
チェッカーボード柄の VANS スリッポンが教えてくれること
時代を超えて愛され続けてきた傑作スニーカー、〈VANS〉のチェッカーボード柄スリッポンは、物事の本質を教えてくれる
空前のスニーカーブームの真っ只中、どこか冷静な自分がいた
近年大いに盛り上がったスニーカーブームを楽しみながらも、どこか冷静に見ている自分がいた。HYPEであること、レアであることに価値を見出すことへのちょっとした違和感。しかし、この傾向はスニーカーに限ったことではなく、ブームになればジャンルを問わず同じもてはやされ方をする。洋服も家具もアートもすべて。人が買えなかったモノを手に入れられた時に必要以上に大切にしたり、自慢したくなるのは自然なことだ。そもそもそういった人間的な欲望を排除すると、いろいろな業種が成り立たなくなるとも言えるだろう。とはいえ、流行りに踊らされてしまうのはあまりかっこよくないのでは?と思う瞬間も確かにあった。きっと似たような感じ方をした人も多いだろう。
“冷静”になった時に物凄くかっこよく見えたのは、昔から形を変えずに今も愛されている定番モデルだった。例えば〈CONVERSE(コンバース)〉のALL STAR(オールスター)やJACK PURCELL(ジャック パーセル)などは、細部をアップデートしながら基本形を変えていない。そして、10年前に比べるとさすがに値上げをしたとはいえ、いまだに高校生でも無理をせず買える安価な価格で売られている。本来スニーカーってそういうものではないか?
同じベクトルで今でも変わらない魅力を持ち続けているのが〈VANS(ヴァンズ)〉のスリッポンだ。
同じベクトルで今でも変わらない魅力を持ち続けているのが〈VANS(ヴァンズ)〉のスリッポンだ。








時代を超えた名作をいつでも手に入れられる喜び
スニーカーに興味がない人でも一度は見たことがあるであろう、チェッカーボード柄がプリントされた〈VANS〉スリッポンは、ファッション業界の色褪せぬアイコンであり、サブカルチャーを象徴する名品でもある。リアルスケーター御用達の本モデルが世の中に広く認知されたきっかけは、1982年に公開された映画『初体験/リッジモンド・ハイ』だった。劇中でジェフ・スピコリを演じたSean Penn(ショーン・ペン)が着用した足元がアップで写されたほか、青い靴箱からこのシューズを取り出すシーンまで描かれ、さらにサウンドトラックアルバムのジャケットではまるで映画の主人公のようにこのシューズがメインで使われ、DVDなどのジャケット写真にまで採用された。『初体験/リッジモンド・ハイ』は全米興行収入成績で最高3位を記録。ハードコアなスケーターにはとっくに知られていた〈VANS〉の名前を世界規模で一挙に知らしめることに貢献した。
その後、〈VANS〉のもっとも重要なアイコンのひとつとなったチェッカーボード柄のスリッポンは、スケーター以外の古着好きやファッション好き、さらにはハードコアなモードファッション愛好家に至るまでファンを増殖させ、現在も基本的なデザインを変えずに安価なプライスで作られ続けている。時代が変わるにつれて本来の良さをスポイルしながらアップデートされるモデルが多い中、この「変わらなさ」は奇跡のようだ。きっと〈VANS〉に言わせれば、数十年前に完成されているモノを今さら変える必要などないということなのだろう。しかし、時代を超えた名作をいつでも手に入れられることに喜びを感じるのは筆者だけではないはず。HYPEに振り切ったスニーカーもかっこいいけれど、〈VANS〉のこのシューズは、古き良きクラシックカーのように、トレンドを超越した普遍的なかっこよさが今の時代にも息づいていることを教えてくれる。
「最近欲しいスニーカーがない」と思う人は、原点的なシューズの魅力を見つめなおしてみてはいかがだろうか。〈VANS〉クラシック スリッポン チェッカーボードはVANS 公式オンラインサイトで発売中。価格は7,150円。
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