俳優・伊藤かずえさんの初代日産シーマがフルレストアでより美しくよみがえる
クルマへのまっすぐで一途な愛に心がほっこり。俳優・伊藤かずえさんの30年来の愛車、〈日産〉シーマのレストアが完成し、タイムスリップしてきたかのような美しい姿を見せている。GQ JAPANに掲載された美しい写真と共に、伊藤さんの自動車愛に触れてみよう。
30年以上同じクルマに乗り続けるという無限の愛
長く豊富なキャリアを持つ俳優・伊藤かずえさんには多くのファンがいるが、クルマ好きのファンも多いことはご存じだろうか。伊藤かずえさんは約30年前に〈日産〉Cima(シーマ)TYPEⅡリミテッドを新車で購入。以来、同じクルマにずっと乗り続けているのだ。世にクルマ好きは数多いけれど、30年前に新車で買ったクルマをずっと乗り続けるユーザーはほとんどいない。伊藤さんは各所にガタが出てもその度に修理をしてもらい、大切に乗り続けている。
〈PORSCHE(ポルシェ)〉や〈FERRARI(フェラーリ)〉のようなスーパーカーならまだしも、〈日産〉の最上級セダンを女性が30年乗り続けているということに多くのクルマ好きが憧れと共感を感じているのだろう。言うまでもなく、同じクルマを30年以上にわたり維持し続けるのは並大抵のことではない。故障や劣化を目の当たりにすると乗り換えを検討するのが当たり前だ。
〈PORSCHE(ポルシェ)〉や〈FERRARI(フェラーリ)〉のようなスーパーカーならまだしも、〈日産〉の最上級セダンを女性が30年乗り続けているということに多くのクルマ好きが憧れと共感を感じているのだろう。言うまでもなく、同じクルマを30年以上にわたり維持し続けるのは並大抵のことではない。故障や劣化を目の当たりにすると乗り換えを検討するのが当たり前だ。
しかし、それでも「他に乗りたいクルマがない」と言う伊藤さんのシーマ愛に応える形で、何と〈日産〉がフルレストアを打診。2021年4月から〈日産〉のグループ会社である「オーテックジャパン」が担当し、新車状態と遜色ないほど美しく仕上げられた。その模様を GQ JAPANがレポートしているので、画像をお借りする形でLIVE IN RUGGEDでもお届けする。
見えない部分まで徹底的に手作業で修復
クルマ職人の強いこだわりが新車当時の美しさをよみがえらせた
まず目を奪われるのは、新車のような輝きを持つボディ。「オーテックジャパン」の手で全塗装し直されたボディはピカピカと上品な光沢を放っていて、30年以上前のクルマだとは思えないほど。ボンネットのマスコットやリアのエンブレムは再メッキが施され、こちらもキラキラと輝いている。全塗装と一口に言ってもただ塗り重ねたのではない。エンジンやドアを外し、見えない箇所も塗装し直すという非常に手間の掛かる方法でオールペイントされている。また、フルレストアするにあたって劣化した各パーツなどが交換された。ドラミラーワイパーやエア・サスペンション関連、フロントグリルなどはメーカー純正の補修部品が使われている。30年以上前のモデルの純正パーツがまだあることにも驚きだが、実は長く乗るオーナーのために、バックオーダーがある程度溜まると生産する体制をとっているのだという。
一方、シート表皮やアルミホイールなどは新たに製作された。新車当時の状態をできるだけ再現するべく、特にシート表皮は素材にこだわって作られている。見るからに上質な表皮の質感は写真からも手触りの良さ、座り心地の良さが伝わってくるようだ。
一方、シート表皮やアルミホイールなどは新たに製作された。新車当時の状態をできるだけ再現するべく、特にシート表皮は素材にこだわって作られている。見るからに上質な表皮の質感は写真からも手触りの良さ、座り心地の良さが伝わってくるようだ。
ちなみに今回のフルレストアでもっとも難所だったのがドアトリムのような樹脂部品の着脱だったそう。経年劣化が重なり、ちょっとしたプレッシャーが加わるだけで割れてしまう可能性が高いからだ。当然樹脂パーツは割れてしまうと復元できない。新車当時の質感を再現することに重きを置いていたため、3Dプリンターのような最新の機材は使わず、できる限り当時のものをリフレッシュして再利用。素人目でも大変なことが想像できるが、結果的により当時の味を醸し出すことに成功している。また、最高級セダンならではの快適装備として加湿器が備わっているのだが、こちらは劣化に伴い使用できない状態になっていたそう。こちらは内部を丁寧にクリーニングし、後付けしていたスピーカー位置を調整することで再び使えるようになった。クルマの快適装備として加湿器があること自体がかなり珍しい。しかし、秋から冬にかけての季節は空気が乾燥するため、特に長時間の運転時は湿度を適切に保ってくれる機能があると快適性がかなり違うはずだ。通常あり得ない装備をユーザー目線で装備するシーマ、さすがである。
人とクルマの関係性を超えた一途で純粋な愛
伊藤さんはこの初代シーマを購入する際、当時同時期に発売されていたスカイラインGT-R(R32)も候補の一台だったという。本気で買おうと思っていたものの、クルマをシェアしているお母様から反対されてシーマにしたという経緯があったそうだ。R32 GT-Rかシーマか…という選択肢もイケメンすぎて、ますます伊藤さんに惚れてしまった。とはいえ、やはり一番素晴らしいのは30年以上もの間同じクルマに乗り続けてきたこと。筆者もこれまでに何台かクルマを乗り継いできたけれど、最長でも5年くらいだったと記憶している。以前所有していた2008年製の〈SHELBY(シェルビー)〉GT500は心底気に入っていたのに3年強ほどで手放した。そんな自分から見ると、伊藤さんのように長い間同じクルマを維持し続けるのはただただリスペクトしかない。
すべてがインスタントになり、本来贅沢品のひとつである自動車ですら頻繁に買い換えられるのが当たり前になってしまった現在。そんな中、伊藤さんのようにひとつのクルマに乗り続ける一途で純粋な愛は多くのクルマ好きの心をほっこりさせている。きっとこの美しい〈日産〉シーマも、伊藤さん以外のオーナーなんて考えられないのではないだろうか。
すべてがインスタントになり、本来贅沢品のひとつである自動車ですら頻繁に買い換えられるのが当たり前になってしまった現在。そんな中、伊藤さんのようにひとつのクルマに乗り続ける一途で純粋な愛は多くのクルマ好きの心をほっこりさせている。きっとこの美しい〈日産〉シーマも、伊藤さん以外のオーナーなんて考えられないのではないだろうか。
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ITEM CREDIT
- NISSAN:1990 Cima TYPEⅡ Limited