「週刊プレイボーイ」がAIグラビアアイドル さつきあい を生み出す – “実在しない美女”はこれからのスタンダードになり得るか?
非の打ち所がないほどの美女だけど、AI。「週刊プレイボーイ」編集部がAIグラビアに参入し、バーチャルのアイドル さつきあい を生み出して話題を呼んでいる。
実は生身の人間なのでは…?と思うほど完成度が高い
集英社が発行する男性向け週刊誌「週刊プレイボーイ」が、画像生成AIを使って架空のグラビアアイドルを生成するAIグラビアに参入することを発表し、公式Twitterにて編集部のスタッフが画像生成AIで生み出したグラビアアイドル、さつきあいの画像を公開。5月29日(月)に発売された同紙の2023年6月12日号にも掲載されているほか、デジタル写真集「生まれたて。」も発売されている。
AIグラビアはここ1年ほどの間にInstagramやTwitterなどのSNS上で頻繁に見受けられるようになった。例えば、インスタグラムのフィードを何気なく見ていると超が付くほど可愛い子を発見。思わずクリックするとAIグラビアだった…という経験は男性であれば一度はあるのではないだろうか。画像生成AI自体はグラビア(人物の描写)だけではなく風景やデザイン、アートの世界でも近年飛躍的に技術が向上しており、その完成度の高さは驚異的だ。かつては男性・女性ともにCGで描かれる人物はパッと見てすぐに人間ではないことが判別できた。判別できないレベルもなかったわけではないが、それは巨額の制作費を費やしたハリウッド映画などの場合が多かったはずだ。しかし、昨今の画像生成AIは拡大してもリアルなのかフェイクなのかがまったく分からない場合も多い。
そんな中、集英社のような大手出版社がAIグラビアに参入したというニュースは、出版業界を超えたエピックであるように思う。先日デビューしたAIグラビアアイドル、さつきあいの写真を見ると「これが本当にAIなのか…?」と疑問に思うほど本物の人間に見えてしまう。いわゆる”たぬき顔”であるのは親しみやすさを感じる人が多いことと、グラビアの世界では”妹系”である方が売れるためには優位である場合が多いからだろう。
AIグラビアはこれからのスタンダードになり得るか?
出版社がAIモデルを起用する最大のメリットは、生身の人間を使うよりもはるかにコストが掛からないことだろう。実在するアイドルやモデルを撮影する場合、被写体である人物はもちろん、所属するタレント事務所やスタイリスト、メイクアップ担当、フォトグラファー、そして編集するデザイナーなどにギャラが発生する。スタジオ代や食事代なども決して馬鹿にならないし、撮影からレタッチ&編集作業の一連の流れには時間も掛かってしまう。しかし、画像生成AIを使えばこれらの時間とコストが一気に解決してしまうのだ。そして、かつてはこれほどリアルなバーチャル画像を制作すること自体があまりにハードルが高かったのに対し、AIテクノロジーの飛躍的な進歩により、必要なソフト等があれば今や誰もが気軽に生成できてしまう現実も、出版社自らがAIグラビアを生み出すことの後押しをしている。実際、先に述べたように「週刊プレイボーイ」が生み出したAIアイドルのさつきあいは、編集部のスタッフが画像生成した。
「週刊プレイボーイ」は1966年10月28日に創刊されて以来、(言うまでもなく)生身の女性のグラビアを誌面に登場させてきた。「週プレ」に掲載されることは若手グラビアアイドルたちにとっての登竜門のひとつであり、「週プレ」ファンにとってはまだ見ぬアイドルをいち早く発見できる場でもある。集英社のAIグラビア参入はさっそくSNS上で賛否両論になっているようだが、批判的な意見を寄せる方々の心情としては、本物の人間であるアイドルの活躍の場がなくなってしまうという危惧が気持ちの底にあるのではないだろうか。
AIグラビアというジャンル自体が黎明期であるため、現在SNS上で乱立するAIアイドルたちは画一的な顔立ちである場合が多い。しかし、今後AI技術がさらに進歩したり、使いこなす側の人間のスキルやノウハウが伸びるにつれて、いかに個性を出すかという点も解決していくのだろう。
生身の人間ではなく、実在しないバーチャルな存在を応援する人なんているのか?と筆者は思っていた。今でもそう感じる人はきっと多いだろう。しかし、世の中にこれほどAIが浸透しつつある今の時代においては、アイドルの世界でもAI化がますます進んでいくのは間違いないはず。AIアイドルには人間特有の欠点は存在しないし、顔立ちはもちろん、身長や体つきまでクリエイターの理想像を追求できる。本物の人間を遥かに凌駕する「究極の美しさ」を生み出せる…というと大げさに聞こえるかもしれないけれど、それを多くの人が目指せる世界はこれからのスタンダードになっていくのかもしれない。
ちなみに5月にAIで作ったから「さつきあい」という安直なネーミングに「週刊プレイボーイ」の絶妙なセンスを感じた次第。
生身の人間ではなく、実在しないバーチャルな存在を応援する人なんているのか?と筆者は思っていた。今でもそう感じる人はきっと多いだろう。しかし、世の中にこれほどAIが浸透しつつある今の時代においては、アイドルの世界でもAI化がますます進んでいくのは間違いないはず。AIアイドルには人間特有の欠点は存在しないし、顔立ちはもちろん、身長や体つきまでクリエイターの理想像を追求できる。本物の人間を遥かに凌駕する「究極の美しさ」を生み出せる…というと大げさに聞こえるかもしれないけれど、それを多くの人が目指せる世界はこれからのスタンダードになっていくのかもしれない。
ちなみに5月にAIで作ったから「さつきあい」という安直なネーミングに「週刊プレイボーイ」の絶妙なセンスを感じた次第。
日本の大手出版社が史上初めて生み出したAIアイドル、さつきあいは「週刊プレイボーイオンラインサイト」で公開中。気になる方はチェックしてみよう。