Ground Y meets BLACK JACK

手塚治虫氏が生んだ世紀の名作漫画「ブラック・ジャック」と〈Ground Y〉が織りなす黒の世界

日本発祥のアート×ファッションをストレートに感じながら、モノトーンでクールに着こなせるのが〈Ground Y〉の魅力。あなたが好きなあのシーンがプリントされているかも?


Written : LIVE IN RUGGED
Photo : Yohji Yamamoto

ブラック・ジャックが実在していたら〈ヨウジヤマモト〉の洋服を着ているかもしれない

日本を代表するモードブランドである〈Yohji Yamamoto(ヨウジヤマモト)〉が展開する1ラインである〈Ground Y(グラウンド・ワイ〉から、名作「BLACK JACK(ブラック・ジャック)」をフィーチャーしたアパレルコレクションが11月2日(火)にローンチされる。誰もが知る漫画界屈指の名作を得意のモノトーンの世界に封じ込め、モード好きはもちろん手塚治虫ファンも決して見逃せないデザインが完成した。
説明の必要もないほど誰もが親しんできたであろう「ブラック・ジャック」について一応おさらいをしてみよう。
「ブラック・ジャック」は少年漫画の分野で一時代を築いた手塚治虫氏による医療漫画。原作は「週刊少年チャンピオン」にて1973年11月19日号から1978年9月18日号にかけて連載したのち、1979年1月15日号から1983年10月14日号にかけて不定期連載された。Wikipediaによると2015年9月時点で単行本(新書版・文庫版・ハードカバー等を含む)の国内累計発行部数は4564万部、全世界累計発行部数は1億7600万部をそれぞれ記録しているという。数字的には歴史的な記録を残しているが、ファンならご存じのように実は「ブラック・ジャック」は彼の「冬の時代」に生まれたと言われている。
1960年代終盤の劇画ブームや「週刊少年ジャンプ」の新人発掘路線の影響をまともに受け、手塚氏の描く漫画は古臭いものとして時代から取り残されるようになり、少年誌での連載が激減。また、1973年には自身が運営する虫プロ商事と虫プロダクションの倒産を経験し、漫画家としても経営者としてもまさにどん底の真っただ中にいたという。
そんな暗い時代に生まれた「ブラック・ジャック」は手塚氏自身の医学生時代の経験を主人公に反映し、これまでにない暗くシニカルなキャラクターを創出。命のやり取りを描くようなシリアスなストーリーは当初まったくと言っていいほど読者から受け入れられず、連載当初はほぼ毎回最下位の人気だった。その後大人を巻き込んで徐々に人気が出始めてからは軌道に乗ったようだが、「鉄腕アトム」や「ジャングル大帝」のような「ザ・少年漫画」を得意としてきた手塚氏にとっては異色の作風だったと言えるだろう。
今回〈Ground Y〉とのコラボレーションが実現した理由は、「ブラック・ジャック」で常に描かれる生命の尊さや医療の意義といった人間の倫理観を問う精神性と、〈ヨウジヤマモト〉が掲げる服を通して人間の存在意義を問うという哲学が共鳴した結果だという。そう言われてみると時にシリアスで暗く、時に人間の温かさや尊さを描く「ブラック・ジャック」と黒を基調としたモノトーンの世界を展開する〈ヨウジヤマモト〉にはたくさんの共通点が見出せそうだ。ブラック・ジャックが現実世界に生きていたら、もしかしたら〈ヨウジヤマモト〉のコートやシャツを普段着として愛用しているかも…?なんて思ってしまった。
アイテム的には〈Ground Y〉らしさを強く感じる2枚襟のロングシャツやオーバーサイズのフーディー、アシンメトリー仕様のロングスリーブTシャツなどが展開され、それらに「ブラック・ジャック」の印象的な名シーンをモノトーンでプリント。アート×ファッションが勢いを増すストリート/モードシーンにおいて、またひとつ歴史に残るコレクションが誕生した。

〈Ground Y〉ならではのカッティングエッジな作りにも注目

漫画を題材にした洋服はこれまでも数多くのブランドから登場してきたが、今回の〈Ground Y〉と「ブラック・ジャック」のコンビはその中においても屈指の説得力がある…と個人的には思う。黒にこだわる〈ヨウジヤマモト〉と常にモノトーンの洋服を身にまとう謎めいたブラック・ジャックの組み合わせには不思議なほど共鳴するものを感じるし、何と言っても世界観が似ているように感じるのがその理由だろう。もちろん〈Ground Y〉ならではのカッティングエッジなデザインと確かな作り、丁寧な縫製など洋服自体の品質の高さも魅力のひとつ。この秋は日本を代表するモードブランドと日本を代表する傑作漫画によるコラボレーションを楽しんでみてはいかがだろうか。
この秋登場したばかりのSupreme×THE CROWもダークな世界観を見事に反映している。
セント・マイケル×WIND AND SEAも本コレクションが気になる方にはおすすめ。

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