Watches and jewelry are the best friends

時計とジュエリーは友人のような存在

愛しさを感じるのに世間的な価値なんて関係ない。私たちの個性を演出し、時に饒舌に、時に静かに存在感を放ってくれる時計とジュエリーは、豊かな暮らしには欠かせない大切な存在なのだ。


Written / Photo : LIVE IN RUGGED

人間と無機物の間にある不思議な絆

洋服は毎年買い足すけれど、時計とジュエリーは何年も同じモノを身に着けているという人は多い。まず時計に関しては、「時間を知る」という行為自体が時計よりもスマートフォンの方がはるかに正確になってしまった。少し前の時代までは他に代えられない確固たる目的があった時計の存在意義が揺らいだ、とも言える。ビジネスパーソンにとって必須アイテムであることは変わらないものの、正確な時間を確認するツールとして、デジタル機器にその座を奪われつつあるのは否定できないだろう。
ジュエリーに関しては、特に男性にとってはよほど好きでない限りは毎年新しく買い足す類のモノではない。それどころか、興味がなければ一生縁がないアイテムの筆頭だったりする。共通しているのは、生活必需品ではないことと、趣味性が高いことだ。
ただし、言い換えると趣味性が高い=よりパーソナルなモノということ。洋服が暑さや寒さから身を守るプロテクター的な存在であるのに対し、時計とジュエリーは自分の身を守ってくれる機能性はなく、あくまでも趣味の延長なのだ。そう考えると、洋服よりもよっぽど「遊べる」アイテムであり、自分の嗜好やこだわりを反映できるアイテムであることに気付く。実際、好きな俳優やミュージシャンが身に着ける時計やジュエリーに強いあこがれを感じたことは誰しもあるのではないだろうか。有名人ではなくても、自分の身の回りにいる人…例えば学生時代のかっこいい先輩や、社会に出てから出会った上司や同僚が素敵な時計やジュエリーを身に着ける様子を見て「自分も欲しい」と思ったことはきっとあるはず。
LIVE IN RUGGED読者の皆様であれば、既に時計もジュエリーもお気に入りのモノがいくつか手元にあるかもしれない。その中には数年間、あるいは10年以上という長い年月を共に過ごした相棒のようなアイテムがないだろうか?それらは大げさではなく友人のような存在だ。楽しい時も辛い時もそっと自分のそばに寄り添ってくれる無口な友人。毎日身に着けているといつの間にか傷や汚れが増えてしまうけれど、それは長く一緒に過ごした証でもある。私たちの顔にシワやシミができるのと同じように、時計とジュエリーも愛用すればするほどエイジングしていく。それは、人間と無機物の間にある不思議な絆のようなものだ。


左上から時計回りに。〈Rust Made in England(ラスト・メイドインイングランド)〉のクローペンダント、〈PHENOMENON BEYOND DESCRIPTION(フェノメノン・ビヨンド・ディスクリプション)〉のケネディーコインペンダント/ダイヤモンド、〈TRAVIS WALKER(トラヴィス・ワーカー)〉のオリジナルスカルリング 10 year anniversary、〈CHROME HEARTS(クロムハーツ)〉のキーパーリング、〈LONGINES(ロンジン)〉のヴィンテージウォッチ、〈OMEGA(オメガ)〉スピードマスター・プロフェッショナル 1982年製。〈ロンジン〉は父が何十年も前に購入したモノ。他は基本的に10年以上前に手に入れたモノ。

丁寧な羽根の彫り込みが美しい〈WING ROCK(ウイングロック)〉のフェザーペンダント。ほぼ毎日身に着けているお守りのような存在。


左上から時計回りに。〈オメガ〉スピードマスター・プロフェッショナル 1982年製。〈BARK OUTSIDERS(バーク・アウトサイダーズ)〉のウォッチベルト。〈AZUSA(アズサ)〉オーソドキシー。〈TMPL〉1910’s クロノグラフ。〈ウイングロック〉のフェザーペンダント。〈Rust Made in England〉のトグルブレスレット。〈クロムハーツ〉のクラシックオーバルクロスリングとキーパーリング。

〈オメガ〉スピードマスター・プロフェッショナル 1982年製。自分と同じ年に生まれたモデルなので思い入れが強く、唯一無二の存在。

自分にとってよりパーソナルな存在だから、長く持つほど愛しさが増していく

時計もジュエリーも熱心な愛好家やコレクターと比べると数は少なく、飛びぬけて高価な何かを持っているわけでもない。でも、これらはすべて手放すつもりは一切ない。ほとんどが10年以上の付き合いで、衝動買いをしたモノはひとつもなく、どれも吟味して手に入れた。先ほど述べたように、まさに自分の楽しい時も辛い時も常にそばにあった友人のような存在だ。
時計とジュエリーは趣味性の高い世界ゆえ、目玉が飛び出るような市場価値に化けたモノも世の中にはたくさんある。そういったレア物やお宝アイテムばかりが話題になり、チヤホヤされる傾向がファッション業界にはどうしてもあるけれど、それはそれとして今自分が持っている掛けがえのない相棒を大切にする気持ちは忘れたくないと思う。パーソナルなアイテムだからこそ、世間的な評価なんて気にする必要が一切ないのだから。例え数万円のリングひとつでも、自分で大切だと思えばダイヤモンドがブリンブリンにセットされた200万円のジュエリーよりも価値がある。これが負け惜しみでも何でもない正直な気持ちであることは、時計とジュエリーを心底愛する人であれば共感いただけるのではないだろうか。
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