Let's wear a beautiful denim jacket

A.P.C.の美しいデニムジャケットで大人のファッションをもっと楽しむ

着こなしに奥行きが出る、モードでミニマルなA.P.Cのデニムジャケット。


Written : LIVE IN RUGGED
Photo : A.P.C.

A.P.Cはオーセンティックなのにミニマルという新しいテイストを作った

元々ワークウェアだった背景もあり、デニムジャケットはどうしてもアメカジ色が強いものが多い。特にメンズは〈リーバイス〉を筆頭とするオーセンティックなブランドがベンチマークになっており、ヴィンテージを忠実に再現した仕様のアイテムが圧倒的な地位を占めていると言って良いだろう。
実際にヴィンテージやレプリカ系ブランドが作るデニムウェアのレベルの高さはLIVE IN RUGGED読者には説明不要だし、トレンドに左右されない普遍的な魅力もある。ただ、ヴィンテージっぽすぎたりアメカジテイストが強すぎると、着こなしの観点では完璧ではなかったりする。だから、デニムをこよなく愛する人には「ヴィンテージ系とモード系」の2着を揃えることをおすすめしたい。
1987年にJean Touitouが設立した〈A.P.C.〉は、カジュアルと洗練されたエレガンスを融合させたファッションブランド。フランスのブランドらしい少しモードな雰囲気と上質な素材にこだわる本物感、そして時代を超えたシンプルなスタイルは世代も性別も超えて支持されている。
今でこそメンズ・レディース問わず洋服や服飾品、インテリアグッズまで生産しているが、〈A.P.C.〉はまずデニムウェアで名声を得たブランドだ。日本製のセルヴィッジデニムを使いながら従来のデニムブランドでは決して作り得なかった洗練されたテイストを持ち込んだ〈A.P.C.〉のジーンズやジャケットは、欧米のファッションピープルからハードコアなデニム狂まで分け隔てなく支持を集める。本物の素材を追求するオーセンティックな姿勢とミニマルな感性が融合し、それまではほとんどなかったひとつのテイストを確立したブランドが〈A.P.C.〉なのだ。


2ndタイプをベースにミニマルなデザインに。全体から洗練された雰囲気が感じられるのが〈A.P.C.〉の持ち味だ。

ウエストは程よくシェイプされている。シルエットへの強いこだわりも〈A.P.C.〉ならでは。タイトだが細すぎずアウターとしてもインナーとしても合わせやすい。


〈リーバイス〉の2ndと比べて身幅はタイトに、着丈はやや長めに設定されている。

日本製のセルヴィッジデニムを使用。パリッとした硬さがあるため最初は快適ではないかもしれないが、着続けることで自分の体にフィットしていく。

クラシックに敬意を払いながら独自のアレンジを施したデニムジャケット

〈A.P.C.〉と言えばジーンズのプチスタンダードなどが定番モデルとして常に売れ続けているが、このデニムワークジャケットも〈A.P.C.〉らしさを存分に味わえる逸品。
〈リーバイス〉の2ndに代表される2つのフラップ付き胸ポケットと前開きボタンという伝統的な仕様を維持しながら、シルエットや着丈を調整し、要素を削ぎ落とすことでまったく新しいデザインにアレンジ。ご覧の通りアメカジっぽさのない洗練されたデザインに仕上がっている。


セルヴィッジは赤耳。〈A.P.C.〉はセルヴィッジデニムしか着ないというコアなデニム好きも高く評価する。

「A.P.C. rue Madame pres du Luxembourg」の文字が刻まれたオリジナルボタン。リーバイスタイプでもなく、ドーナツボタンでもないところが〈A.P.C.〉らしい。

ヴィンテージ系とは違う楽しさのあるデニムジャケット

要素を削ぎ落としミニマルにすることで、洗練された雰囲気と上質を求める大人も着られるデニムウェアとして〈A.P.C.〉は独自の立ち位置を確立した。今20歳の人にとってはいつか似合うようになりたいと憧れる存在かもしれないし、40歳の人にとっては大人になっても着続けられるブランドとして安心感が強い。いつものヴィンテージ系も着ながら、オーセンティックなのに洗練された美しいデザインのデニムジャケットも着る。その日の服装や気分に合わせて異なるテイストを使い分ける余裕こそが、大人のファッションの楽しみ方のひとつだ。

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