【第4回】スタイルのある人 – トム・クルーズ
男も女もスタイルのある人に憧れる。どうしてあの人はいつもあんなに素敵なんだろう…それはきっと揺るぎないスタイルがあるから。連載「PEOPLE WITH STYLE(スタイルのある人)」第4回はハリウッドを代表するムービースター、トム・クルーズをフィーチャー。
Written : LIVE IN RUGGED
「トップガン・マーヴェリック」はトム・クルーズ主演作で過去最高のヒット作になる可能性あり
映画「Top Gun: Maverick(トップガン・マーヴェリック)」が絶好調だ。5月27日(金)に日米同時公開されると、アメリカでは週末の3日間だけで75万人が映画館に足を運んだ。この週末だけで興行収入1億5600万ドル(約202億8,000万円)を稼ぎ出したという。本作は1986年に公開された「TOP GUN(トップガン)」の36年ぶりの続編。2020年に公開される予定で制作されていたものの、新型コロナウイルスのパンデミックの影響でやっと(本当にやっと)公開されたという背景がある。
アメリカ・カリフォルニア州サンディエゴの海軍基地にある戦闘機のパイロットを養成する「Navy Strike Fighter Tactics Instructor(SFTI)米海軍戦闘機戦術訓練所」にて、空中戦(ドッグファイト)の技術を磨くために過酷な訓練を受けるパイロットが繰り広げるアクション映画である「トップガン」。超リアルな空中戦の描写と人間ドラマ、主演のTom Cruise(トム・クルーズ)やVal Kilmer(ヴァル・キルマー)の超がつくカッコよさ、そして冷戦が終了する間際の社会背景もあり、全世界で35億ドル(約4,540億円)以上もの興行成績を記録。アメリカでは海軍への入隊希望者が急増するなどの社会現象も引き起こした。
〈CHROME HEARTS(クロムハーツ)〉創始者のRichard Stark(リチャード・スターク)などが登場する連載「PEOPLE WITH STYLE(スタイルのある人)」バックナンバーを見る
アメリカ対ソ連という2大大国による緊張をはらんだ対戦構造や、チェルノブイリ原子力発電所で発生した原発事故など大きな社会不安が起きていた当時、人々はスカッとするようなエンターテインメントを求めていたことも大ヒットの要因だったという意見もある。そう考えると、前代未聞のパンデミックにより苦しめられている現代の私たちがその続編である「トップガン・マーヴェリック」に夢中になるのも自然なことなのかもしれない。
トム・クルーズが主演してきた過去の作品の中で「トップガン・マーヴェリック」が初動の興行成績において過去最高を記録したという凄いニュースに、いかに人々がこの映画を待ち望んでいたか、そして実際にスクリーンで観ずにはいられないほど(人によっては何度も観てしまうほど)優れた内容であるかを物語っている。
トム・クルーズが主演してきた過去の作品の中で「トップガン・マーヴェリック」が初動の興行成績において過去最高を記録したという凄いニュースに、いかに人々がこの映画を待ち望んでいたか、そして実際にスクリーンで観ずにはいられないほど(人によっては何度も観てしまうほど)優れた内容であるかを物語っている。
トム・クルーズは常人とは別次元の時間軸で生きている
前作に主演した当時は23歳だったトム・クルーズも今や59歳。立派なおじさんというか、もはやおじいさんに片足を突っ込んでいる年齢なのに、それを感じさせない若々しさとうっとりするほどのハンサムっぷりはもちろん健在だ。この人はもしかしたら我々とは違う時間軸の中で生きているのでは?と思うほどまったく衰えない。トム・クルーズの主演作を代表する「Mission: Impossible(ミッション:インポッシブル)」シリーズでも続編が出るごとに人間離れした超絶アクションを見せつけてくれているが、「トップガン・マーヴェリック」ではそれらと比較しても過酷な撮影となった。実際に戦闘機に乗り込んで最大8G近い強烈な環境下で演じてみせている。トム・クルーズは本作のインタビューにおいて「単なる映画を作るのではなく、限界を超える何かをもっと表現できないか、と思いながらこの映画を作った」という言葉を残している。そのために、トムをはじめとしたパイロット役の出演者たちは飛行中の戦闘機内で演技できるように3ヵ月もの時間を掛けてトレーニングを重ねたという。グリーンスクリーンやCGに頼ることなく「実機」に乗り命を懸けて演技をする…この常識破りの手法と映画作りにおける情熱も非常にトム・クルーズらしい。
「ミッション:インポッシブル」以降、トム・クルーズはアクション俳優としてのキャリアを築き上げてきた。特にカーアクションとバイクアクションの華麗さはファンならばご存じの通り。危険なアクションシーンではスタントマンが代理を務めることが当たり前になっているハリウッド映画の世界でも、トムは自らスタントをすることにこだわりを持っていることも有名だ。長年の鍛錬によりクルマとバイクの操縦はプロ顔負けで、実際に映画の中でそのテクニックを幾度も披露している。今度はどんなスリリングなアクションをしてくれるだろう?というファンの期待をはるかに上回るレベルでぶちかましてくれるのだから、トム・クルーズのファンはやめられない!
BBCの自動車番組「Top Gear(トップ・ギア)」の人気企画「Star in a Reasonably Priced Car(有名人レース)」で番組通算のトップタイムをぶち上げたばかりか、2011年にはFormula 1の強豪、Red Bull Racing(レッドブル・レーシング)の呼びかけで当時最新のF1マシンを見事に操ってしまうという超人っぷりを感じさせるエピソードも、実にこの人らしい。
BBCの自動車番組「Top Gear(トップ・ギア)」の人気企画「Star in a Reasonably Priced Car(有名人レース)」で番組通算のトップタイムをぶち上げたばかりか、2011年にはFormula 1の強豪、Red Bull Racing(レッドブル・レーシング)の呼びかけで当時最新のF1マシンを見事に操ってしまうという超人っぷりを感じさせるエピソードも、実にこの人らしい。
完全無欠のトムが演じる「ひとりの人間として苦しみ、乗り越えていく姿」に私たちは共感し、感動する
そして超絶アクションをかっこよく決めてくれるだけでお腹いっぱいなのに、人柄も良いのだから非の打ち所がない。「神対応」と言われるほどファン想いであることも有名だが、共演者に対する親切さもトムの人柄を表す側面。過去に共演した子役俳優に毎年クリスマスプレゼントや誕生日プレゼントを贈り続けたり、来日時に長年通訳を担当されていた戸田奈津子さんを自宅に招いたりと、この手のエピソードもてんこ盛り。かっこいいのと同じくらい優しさと温かみにあふれているところが、ひとりの人間として見た時のトム・クルーズの素の姿だったりする。
少年時代から失語症に悩まされ、成功する前は新聞配達やホテルのベルボーイといった普通の職業をしていたこともある苦労人でもあるトム・クルーズは、60歳を目前にしてもアメリカでもっともクールな俳優だ。世界中のキッズの憧れの的であり、女性にもモテる男であり、男が憧れる男でもある。「トム・クルーズが主演する映画はことごとく無敵感が漂っている」と言う人もいるけれど、「トップガン・マーヴェリック」や「ミッション:インポッシブル」シリーズを観れば分かる通り、演じる人物は私たちと同じように悩みや苦しみを抱えていることが多い。非現実的に完全無欠な人物を描くのではなく、ひとりの人間として苦難を味わい、それを仲間と共に乗り越えていく姿に私たちは感動を覚える。どの作品でも、見事なほどキャラクターになりきって表現している点もトム・クルーズの魅力と言えるのではないだろうか。
現在絶賛公開中の「トップガン・マーヴェリック」はトム・クルーズの熱烈なファンならずとも必見。2023年に公開予定である最新の「ミッション:インポッシブル」シリーズも、今から待ちきれない。
LIVE IN RUGGEDがお届けする映画関連の記事はこちらから。
〈CHROME HEARTS(クロムハーツ)〉創始者のRichard Stark(リチャード・スターク)などが登場する連載「PEOPLE WITH STYLE(スタイルのある人)」バックナンバーもお見逃しなく。
〈CHROME HEARTS(クロムハーツ)〉創始者のRichard Stark(リチャード・スターク)などが登場する連載「PEOPLE WITH STYLE(スタイルのある人)」バックナンバーもお見逃しなく。
PEOPLE WITH STYLE
- Tom Cruise:Actor