【第1回】鬼デニム×TANUKIのエイジングログ – 0 Wash 0 month

所有するジーンズの中でもっとも過保護に愛用している鬼デニム×TANUKIのウルトラスリム。2017年9月に手に入れてから4ヵ月前後しか穿きこんでいないが、本日は穿きこみ前の新品状態をレビューする。


Written / Photo : LIVE IN RUGGED

20ozオーバーのデニムをスキニーで穿きたいという無茶な欲望

今でこそ20ozを超えるへヴィーオンスデニムを穿く人は珍しくなくなってきたが、2017年はちょうど国内外問わず規格外のへヴィーデニムが世界的なブームを迎え初めて間もない頃。私もネイキッド&フェイマスのエレファント2(22oz)を上野のヒノヤで購入し、へヴィーデニム特有の穿き心地や質感に新鮮さを感じた年でもある。エレファント2は若干ゆとりのあるテーパードストレートなので、今度は当時もっとも好きだったスキニーシルエットでへヴィーオンスを穿きたい…そんな欲望が芽生えたのだ。
20ozを超える重さでスキニー(もしくはそれに近い細身)となると選択肢は極端に少ない。この条件でデニム狂が真っ先に頭に浮かべるのは恐らく鬼デニムだろう。
鬼デニムはCANTONに在籍していた職人が腕を振るう謎多きブランド。テスト的に開発したへヴィーデニムの手触りが鬼のようにゴツゴツとザラついていたことがブランドネームになった…という伝説を持ち、鬼デニムとへヴィーオンスデニムは切っても切れない関係だったりする。以前から気になっていたブランドということもあり、いくつか候補を探した時に見つけたのが今日紹介するウルトラスリムだ。


新品状態の写真なので付属品もそのまま付いている。鬼デニム×TANUKIのコラボレーションモデルは各ディテールが専用のものになっており、マニアックな所有欲を満たしてくれる。

革パッチは鬼デニムのアイコンである鬼のイラストとTANUKIのアイコンである「二」を掛け合わせ、「O二(オニ)」になっているというダジャレ。

「絶対に手に入れなければいけない」という切迫した思いを抱えて購入した

TANUKIというブランドはほぼ日本では知られていないだろう。というのも、TANUKIは海外での活動をメインにしており、PR活動の類もほとんど行っていない。また、日本国内ではごく限られた店舗でしか販売されていない。鬼デニムもよほどデニムが好きじゃなければ名前すら知らないだろうけど、TANUKIはそれに輪を掛けてマニアックなブランドと言える。そんなマイペースな両者が手を組んで初めてダブルネームで出したモデルがこちらのOTUS1 20oz シークレットデニム ウルトラスリムなのだ。
両ブランド共にメディアに出ることが皆無なので憶測でしかないが、恐らくレギュラーラインを同じ工場で製造しているのだと思う。というのも、デニムの生地感や質感、重さ、縫製や各ディテールに似通った点(どちらかが真似をしているという意味ではなく、製造工場が同じであることから生まれる類似点のようなもの)が以前から感じられた。デザイナー同士が元々知り合いかどうかは不明だが、同じ工場で製造していることから関係ができて「一緒に作ってみようか」となったのではないだろうか。
ともかく、どちらも謎めいた存在でありながら、コアなデニム狂たちに非常に高く評価されている両者が初めてコラボレーションした特別なジーンズが当時まさに販売されていたことは、へヴィーオンスに目覚め始めた私には僥倖のようなタイミングだった。また、このコラボレーションが継続的なのかは当時判断できなかったことと、既にサイズによっては売り切れも出ていたことから、「絶対に手に入れなければいけない」という切迫した思いすら感じたことをよく覚えている。後日横浜のDENIMIOに出向き、試着の後即決で購入。めでたくレアなモデルをゲットした次第だ。


正面全体図。ローライズした股上と明らかに細いワタリ、裾に向かってゆるやかにテーパードする美しいシルエット。ちなみに裾上げは後日他の店舗で行ったため、これはオリジナルの長さ。

正面アップ。鉄製のドーナツボタンやむき出しのリベットなど、古き良き時代のディテールを荒々しく備える。コインポケットの幅は広め。


背面全体図。ヒップ回りも非常にスッキリしたラインで設計されており、着用時のシルエットの美しさは特筆すべきものがある。

背面アップ。バックポケットは大きすぎず小さすぎずの絶妙なサイズ感。ベルトループは中盛りあり。


ピスネームは鬼デニムのものが縫い付けられる。白地に赤の「ONI」の文字は海外のデニム狂が特に喜んでいるデザインだ。もちろん日本人の私も気に入っている。隠しリベット仕様。ポケットのスレーキはギンガムチェック柄という珍しいデザインで、これはTANUKIが自身のジーンズに使っているパーツとなる。

「TRANSFORM YOUR BEING(自分の存在を変える)」というメッセージは、TANUKIの「あなたに変化をもたらし、ともに育ち、あなたの一部になっていく」というフィロソフィーを表すもの。可愛らしいタヌキのイラストも気に入り、この付属品は外した後に会社のデスクの壁に貼っている。


ゴツゴツ・ザラザラの極みのような極厚デニム。しかし、限りなくローテンションで織られているためデニム自体の硬さは新品状態でもそれほどでもない。空気を入れるようにゆるく織られていることが触れるだけで感じられる異質なデニムだ。

お気に入りの小物たちをピックアップして一緒に撮影。クロムハーツのベルトにまったく負けない強い存在感のあるデニムの質感は、一度穿けば病みつきになってしまう。

ここぞ!の時に穿く超強力な相棒に

20ozでこれほどスリムなシルエットなので、最初の試着時はかなり苦労した。特にトップボタン付近のデニムがこなれていないためボタンを留めるのも一苦労。でも、裾上げをして自宅で数時間穿くと驚くほど体に馴染んでくる。これもへヴィーオンス特有の現象で、分厚いため形状記憶能力がライトオンスデニムよりも遥かに高いのだ。数日間穿けばオーナーの脚の形状を記憶してくれるように穿き心地が快適になっていった。
これ以降穿きこみを開始したが、さすがに真夏に穿くのは自殺行為に等しいので涼しい季節にしか着用していない。レアなモデルということもあり、ここ数ヵ月は控え選手になってしまっている。もちろん穿きたい時は穿いているし、どうエイジングしていくかも非常に楽しみなジーンズなので、今後もマイペースにゆっくり育てていこうと思う。

ITEM CREDIT
  • ONI x TANUKI:OTUS1 20oz Secret Denim Ultra Slim (0 Wash 0 month)
  • TUDOR:Oysterdate (70’s Vintage)
  • Van Amburg Leathers:Rolled tail piece crocodile large biker wallet
  • CHROME HEARTS:Classic OTJ filigree leather belt