Extreme & ultra rare CHEMIST

ロサンゼルス発祥の新進ブランド、CHEMISTが停滞しがちなデニム業界に風穴を開ける?

2021年11月時点では日本国内の販売拠点は渋谷の名店「GR8」のみ。


Written : LIVE IN RUGGED
Photo : GR8

ジーンズ発祥の地、アメリカ西海岸で生まれた新進気鋭のブランド

ハードコアなデニム狂が多いLIVE IN RUGGED読者の皆様であればお気に入りのデニムブランドをいくつも持っていらっしゃるはず。そして、恐らくその多くはヴィンテージデニムからインスパイアされたブランドではないだろうか。筆者自身も普段からデニム=旧式力織機で織られた高品質のジャパンデニムを愛用しているし、ジャパンデニムを使う日本のレプリカ系ブランドが世界最高峰のデニムウェア/ジーンズを作っていることは今さら言うまでもない。これはヨーロッパのビッグメゾンがわざわざ岡山県のデニムファクトリーを訪問して記事を発注していることもそれを証明している。
ジャパンデニムは最高だし、ヴィンテージジーンズも最高だ。ただ、選択肢としてはジーンズが生まれた聖地であるアメリカ・サンフランシスコを忘れてはいけない。
ロサンゼルス発祥の〈CHEMIST(ケミスト)〉は一部の高感度なファッション好きから注目されている新進気鋭のブランド。経年変化を経たルックスのデニムジャケットもしくはジーンズに無数の星型のパッチを縫い付けるというインパクトの強いデザインで、アメリカのヒップホップスターがプライベートで着用していることもあり人気が急上昇中だ。エンターテインメントの街で生まれたブランドであるためか、ヒップなスターが愛用しているというニュースが先行しがちだけれど、〈CHEMIST〉のデニムの本質はひとつひとつを手作業で制作するローカル的なモノ作りをしていることと、デニム好きがパッと見て興味を惹かれるデザイン性にあると思っている。10数年前に一大ブームを巻き起こしたLAプレミアムデニムとは一線を画す雰囲気であることは、ファッション好きであればご理解いただけるのではないだろうか。
現時点での日本での展開は渋谷区神宮前の名店「GR8」だけという事実からも、アンダーグラウンドでありながらファッション感度が高いことが伝わってくる〈CHEMIST〉のデニムウェア。生々しいエイジングをした3rdタイプのデニムジャケットはビビッドなイエローカラーのレザー製スターパッチが無数に貼り付けられており、プライスは507,100円。下に紹介するエンジ色のスターパッチが付くデニムジャケットも同じく507,100円で、ジーンズは264,000円というかなり強気な価格設定となっている。よく見るとフロントボタンがスターモチーフのスターリングシルバー製であることも見逃せない。
〈CHEMIST〉というブランドについての基本情報があまりに少ないため詳細を伝えきれないことが申し訳ないのだが、先に述べたようにひとつひとつを手作業で制作していることは想像に難くない。デザイナー本人が制作しているのか?ファクトリーを持っていてお抱えの職人が制作しているのか?どこかの製造拠点に依頼して作られているのか?それは今の時点では不明だが、いずれにしても非常に手間の掛かるデザインおよび仕様であることは間違いないところだ。

エクストリームなデザインから得られるパワーが〈CHEMIST〉にはある

オーセンティックでベーシックなジャパンデニムはいつだって私たちになじみ深く、着用していて安心感を感じる洋服。きっとこれからますます年齢を重ねてもジャパンデニムは穿き続けるだろう。なぜなら、自分の価値観や感性に合っていて、ライフスタイルのベーシックアイテムだからだ。しかし、デニムが好きであれば色々な系統のデザインに柔軟に興味を持ち続けたいとも思う。エクストリームなスタイルでクリエイティブを爆発させている〈CHEMIST〉には、「普通のデニム」からは得られない独特のパワーを感じられる。これからどんなブランドに成長していくのか、とても楽しみだ。
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