究極のコラボレーション – ロレックス×ティファニーのスポーツモデルに迫る

謎が多いロレックスの中でも屈指のレアであるティファニーとのダブルネームモデル。マニアならずとも一度はお目に掛かってみたいロレックス×ティファニーのコラボレーションモデルに迫る。


Written : LIVE IN RUGGED
Photo : mentawatches / momentum-dubai / hqmilton

とにかく謎が多いロレックス×ティファニーのダブルネーム

ロレックスはアメリカでの販売戦略のため、1950~90年代初頭までティファニー社と契約を結んで販売していた。当時はニューヨークの本店などでごく普通にショーケースの中に陳列していたという。今となっては時すでに遅しではあるが、タイムマシンに乗って50年代に飛んでいきたい気持ちになってしまう。どちらかというとマニアックというか、ティファニーとのコラボレーションだから売れまくったということはなく、一部の目利きのある顧客が好んで買っていたのではないだろうか。バカ売れしていればもっと今の時代でも中古品が流通しているはずだ。
ところが90年代後半になるとダブルネームブームが到来し、一気に知名度と人気が急上昇した。人気商品の常だが、偽物も一気に横行してしまう。偽物があまりに多かったことと、そもそも謎が多いコラボレーションであることが真贋鑑定の難しさに拍車をかけ、うかつに手を出してはいけないロレックスの代表格に君臨することとなる。


エクスプローラーII(Ref.1655)とティファニーのダブルネームモデル。これぞスポーツロレックス!なデザインにティファニーのロゴが入ると心なしか気品がプラスされる不思議。

オレンジの24時間針がポップだ。「Tiffany & Co.」のロゴはSCOC表記の真上に入る。この個体は超が付くほどの美品で、当然既にSold out。


分厚いプラ風防やリューズのマイナスマークなどノスタルジーを感じさせるエクスプローラーII。近年特に値上がりしたスポーツロレックスのひとつだが、実はティファニーのダブルネームという自己満足度は計り知れない。

インデックスのトリチウムはやや焼けているが、全体的に素晴らしいコンディション。文字盤のダメージ等もほぼないと言って良いだろう。このレベルの美品が市場に出回ると光の速さで売れてしまうと予想。

オークションサイトに安価に出品される個体はほぼ間違いなく偽物

「うかつに手を出してはいけない」と言われながらオークションサイトでは結構頻繁に見かけるティファニーとのダブルネームモデル。ここで声を大にして注意したいのは、日本の大手オークションサイトに出品されるダブルネームはほぼすべてが偽物だということだ。
ティファニーとのダブルネームモデルが「本物です」と鑑定されるのはかなりハードルが高いことで知られている。まずはティファニーの印字がある保証書が付いていること。W品番(1995~1996年)までしか生産されていないこと。これがベーシックな「本物であること」の前提と言われている。しかし、プロの鑑定士でもティファニーダブルネームのロレックスは判断が難しく、一時期は名の知れた有名店からも敬遠されていたらしい。
現在は世界的に研究が進み、体系的な真贋鑑定が可能になってきたため、ここ数年は再びティファニーのダブルネームモデルの人気が復活しつつあるようだ。とはいえ絶対的な個体数が限られているのがこのダブルネーム。もし本物であればしっかりした時計店か、フィリップスなどの世界的なオークションで販売されるレベルなのだ。よって、オークションサイトに安価で出品される個体はほぼ間違いなく偽物と思って良い。


サブマリーナもティファニーモデルが販売されていた。通常4列表記のところ、ティファニーのロゴが入るため、文字盤下方は密度が濃い。

ティファニーのロゴが入ること以外は通常モデルと何ら変わりはない。そういう意味ではダブルネームはまさに自己満足の世界。それでも世界中のファンが血眼で探すのがティファニーとのコラボレーションなのだ。


こちらはヴィンテージ市場で屈指の人気を持つ通称「赤サブ」。SUBMARINER表記が赤い印字でプリントされていることが名前の由来なのだが、ティファニーとのコラボレーションモデルはレアさに拍車をかける。

赤サブのティファニーコラボは何度か某オークションサイトで見たことがあるが、100%偽物だった。人気の高いモデルに精巧にティファニーのロゴをプリントし販売するという姑息な詐欺には気を付けていただきたい。


GMTマスターも販売されている。エクスプローラーIIやサブマリーナと同様モデル名表記の上にさり気なくティファニーロゴが印字されるため、オーナーが口を割らない限り誰もコラボモデルとは気付かない。それがティファニーとのコラボレーションモデルである。

ちなみに黒文字盤に白インクのティファニーコラボレーションは全体生産数の2割以下と言われている。存在自体が幻なのだ。今回はスポーツモデルだけ掲載しているが、デイトジャストなどのドレスモデルでもティファニーコラボが発売されている。というか、むしろスポーツモデルの方がずっと少ない。

何年掛けても探す価値がある「究極のコラボレーション」

流通数の圧倒的な少なさと世界的な宝飾ブランドとのコラボレーションであること、ロゴの入り方が控えめでロレックス自体のデザインを壊していないさり気なさなどが高く評価され、ティファニーコラボレーションモデルは本物が登場すると争奪戦になる前にSold outになっていることがほとんどだ。
手に入れるのは至難の業だが、名の知れた時計店に熱意を伝え続ければバイヤーが確かな本物を探してきてくれるかもしれない。その際はスポーツモデルであれば最低数百万円の出費をする覚悟が必要ではあるものの、長い目で見ると賢い投資にもなるだろう。
ロレックスの中でも「究極のコラボレーション」と言われることがあるティファニーコラボ。確かに物欲を強烈に刺激する逸品であることは間違いない。

ITEM CREDIT
  • Rolex x Tiffany:Explorer II / Submariner / GMT Master