A true legend retire from Formula 1

キミ・ライコネンが2021年限りでF1から引退することを発表

F1ドライバー、Kimi Raikkonen(キミ・ライコネン)が2021年限りの引退を発表。約20年間にもおよぶキャリアを終えることとなる。


Written : LIVE IN RUGGED

現役最高のドライバーがついにF1の世界を去る

とうとうこの時が来てしまった。Alfa Romeo(アルファ・ロメオ)F1チームから参戦しているキミ・ライコネンが2021年限りでの引退を発表。モータースポーツ業界から早くも惜しむ声や感謝の声が続出している。
2001年にSauber(ザウバー)でデビューし、翌年に名門チームであるMcLaren(マクラーレン)に移籍。2007年にはFerrari(フェラーリ)〉に移籍し、第1戦のオーストラリアGPでポールポジション・ファステストラップ・優勝というハットトリックを達成し、移籍初年度で念願のフォーミュラ1ワールドチャンピオンに輝いた。その後一時期F1から離れWRC(世界ラリー選手権)とNASCAR(ナスカー)に活躍の場を移すものの、2年間のブランクを経てLotus(ロータス)でF1に復帰。複数回の優勝を記録したうえで2014年にフェラーリに復帰し、2018年には40歳を目前にしてアメリカGPで優勝し、衰えない力量を世界に見せつける。なお、39歳のドライバーが優勝したのは1992年ポルトガルグランプリのナイジェル・マンセル以来26年ぶりだった。
2019年に旧ザウバーチームであるAlfa Romeo(アルファ・ロメオ)に移籍。上位チームと比べて競争力の劣るマシンを操りながら熟練のスキルを発揮し、42歳を迎える今なお確かな腕を持つドライバーとして抜群の人気を持っている。
ライコネンの年齢を考えると今年いっぱいの引退はある程度予想できたこととはいえ、F1からいなくなることはただただ寂しい。フォーミュラカーの経験が圧倒的に足りない状態で鮮烈なデビューを果たし、マクラーレンから引き抜かれるとすぐにチャンピオン争いに加わった2000年代初頭は、私事で恐縮だが筆者自身がモータースポーツの魅力に気付いた頃と重なり、常に一番のお気に入りドライバーだった。その後のフェラーリ時代の輝かしい実績はもちろん、彼自身の人となりにずっと惹かれ、憧れ続けてきた20年間だった。通算で21勝、103回の表彰台、18回のポールポジションという記録はまさにトップドライバーであることを裏付ける実績だけれど、ライコネンの実力をもってすれば本当はもっと勝ち星を重ねていてもおかしくない。


多くのファンにとってライコネン=フェラーリ時代だろう。華のあるフェラーリチームと映画スターのようなルックスのライコネンは最高の組み合わせだった。

一見クールに見えるけれど、時折見せる優しい笑顔で世界中の女性をノックアウト。


フェラーリ時代にはワールドチャンピオンを獲得。ポールポジション(予選1位)獲得数もかなり多いのだが、ご本人は「どうでもいいよ」とバッサリ切り捨てることも…。

赤い跳ね馬が世界一似合う男。マシンの開発能力も高く、多くは語らなくても的確に重要な指摘をするタイプだったという。

クールなのにお茶目でマイペースな性格も世界中のファンから愛されてきた

クールで整ったルックスと無口さが相まって「アイスマン」というニックネームをマクラーレンのチーム代表(当時)であるロン・デニスから授かったライコネンは、政治力も必要と言われるF1の世界でドライバーとしての本分を貫いてきた一面もある。余計なことは言わずただ結果を出すのみ。自分のすべては走りにある…そんなストイックな姿勢はライコネンが生粋のレース屋であることを表していたようにも思う。
マスコミ向けにリップサービスをすることもなく、冷静で時にドライに見える態度はかえってファンをクスリとさせた。口癖は「興味ないね」「僕には関係ない」「様子を見てみよう」。ロータス時代にはレース中の無線に対して「放っておいてくれ」と発言し、「Leave me alone」Tシャツがチームのクルーが作ったエピソードが有名だ。突き放すような発言をそのままTシャツにした話からは、ライコネンがチームの人々からいかに愛されていたかが伝わってくる。
常にクールな人なのかと思いきや実はお酒が大好きだったり、数々の面白発言で人間臭い一面を感じさせるところもライコネンが愛される理由のひとつ。モータースポーツファンであれば表彰台のシャンパンファイトで毎回必ずまずは自分が一口飲んでいたことをご存じだろう。酔っぱらって大騒ぎをした挙句路上に寝転んだり、悪びれもせず放送禁止用語を交えながらインタビューに答えたり、地元フィンランドのパワーボートレースにゴリラの着ぐるみで変装して参加したり、表面的な印象からは程遠いエピソードがいくつも出てくるのだ。レーサーとしての冷静さと熱さでファンをしびれさせておきながら、時々超マイペースな言動でほっこりさせる男…同性から見てもずるいほどカッコいい。


ロータス時代のショット。ラリーやアメリカのNASCARという異なるジャンルの挑戦を経てF1の世界に舞い戻ったライコネンは、ロータス時代にも2012年と2013年に優勝している。

ハリウッドスター級の美しい顔立ち!北欧のスーパースター。


2018年のアメリカGPで久しぶりの優勝を果たした表彰台にて。「自分の実力を証明できた」という発言から、長い間懸命に努力しながら優勝という結果には結びつかなかった苦労が垣間見える。

この写真は2018年より以前の撮影だが、表彰台の誰よりも先にまずは自分が飲むスタイルもお約束。

F1の素晴らしさを教えてくれたキミ・ライコネン、20年間本当にありがとう

自身のインスタグラムで突如引退を発表したライコネンだが、引退は昨年の冬に決断していたようだ。
「これで最後だ。今年がF1での最後のシーズンになる。去年の冬に決断していた。決して簡単な決断ではなかったが、今シーズン以降、新しいとこをする時がきた。シーズンはまだ続いているけど、僕の家族、すべてのチーム、僕のレースのキャリアに携わったすべての人、そして、特に僕をずっと応援してくれたすべての素晴らしいファンに感謝したいと思う。F1は僕にとっては終わりを迎えるかもしれないけど、人生においてもっとたくさんのことを体験して楽しみたいと思っている。また会いましょう!」とコメント。F1界からはチームの壁を越えて惜しむ声が続出している。
ひとつの時代が終わるという例えはあまりに陳腐に聞こえるけれど、この言葉はキミ・ライコネンにこそふさわしい。レースを愛し、生粋のレーサーであり続けたライコネンはまさに真の伝説だ。引退後にどんなことをするのかは発表されていないが、きっとライコネンのことだからせかせかせずにのんびり決断するのだろう。モータースポーツ界のスーパースターがトップカテゴリからいなくなってしまうことに非常に寂しさを感じつつ、これからの姿にも注目し続けたい。2021年シーズンはまだ10戦ほど残っているので、モータースポーツに興味があればぜひレースもチェックしてほしい。
ライコネンは引退の発表でファンに対して感謝の気持ちを述べているが、間違いなく数えきれないほど多くのファンも「ありがとう」の気持ちでいっぱいのはずだ。
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