素晴らしいデザインと驚異的なコストパフォーマンスの両立 – ダン・ヘンリー 1964 グランツーリスモ・クロノグラフ

世界クラスの時計コレクターが立ち上げた新興ブランド「Dan Henry(ダン・ヘンリー)」。古き良きヴィンテージウォッチの美しいデザインを今に甦らせ、誰でも買えるコストパフォーマンスを両立。時計ファンからの注目が集まっている。本日は国内取扱店では軒並みSold outになった「1964 グランツーリスモ」をフィーチャー。ダン・ヘンリーの魅力を探ろう。


Written : LIVE IN RUGGED
Photo : Dan Henry

コレクション数1,500本以上!超が付くほどの腕時計コレクターによるブランド

ダン・ヘンリー氏は約40年間で1,500本以上もの腕時計をコレクションしてきたという。世界的に見ても個人としては尋常じゃない本数だ。ダン・ヘンリーと時計との出会いは10歳の誕生日までさかのぼる。プレゼントされた懐中時計を夜な夜な分析し、研磨していたというから凄い。
40年という月日を掛けて蒐集してきたコレクションに対して「ひとつひとつが本当に素晴らしくて、それぞれが持つストーリーを気に入っています」と語るダン・ヘンリー。生粋のウォッチマニアが立ち上げたブランドは、素晴らしいルックスと超が付くほど魅力的なコストパフォーマンスを兼ね備えていた。


何の事前知識もない状態で見ると頭が混乱しそうになるほどリアリティのあるヴィンテージデザイン。

1964 グランツーリスモ・クロノグラフには豊富なダイヤルカラーが用意されている。

腕時計の黄金時代である60年代の空気をまとうクロノグラフ

1964 グランツーリスモ・クロノグラフ。名前の通り、腕時計の黄金時代である60年代に多く生産されたクロノグラフをモチーフにデザインされた。世界三大レースのル・マン24時間レースやF1のモナコGPなど、名レースに参戦した伝説的なレーシングドライバーたちが身に着けていたクロノグラフ。ロレックスやホイヤーなど名モデルはいくつもあるが、ダン・ヘンリーのグランツーリスモにはそれらの伝説的なオーラやデザインエッセンスがストレートに表現されている。


計算尺がベゼルではなくダイヤル内に細かく描かれており、上品な印書を与える。人気のパンダダイヤルは即売り切れたという。

ブランド名などを無闇にアピールせず、時計全体で語るスタイルがとても好ましい。端正なルックスはオンオフ問わず身に着けられるはず。


拡大写真をじっくり眺めても一切の破綻がないクオリティ。1964 グランツーリスモにはデイト表示あり・なしの2モデルが用意された。

ケースバックにはアストン・マーティンDB5を彷彿させるクルマのデザインが。限定生産であることを記す刻印入り。

メカクォーツを採用することで圧倒的なコストパフォーマンスを実現

ダン・ヘンリーの時計はムーヴメントにメカクォーツを採用していることが最大の特徴だ。機械式ムーブメントではなく電池式のクォーツながら、クロノグラフのスタート・リセットに機械式と同様の機構を持たせたのがメカクォーツ。それによって製作費やコストが大幅に抑えられるため、モデルによっては2万円台(1964 グランツーリスモ・クロノグラフは国内定価33,000円)~という驚異のプライスを実現。
見た目や品質からは想像もできないほどコストパフォーマンスに優れたブランドとして、立ち上げから間もなく時計ファンの注目を集める。


ブレスレットのコマが米粒(ライス)のようであることから名付けられたライスブレスを装備。ポリッシュも丁寧で、パーツのひとつひとつから品質の高さが垣間見える。

カラーバリエーションが豊富な1964 グランツーリスモ・クロノグラフ。どれも魅力たっぷりで、いざ並べられたらかなり迷ってしまいそう。

情感に強く訴えかけてくる秀逸な腕時計

「何だ、機械式時計じゃないのか…」とガッカリするかもしれないが、メカクォーツ自体はかつてジャガー・ルクルトやIWCも採用したことがある個性的なムーブメント。近年の新興ブランドによく採用されているという。機械式にこだわるのはまったくおかしいことではない。実際これを書いている私も完全に機械式派の人間だ。ただ、数万円でこのデザインと品質の腕時計が手に入るなら…選択肢としては充分アリだし、ぜひ所有してみたいと思わせる。
ちなみにケース径は38mmで、これもヴィンテージ系として最適な設計と言えるだろう。40mmを優に超える時計が多い今の時代において、この控えめなサイズはヴィンテージ好きであれば大歓迎なはず。ラグ幅は19mmなのでレザーストラップに交換する際も特に困ることはない。
ダン・ヘンリーのラインナップは徐々に充実しつつあるが、本日紹介している1964 グランツーリスモ・クロノグラフは、国内取扱店では既にSold out。これが3万円台で購入できるなら売れないわけがなく、もしかしたら今後定価以上のプライスで中古市場に登場するかもしれない。
ダン・ヘンリーはまだまだ知る人ぞ知るブランドだが、ファッション好きからも徐々に注目されつつあるため、今後ますますブレイクするだろう。
何よりも、これほど美しいデザインの時計が驚くほど安く手に入ることが素晴らしい。時間を知る行為自体はスマートフォンに勝てないが、アナログなルックスの腕時計にはスマートウォッチでは決して味わえない情感に訴えかける楽しさがある。ダン・ヘンリーのコレクションからは、作り手の腕時計に対する情熱や愛が伝わってくる。

ITEM CREDIT
  • Dan Henry:1964 Gran Turismo Chronograph