BALENCIAGA が21年秋冬コレクションで発表した Chevalier Knight Gloves のディテールをチェック
〈BALENCIAGA〉の先鋭的な精神を具現化したChevalier Knight Glovesは、ファッションの領域を超えたアートピースとして不変の価値を持つ
アメリカではわずか3組しか発売されなかった幻の逸品
ハイファッションの世界では想像の斜め上を行く尖ったものが登場することがあるが、〈BALENCIAGA(バレンシアガ)〉が2021年秋冬コレクションで発表した“甲冑”ほどエッジーでアーティスティックなアイテムは珍しい。中世の甲冑からそのまま拝借したような鉄製のグローブやブーツなどをオーバーサイズのゆったりとしたコートやパンツに組み合わせた〈バレンシアガ〉は、ファッションにおけるクリエイションの自由と奥深さを斬新な手法で提示して見せた。“甲冑”が登場した2021年秋冬コレクションでは「Afterworld: The Age of Tomorrow」というテーマのもと、オンライン上で架空のビデオゲームを発表。2031年の近未来世界を舞台に、人間の辿る運命と、何年にもわたって着用される衣服にフォーカスし、時の経過や環境の変化を衣服と共に経験すること、永久的に衣服を着用するイメージを経年変化のアイデアで表現している。その中で象徴的なアイテムとして登場した“甲冑”は、クラシックでありながら同ブランドの先鋭的な精神を見事に具現化したアイテムとして、世界中のハイファッション好きを魅了した。
本稿で紹介するChevalier Knight Gloves(シュヴァリエ ナイト グローブ)は、2021年秋冬シーズンにごくわずかな数量のみ製作されたもの。なんと、アメリカでは3組しか発売されなかったという。1組はYeことKanye West(カニエ・ウエスト)へ、もう1組はDrake(ドレイク)へ、そして最後の1組は〈バレンシアガ〉の熱烈なコレクターとして知られるインスタグラマーの @rickyzip のもとへ。ここ日本では何組が発売されたかは不明だが、未来永劫コレクターズアイテムとして価値を失わないだろう。
16世紀と同じ工程で鍛冶職人が手作業で製作
シュヴァリエ ナイト グローブは、フランス・モンテルスの鍛冶屋が昔ながらの職人の道具を使って金属を鍛造、切断、成形。その後加熱と冷却というプロセスを経て接着され、上質なディアスキン(鹿革)とシルクを組み合わせることで完成する。それぞれのグローブは45枚のヒンジ付きのプレートで作られ、製作には約3ヵ月もの期間が掛かったという。なお、製作にあたり近代的な簡略化などは一切行われておらず、16世紀と同じ工程で作られたことも本モデルの特徴となる。
メゾンのフィロソフィーを具現化したシュヴァリエ ナイト グローブは欲しくても買えないアイテムの筆頭だが、現在JUSTIN REED 公式オンラインストアにて1組のみ発売中。価格は8,500ドルとなる。手に入れることを諦めていた方は、この機会に思い切ってゲットしてみてはいかがだろうか。
ITEM CREDIT
- BALENCIAGA:2021 Autumn Winter Chevalier Knight Gloves