Ozzy Osbourne Pass Away

オジー・オズボーンが76歳で死去

7月5日に行われたBLACK SABBATHのラストコンサートからわずか17日後に“メタルの帝王”が死去


Written : LIVE IN RUGGED

ヘヴィーメタルの礎を作ったバンド BLACK SABBATHでは唯一無二のフロントマンとして活躍

伝説的なヘヴィーメタルバンド BLACK SABBATH(ブラック・サバス)をはじめ、ソロキャリアでも華々しいキャリアを築いた“メタルの帝王”Ozzy Osbourne(オジー・オズボーン)が、7月22日(現地時間)に76歳で死去。7月5日にブラック・サバスのキャリアを締めくくるラストコンサートを開催したばかりだった。
オジー・オズボーンは1948年12月3日、イギリス・バーミンガム出身。1968年に同地で結成したブラック・サバスは、バンド名と同じ名前の1stアルバム『BLACK SABBATH』で1970年2月13日金曜日にデビュー。全英チャートでトップ10入りし、その後発売された『PARANOID』などのヒットで本格的なブレイクを果たして以降、ヘヴィーメタルというジャンルを確立したレジェンドバンドとなった。ブラック・サバスでは、重くシャープなギターリフとうねるようなベースライン、そしてパワフルなドラミングが混然一体となった音楽性で後進バンドに多大な影響を与えている。
1978年にはブラック・サバスを脱退し、翌年ソロキャリアをスタート。サバスを脱退した時期はドラッグとアルコールの影響が強く、私生活でも父を亡くしたことで精神的なダメージを負っていたという。

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完全に規格外
唯一無二のパフォーマンスで世界を魅了した“暗黒の王子”

ソロキャリアでは、天才ギタリストのRandy Rhoads(ランディ・ローズ)やZakk Wylde(ザック・ワイルド)を発掘。サバス時代に負けずとも劣らない名曲を数多く生み出した。とはいえ、オジーファンにとっては、ほとんどすべてのアルバムに収録されているすべての楽曲が名曲だろう。ブラック・サバス時代からソロ活動に至るまで、オズボーンが作る楽曲には、一度耳にしたら忘れらない魔力的なパワーがある。ヘヴィーなのにキャッチーなギターリフとメロディー。歌詞はイメージ通りの悪魔的な内容もあれば、ドラッグからの強烈な影響を思わせる倒錯的なもの、戦争の残酷さを痛烈に歌ったもの、さらには本来の人間性を思わせる繊細で優しい歌まであった。
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私事になってしまうが、筆者がオジー・オズボーンの歌を初めて聴いたのは、ブラック・サバスが1997年に再結成を果たした際のライブアルバム『REUNION』だった。Tony Iommi(トニー・アイオミ)の地を這うように超ヘヴィーなギターリフ、Geezer Butler(ギーザー・バトラー)のグルーブ感あふれるベースライン、Bill Ward(ビル・ワード)の正確でラウドなドラムサウンド。個性派が勢ぞろいするブラック・サバスの中で、オズボーンはシンガーとして突出した才能を振りまいていた。歌声もユニークだが、ライブパフォーマンスも唯一無二。「Louder!!」「I Love you all!!」と叫びながら観衆を煽りまくり、客席に向かってバケツの水をぶっかけたり、カエルのように飛び跳ねる姿は、ともすれば「かっこいいこと」にこだわりがちなロックミュージシャンの枠にまったく収まらない。自身の本能的な衝動に突き動かされるようなパフォーマンスも、世界中にハードコアなファンを増殖させた大きな理由のひとつと言っていいだろう。

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比べようもないほど偉大なロックスター

2020年にパーキンソン病であることと、歩行が困難であることを公表。2023年にはツアー引退を表明するも、先に述べたように2025年7月5日にはブラック・サバスのラストコンサートを開催。椅子に座った状態でのパフォーマンスとなったものの、衰えない歌声と声量、そして圧倒的なオーラで大観衆を魅了したばかりだった。このコンサートのラストを飾った代表曲『Paranoid』を歌った後、オズボーンは「これが最後の曲だ。皆さんのサポートのおかげで素晴らしい人生を送ることができた。心の底から感謝する」と語り、しばらく感慨深そうに客席を眺めていた。
誰もがいずれはこの世を去るのは避けられないし、オジー・オズボーンが送ってきた破天荒なライフスタイルを振り返ると、70代まで生きたこと自体が奇跡なのかもしれない。それでも、オズボーンを知る誰もが訃報を知って強い驚きを感じたのではないだろうか。まだまだ元気で生きていてほしかった…そう思いつつ、ラストコンサートを成功させた後に突然この世を去る姿すらロックでかっこいいのも事実。「闇の帝王」「暗黒の王子」と呼ばれながら、チャーミングな姿で私たちを笑わせてくれることも多かったオジーは、やはり比べようもないほど偉大なロックスターだ。寂しいけれど、オジーが残してくれた音楽はこれからもずっと世界中で愛されるだろう。心よりご冥福をお祈りいたします。