Realistic worker aging TCB Jeans

TCBジーンズ – 男が惚れる、ワーカーのリアルなエイジング

これぞ正しいデニムのエイジング方法?


Written : LIVE IN RUGGED
Photo : TCB Jeans

メカニック作業中でも着用することで、唯一無二の色落ちに

私たちが若い頃に憧れたヴィンテージの〈Levi’s®(リーバイス®)〉が素晴らしい色落ちをしていたのは、当時のアメリカ人たちがラフに着用していたからだということはあまり意識されていない。今でこそジーンズはファッションアイテムとして完全に確立されているけれど、ジーンズがこの世に誕生してから数十年間もの長い間、オシャレのためではなく仕事着の一部として使われていた。当然当時の彼らの中にはかっこいい色落ちのノウハウのようなものはなかったし、穿きたい時に穿きたいように穿いていただけだと思う。着用開始から数ヵ月は洗濯をしないとか、洗剤にこだわるとか、現在デニム狂たちがこぞって実践するエイジング方法なんて考えもしなかったのではないだろうか。東海岸に住む学生たちがファッションとして着用し始めるまでは、ジーンズは基本的にブルーワーカーのためのモノだったので、炭鉱や農業、メカニックなど肉体労働に従事する男たちの仕事着だったのだ。現代の私たちはジーンズを少し過保護にしすぎていないだろうか?
国内外問わず熱狂的なファンを多く抱える〈TCB Jeans(TCBジーンズ)〉にかかわる人たちは、デニムに対してとことんリアルな付き合い方をしている。本記事で紹介するKiriyamaさんの職業はメカニック。クラシックミニの修理やカスタマイズ、レースカー制作などを得意とするKiriyama Worksでクルマの整備などをされている。メカニックはクルマの汚れたパーツを手に取ったり、オイルに塗れることも日常茶飯事なので、専用のツナギを着て作業を行う人が多いのだけれど、Kiriyamaさんは〈TCBジーンズ〉のデニムのセットアップが作業着のようだ。
着たままクルマの下に潜ったりするので当然普通よりも汚れるし、デニム生地が擦れる機会が多い。また、デスクワークのような仕事と違ってメカニックという仕事特有の色落ちやアタリが発生するのではないだろうか。正直に言うと「汚れちゃうよ、もったいない!」と最初は思ってしまった。けれど、TCBジーンズの公式サイトに掲載されたKiriyamaさんの仕事風景、佇まいを見ていると、「これぞ正しいデニムとの付き合い方なのでは?」と思い直した。

男が惚れる、男っぽいデニムとの付き合い方

デニムジャケット、ジーンズともにくっきりと浮かぶヒゲやジャバラ、ハチノスはお見事と言うほかない。浮かび上がるような立体的なアタリはヘビロテで着用していることの証拠だ。もちろん〈TCBジーンズ〉が作る商品自体が素晴らしいクオリティであることが大前提ではあるのだけれど、デニムが着方によって経年変化の具合が大きく変化することを考えると、Kiriyamaさんのセットアップは超リアルで生々しく、そこがとてつもなくかっこいい。
例えばデニムジャケットの胸ポケット。常に入れているのであろうタバコの箱の形にくっきりとアタリが出ていることが分かる。また、クルマの下に潜りこんで作業をしている画像を見ると、股の部分に小さな穴ができていることにお気づきだろうか?股の部分に穴が開くのは両脚を外側に開くことが多く、そのテンションが負荷になっていることが原因であることが多い。これもメカニックという仕事柄を表す、Kiriyamaさんだけのエイジングと言えるだろう。
ジーンズが作業着だったはるか昔と同じ着用方法で自分だけの経年変化を刻む。汚れようが穴が開こうが気にしない。気になれば洗えばいいじゃん。デニムウェアがワーカーのための作業着だった背景を考えると、このラフな付き合い方は間違いなく正解のひとつだ。お気に入りのジーンズを現代的なセオリーに倣って丁寧に成長させる着方ももちろん正解のひとつだけれど、このハードで男らしい付き合い方は同じ男から見て無性にかっこよく見える。
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