Jeff Beck

ジェフ・ベック氏のご逝去に寄せて

イングランド出身のギタリスト・ミュージシャンであるジェフ・ベック氏が2023年1月10日(火)に細菌性髄膜炎のため逝去されていたことが報道された。享年78歳。


Written : LIVE IN RUGGED

歴史上もっとも革新的なギタリストのひとり

Jeff Beck(ジェフ・ベック)〉のような方が亡くなられると思考が停止してしまう。いくつになってもノースリーブ姿が似合う若々しい姿であったとしても、年齢を考えるといつ何が起きてもおかしくないことは分かっていたはずなのに、やはりショックは大きく、受け入れがたい。
小学校高学年の頃にラジオで聴いたDEEP PURPLE(ディープ・パープル)の「HIGHWAY STAR」で洋楽ロックの衝撃的なかっこ良さに感化された筆者は、中高生になるとアメリカやイギリスのクラシックロック、ハードロック、ブルース、ヘヴィーメタルなどに一気に傾倒した。特にエレクトリックギターを抱えて演奏するギタリストの姿に強烈に憧れたことをよく覚えている(これは今もまったく変わらず、いつだってボーカリストよりもギタリストに夢中になってしまう)。若くエネルギーに満ちていた筆者の当時の最大のギターヒーローはGUNS N’ ROSES(ガンズ・アンド・ローゼズ)のSLASH(スラッシュ)だった。アフロヘアーを振り乱して〈Gibson(ギブソン)〉Les Paul Standard(レス・ポール・スタンダード)をブルージーかつロックに弾きまくるスラッシュは、まさに掛け値なしのロックスターだった。
そして、その頃の筆者にとって、もっともミステリアスで神がかって見えたギタリストがジェフ・ベックだった。フィンガー・ピッキングで弾く音は変幻自在で、何をやっているのか、どうすればこんな音になるのかさっぱり分からない。ピックを使った演奏をする際も中指や薬指を同時に多用し、見れば見るほどなぜこんな超絶技巧ができるのか不思議で仕方なかった。少しでもギターに触れたことのある人であれば、ジェフ・ベックの奏法がどれだけ凄まじいかが何となくでもわかるだろう。まさに魔法だった。
ブルースや古いロックンロールをベースにした楽曲の革新性もジェフ・ベックの魅力だ。The Yardbirds(ヤードバーズ)ではブルースやロックンロール、R&B、フォーク、ポップス、サイケデリック・ロックといった様々なジャンルを横断しながらミックスする作風で、後に生まれるハードロックの基礎を築いたと言われている。また、The Jeff Beck Group(ジェフ・ベック・グループ)時代ではややヘヴィーなブルースロックを主軸にした音楽を制作し、ギタリストとしても作曲家としてもさらに成熟。後続のギタリストたちに多大な影響を与えている。

Jeff Beck
Jeff Beck

Jeff Beck
Jeff Beck

Jeff Beck
Jeff Beck

Jeff Beck
Jeff Beck

ジェフ・ベックは、エレクトリックギターに無限の可能性を与えた

ジェフ・ベックの死去を告げた公式SNSでは「訃報に接し、家族を代表し、深い悲しみに包まれています。突然、細菌性髄膜炎に感染し、昨日、安らかに息を引き取りました。彼の家族は、この大きな喪失を処理する間、プライバシーを守ることを求めます」とコメントが発表された。また、生前深い親交のあったミュージシャンからも追悼のコメントが続々と発表されている。
Led Zeppelin(レッド・ツェッペリン)のギタリスト、Jimmy Page(ジミー・ペイジ)は「六弦の戦士はもはやここにはいません。ジェフは、この世のものとは思えないものから音楽を導くことができました。彼のテクニックはユニークです。彼の想像力は明らかに無限です。ジェフ、何百万人ものファンと一緒にあなたがいなくて寂しく思います。ジェフ・ベック、安らかに」とコメント。
The Rolling Stones(ローリング・ストーンズ)のボーカリスト、Mick Jagger(ミック・ジャガー)は「素晴らしい人間を失ってしまった。世界で最もすぐれたギタリストの1人だった」とその死を悼んでいる。
共に音楽活動を行っていた歌手のRod Stewart(ロッド・スチュアート)は以下のコメントで最大限の賛辞を贈るとともに、突然の死を嘆いている。
「ジェフ・ベックは別の惑星にいました。彼は私とロニー・ウッドを60年代後半に彼のバンド、ジェフ・ベック・グループでアメリカに連れて行ってくれました。それ以来、私たちは振り返っていません。彼はライブで演奏しているときに、実際に私の歌を聴いて反応する数少ないギタリストの1人でした。ジェフ、あなたは最高でした」
アメリカン・ハードロックの代名詞的存在であるKISS(キッス)のPaul Stanley(ポール・スタンレー)は「なんという悲しい知らせなんだ。歴代ギタリストの中でもっとも熟練したテクニックを持っていた男が、誰もたどれないような足跡を遺して逝ってしまった」とその死を嘆き、同じくKISSのGene Simmons(ジーン・シモンズ)は「心が引き裂かれるニュースだ。最初の2枚のアルバムをぜひ聴いてほしい。誰も彼のように弾けなかったんだ」というコメントで、ジェフ・ベックの卓越した演奏技術と音楽性を称えている。
長年音楽シーンの第一線で活躍してきた偉大なミュージシャンたちが深くリスペクトし、「誰も彼のように弾くことはできない」と言うほど異次元の才能を持っていたジェフ・ベックが遺した音楽と、ギターへの飽くなき情熱はこれからも永遠に語り継がれていくだろう。ジェフ・ベックがロックシーンに起こした革新的な音楽とギタリストとしての圧倒的な存在感が色褪せることは決してない。
ご冥福を心よりお祈り申し上げます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。