This is a way of life, not fashion

スタイルや生き方にも通じるアンダーカバーのライダースジャケット

日本を代表するブランド〈アンダーカバー〉のロックでモードなライダースにぶれないスタイルを見る。


Written : LIVE IN RUGGED
Photo : HUIBEN

音楽やカルチャーのエッセンスが注入される〈アンダーカバー〉のライダースジャケット

メンズファッションを大きく2つに大別すると、一過性のトレンドと永久不滅の定番品に分かれる。どちらにもそれぞれの良さがあり甲乙つけがたいのだけれど、どちらかというと男性は後者に惹かれるタイプが多い。洋服、靴、小物、腕時計、ジュエリーなど、男は何にでも「ぶれない本物」の要素を見出そうとする生き物ではないだろうか。
当然メーカー側はそんな男の気持ちを理解しているので、古今東西世界中のファッション系ブランドが「我々の商品こそが本物の中の本物ですよ」とアピールする。LIVE IN RUGGEDの読者であれば自分の価値観を持ってモノ選びをされていることと思うが、数多いメンズファッションアイテムの中で特に「本物かどうか」を問われ、「男らしさ」や「着こなしのカッコ良さ」も同時に求められるのがライダースジャケットだ。
UNDERCOVER(アンダーカバー)〉が作るライダースジャケットには一貫して音楽やカルチャーのエッセンスが注入されており、その尖ったクリエイションや斬新な発想、それでいてオーセンティックなデザインと作りが常に人気を集める。デザイナーである高橋盾氏のバックグラウンドにあるパンクやロックへの強い愛情とアートへの情熱、そしてもちろんライダースジャケット自体への愛が込められた逸品たちは、明らかに他ブランドが作るモノとは雰囲気が違う。本日紹介するライダースジャケットも、形自体はベーシックなダブルタイプながら随所に〈アンダーカバー〉らしさを感じられるデザインになっている。


全体的な構造はオーソドックスなダブルタイプ。しかしジップを通常よりも多用するなど斬新なアイデアが反映されている。

V字の切り返しが入る背面。ウエストの「PSYCHOCANDY」のレタリングが〈アンダーカバー〉らしい。

ロックへの強い愛情をモードとストリートのエッセンスを介してデザイン

まず、全体的にはオーソドックスなダブルタイプのライダースジャケットであることに注目したい。オリジナリティを出すために基本構造などを崩してしまうブランドもあるが、〈アンダーカバー〉はベーシックな形式を採用。これは長く着ることを考えるとユーザーとしては嬉しい部分だ。しかし、ボディとしてはオーソドックスながら、両肩にジッパーが追加され、小さなテキストでメッセージがプリントされるのはこのブランドならでは。ベーシックにさり気なくデザイン性を追加するのは〈アンダーカバー〉の得意とするアレンジで、誰も予想できない独創的なアイデアをトータルで見てカッコ良くまとめる編集能力のようなものがこのブランドにはある。
背面にはV字の切り返しが設けられ、ウエスト部分には大きく「PSYCHOCANDY」のレタリング。この白いレタリングがあることで、ともすればリアルバイカー的雰囲気に偏り過ぎるライダースジャケットにモードとストリートのエッセンスをプラスしている。ちなみに「PSYCHOCANDY」とはイギリスのロックバンド、The Jesus and Mary Chain(ジーザス&メリーチェイン)のアルバム名で、袖にプリントされるテキストは「PSYCHOCANDY」の歌詞の一部。高橋盾氏のロック好きな一面が垣間見えるデザインアレンジは常に注目される部分だが、このライダースジャケットにも絶妙なバランスで音楽を感じさせる要素が入れられている。


袖にプリントされる「PSYCHOCANDY」の歌詞。無機質なフォントがモードの雰囲気を強めている。

これがあるのとないのでは大違いの「PSYCHOCANDY」プリント。ロックTと同じく、元ネタであるバンドの音楽も愛しながら着用すべし。


洗練されたシルエットだが、タイトすぎないパターンになっているところは今っぽい。身幅も袖も多少ゆとりがあるサイズを選べば、インナーに厚めの洋服を着てもスッキリと着られる。

腰で語るロック愛!分かる人には分かる「PSYCHOCANDY」のレタリングが実にクール。

ファッションという枠を超え、生き方にすら通じる〈アンダーカバー〉のライダースジャケット

もちろん見た目だけ洗練させたわけではなく、至る所に機能性も完備されている。フロントに並行に走るオフセットされたジッパーと隠しパネルはスッキリした見た目と実用性を兼ね備えたハンドポケットとして機能。ウエストポケットと先に述べたショルダージップも合わせると合計6つもの機能的なポケットが装備されている。オリジナルのYKKダブルジップとシルクのように上質な黒いライナーも備えた贅沢な仕様で、年齢を問わず上質さと尖ったデザインを両方楽しめる逸品に仕上がっているのだ。
素材は厚みとしなやかさのあるホースハイド(馬革)なので経年変化も存分に楽しめる。
古くからあるデザインに敬意を払いながらブランドらしさを素晴らしいバランスで成立させる〈アンダーカバー〉のライダースジャケットは、人とは違うモノを求める人はもちろん、オーソドックスでありながらモードのエッセンスがしっかり入った上質な逸品を求める人にもおすすめ。音楽的な要素も含め、ファッションでありながらファッションではない、言わば生き方を感じさせるモノ。それが〈アンダーカバー〉のライダースジャケットなのだ。
同じくロックへの情熱がほとばしるSupreme×UNDERCOVER×Schottのトリプルネームライダースジャケットは読了済み?