All is black & white ASAHI Slip-on

ミニマムを極めたメイドインジャパンのスリッポン

色や形を少し変えるだけでガラリと雰囲気を変えるスニーカー。ハイテクもローテクも百花繚乱を極める2020年、ミニマリズムに振り切ったスリッポンがとても新鮮に写る。


Written : LIVE IN RUGGED
Photo : Araheam

オーナーのファッションに溶け込むミニマムなデザイン

スニーカー狂には確固たるルールがある。ナイキのバスケットボールシューズしか履かない人や、アディダスのスーパースターやスタンスミスだけを愛用する人。ヴァンズのスケートモデルだけを10代の頃から履き潰してきた人。たかがスニーカー、されどスニーカー。みんなそれぞれが強いこだわりと愛を持って履き、時には収集する。
ブーツと比べてデザイン上の制約が少なく、ルックス面で様々なモデルがあることもスニーカーの面白さだろう。また、機能的な面でもブーツより高く、スポーツと密接した関係性を築いている点も興味深い。コンバース・オールスターは元々バスケットボールシューズとして実戦で使われていた。スポーツとライフスタイルの多様化に伴い進化を遂げてきたスニーカーという履き物は、探れば探るほど奥が深い。
2020年の今、様々なブランドから数え切れないほど多くのスニーカーが作られている。私自身はハイテクもローテクも分け隔てなく愛用しているものの、ボトムスはジーンズしか穿かないため、どちらかというとローテクスニーカーの方が好み。ナイキのエアジョーダン1やダンク、コンバース・オールスター、アディダスのスタンスミスなどは最たる例で、その時の服装や気分によって使い分けている。きっと皆さんも同じような付き合い方をしているのではないだろうか。
有名ブランドの人気モデルは実際とてもカッコいいし、精神的な満足度も高い。しかし、やや主張が強すぎると感じることはないだろうか。スニーカーがコーディネートの主役になってしまうような感じ。普段はそれが良いのだけれど、時には自己主張の少ないミニマムなデザインのスニーカーがあると、よりファッションが楽しくなりそうだ。本日はメイドインジャパンのミニマムなスニーカーを紹介したい。


アッパーの白いキャンバスとソールの黒が見事なコントラストを描く。ヨーロッパのモードブランドにも通じるファッション性を感じる雰囲気だ。

真っ白なアッパーは汚れが気になってしまいそうだが、ジーンズのインディゴが移ったり少々の泥が付着してもガシガシ洗ってしまえばOK。この気軽さもスニーカーの美点。

バルカナイズ製法で作られるメイドインジャパンのスリッポン

福岡県久留米市の老舗ブランド、ASAHIのスリッポンは真っ白なアッパーと真っ黒なソールのモノトーンがモード感溢れるデザイン。カラー名の「MONOCHROME」もそのものズバリで潔い。1970年代のアメリカ製デッキシューズを元にラスト(靴型)を製作し、当時の美しいシェイプを甦らせている。シンプルながら美しい流線型を描く形はモノトーンであるがゆえにますますその美麗なプロポーションが際立っている。
考えてみると、スリッポンは我々日本人にはとても馴染み深い履き物。小学生の頃にみんな学校の中で履いていた屋内用のシューズはスリッポンに近いものだった。ASAHIのスリッポンを最初に見た時、あの時の靴を思い出して少し懐かしさを感じてしまった。脱ぎ履きが楽であることもスリッポンの特徴だ。シューレースを排した構造は理に適っているし、構造が簡素な分プライスが抑えられていることも嬉しい。税込8,800円は破格だ。
ところがASAHIのスリッポンはバルカナイズ製法で作られているという。今では数少ない製靴の手法であるバルカナイズ製法をスリッポンに採用してしまうあたり、さすが老舗といったところか。そのためアッパーと靴底の接着部分が頑丈でしなやかになり、型崩れしにくい堅牢さも手に入れた。


「ASAHI」というブランド名も日本らしくて誇らしい。バルカナイズ製法なのでアッパーとソールの一体感は抜群だ。

インソールには「MADE IN JAPAN」のプリント。履き心地とルックスの良さを両立させた上質なスニーカー。

メイドインジャパンの底力を感じさせる上質さ

古くからある形を真面目に形作るというメイドインジャパンらしいモノ作りを体感できるスリッポンは、モードを感じさせるミニマムなルックスと相まって、今とても新鮮に見える。カジュアル・モード・ストリートなどジャンルを問わず、オーナーのファッションにスッと溶け込んでくれる…そんな縁の下の力持ちのような相棒になってくれるのではないだろうか。

ITEM CREDIT
  • ASAHI:DECK SLIP-ON