよりも繊維が細く、しなやかで保温性が高い特徴を持つため、ラムウールは国を問わず大人気だ。遷移が細い=チクチク感がなく、軽量で長時間着ていても疲れにくいというメリットもある。まさにラムウールは自然からのギフトである。
〈ドレイクス〉は1977年アクアスキュータムのアクセサリー・コレクションのデザイナーとして活躍していた、マイケル・ドレイクによって設立。ウール、カシミア、シルクを使ったマフラーやスカーフなどの小物のコレクションからスタートし、ブランドの成長に従い衣料も製造するようになった。伝統的な素材と製法にこだわり、古き良きブリティッシュメイドを今に伝えるハイクオリティな英国ブランドだ。
そんなブランドが作るニットは言わずもがなの高品質。しなやかで暖かいニットは高級感があり、良いモノを着ているという満足感も感じられるはず。ちなみにこちらも17,050円はセール価格で、プロパーは34,100円。既にイエローとホワイトはソールドアウトになっている。急げ!


赤いニットは着こなしが難しそうだが、〈ドレイクス〉は深みのある落ち着いた色合いなので意外なほど合わせやすい。

ブルージーンズはもちろん、チノパンやスラックスとの相性も抜群。英国製ならではの雰囲気を楽しもう。

【31,878円】SOVEREIGNのカシミアクルーネックニット

続いて〈UNITED ARROWS〉の最上級レーベル、〈SOVEREIGN(ソブリン)〉のカシミアクルーネックニット。こちらはこれまでのウール素材ではなくカシミア100%だ。セレクトショップとして確かな目を持つ〈UNITED ARROWS〉の最上級レーベルである以上、クオリティへのこだわりは高級インポートブランド並み。上質なカシミアを厳選し、100%使うことで極上の肌触りと防寒性を担保している。
素材の良さもさることながら、余計な装飾が一切ない削ぎ落とされたデザインと、そのデザインが醸し出す上品な雰囲気もさすがの一言。〈UNITED ARROWS〉はオリジナルブランドへのこだわりが非常に強いことでも知られているが、〈SOVEREIGN〉のカシミアニットも素材、デザイン、品質どれを取っても一級品。同程度のニットを海外ブランドで探すと何割か高くなるはずだが、この価格で上質なカシミア100%のニットを購入できるのも、セレクトショップオリジナルならではの魅力だ。
そしてこちらも31,878円はセール価格。定価は50,600円なので、37%OFFということになる。写真のオフホワイトはMサイズが残りわずかになっているので、こちらも売り切れてしまう前に検討をおすすめする。


しなやかに陰影を描くドレープしたライン。いかにも柔らかそうだ。最高の肌触りを3万円台で購入できる幸せを噛みしめてほしい。

程よくゆとりのあるシルエットが大人っぽい。当然何シーズンでも着用できる。

【72,600円】MAISON MARGIELAのSpliced セーター

最後を飾るのは〈MAISON MARGIELA(メゾン・マルジェラ)〉。ヨーロッパのモード界を代表するブランドのセーターはやはりこれまでとは毛色が違う。正面と背面で色の異なる素材が使われており、ちょうどボディサイドの真ん中あたりで素材が切り替わるようになっている。マルジェラらしい伝統と遊び心が混ざったデザインだ。後ろ身頃にはホワイトの4本ステッチが入り、洋服好きが見たら一瞬でマルジェラだと分かる。ミニマムだけどさり気なくデザインされていて、しかも非常にセンスが高い。この絶妙なバランス感と質の高さは他ブランドにはなかなか真似できないだろう。
ちなみにこのセーターの素材はウール100%。ひとつ前の〈SOVEREIGN〉はカシミア100%なので、世間的な評価としては素材単体で見ると〈SOVEREIGN〉に軍配が上がるのかもしれない。ただし、カシミアだから偉いとか優れているというわけではないし、ウールにはウールの良さがある。日常使いするならウールの方が気軽でメンテナンスも楽だし、どちらの素材を良しとするかは個人の判断によって分かれるはずだ。
〈メゾン・マルジェラ〉のセーターはセール価格で72,600円。プロパーは121,000円なので、かなり割り引いて売られている。たかがセーターに7万円超と思うか、12万円のセーターを7万円で手に入れられると思うかもあなた次第。


ややゆったりとしたシルエットで、袖丈も長め。ざっくりとしたニットは厚みもあり、防寒性も高そうだ。当然リブやネックの耐久性も高い。

前後で色違いの素材をドッキングさせるというアイデアと、破綻なく成立させる技術力。〈メゾン・マルジェラ〉のレベルの高さはセーターにも表れている。

たかがニット、されどニット
高いから良いわけでもないので、自分の価値観に従って選ぶのが正解

安価なものから高価なものまでまとめて紹介していて思ったのは、正解なんてないということ。4,000円以下の〈無印良品〉が7万円超の〈メゾン・マルジェラ〉よりも劣っているかどうかは、見る人の価値観によって異なるからだ。たかがニットに数万円出費するなんてバカバカしいと思うのはある意味で健全な反応だと思うし、結局は消耗品になり得るのだから、安く済ませて色違いを楽しもうという考えも買い物の仕方として賢いと思う。
反対に、本当に良いモノを身にまといたいという欲求も理解できる。ニットは肌に直接触れることもあるインナーなので素材の良し悪しは肌触りの面でも大いに現れる。良質な素材を正しく贅沢に使ったモノであれば、長時間着用していてもストレスなく過ごせるだろう。たかがニット、されどニットなのだ。
安く済ませるか、中間を取るか、思い切って高価格帯を買ってしまうか。さぁ、あなたはどれを選ぶ?