LIVE IN RUGGEDが選ぶベスト・オブ・チューダー
2018年10月末に日本に正式上陸したTUDOR(チューダー)。ロレックスのDNAを受け継いだ名ブランドの中から4つのモデルを厳選し、奥深い魅力に迫る。
Written : LIVE IN RUGGED
Photo : Tudor offcial site
キーワードは「男らしさ」と「遊び心」
4本のモデルを選ぶ作業はとても楽しかった。現在のチューダーには複数のコレクションがあり、それぞれに強い個性がある。ロレックスにかなり似ているモノもあればまったく異なるモノもあり、同じスポーツウォッチであってもモデルによってかなり見た目も雰囲気も変わってくるのだ。当然時計ごとの機能やコンセプトも異なるので、楽しいながらも悩ましかったというのが本音だ。そこで私は選び方にある種のフィルターを掛けることにした。LIVE IN RUGGEDらしく「男らしさ」と「遊び心」がたっぷりあること。現在のチューダーのラインナップを眺めていて、この2点が強いモデルを選べば間違いない選択になるのではないか…そう思ったからだ。
というわけで、LIVE IN RUGGEDが厳選した4つの時計の魅力を掘り下げていこう。
というわけで、LIVE IN RUGGEDが厳選した4つの時計の魅力を掘り下げていこう。
ブラックベイGMT
まずはブラックベイGMT。2018年のバーゼルワールドで発表され、すぐに世界中の時計ファンから大歓迎された大ヒットモデルだ。ヴィンテージウォッチファンは伝説的な「ペプシ」をすぐに思い浮かべるだろう。マットバーガンディとブルーに塗り分けられたアルマイト加工ディスクがセットされるスチール製両方向回転ベゼルは、時計業界の中ではもっともアイコニックなデザインのひとつ。ほぼ同じタイミングでロレックスからもステンレス製のペプシカラーのGMTマスター2が発表され、あちらもファンを大いに喜ばせた。
ペプシカラーのブラックベイGMTを真っ先に選んだ理由はルックスの素晴らしさに尽きる。ヘリテージシリーズはチューダーが掲げる往年のヴィンテージウォッチへのリスペクトであり、古き良き遺産を現代に甦らせることでもある。このブラックベイGMTはまさにその点で非の打ち所がないモデルだ。ポップで爽やかなベゼルカラー、一目でチューダーの腕時計だと分かる「イカ針」、ヴィンテージを彷彿させるリベットブレス。すべてが素晴らしき過去への賛辞に満ちており、素晴らしくオシャレでもある。
ペプシカラーのブラックベイGMTを真っ先に選んだ理由はルックスの素晴らしさに尽きる。ヘリテージシリーズはチューダーが掲げる往年のヴィンテージウォッチへのリスペクトであり、古き良き遺産を現代に甦らせることでもある。このブラックベイGMTはまさにその点で非の打ち所がないモデルだ。ポップで爽やかなベゼルカラー、一目でチューダーの腕時計だと分かる「イカ針」、ヴィンテージを彷彿させるリベットブレス。すべてが素晴らしき過去への賛辞に満ちており、素晴らしくオシャレでもある。
ステンレス製のロレックス・GMTマスター2(現行モデル)を新品で買おうとしたら、200万円近い出費を覚悟しなくてはならないだろう。正規価格は100万円弱ではあるものの品薄が続いており、正規店で買うにはかなり長い期間の辛抱が必要だからだ。並行輸入店で新品を購入する場合、現在はほぼ倍に近い市場価格で取引されている。
しかしチューダーのブラックベイGMTは、わずか40万円で手に入れることができる。ロレックスと同じ70時間のパワーリザーブを持ち、クロノメーター検定にパスした自社製ムーブメントが搭載されているにもかかわらず。価格の面でもチューダーにはかなりのアドバンテージがあるのだ。
しかしチューダーのブラックベイGMTは、わずか40万円で手に入れることができる。ロレックスと同じ70時間のパワーリザーブを持ち、クロノメーター検定にパスした自社製ムーブメントが搭載されているにもかかわらず。価格の面でもチューダーにはかなりのアドバンテージがあるのだ。
ブラックベイクロノ
同じくブラックベイシリーズから。ブラックベイクロノは2017年に発売された2カウンタークロノグラフ。非常に精悍なルックスで、男らしさという点では今回もっとも強いと言えるだろう。なぜ3カウンタークロノグラフではないのか?という疑問はぜひチューダーに直接ぶつけてほしい。恐らくロレックス・デイトナに近くなりすぎるゆえ大人の思惑が働いた結果なのだろうが、結果的にブラックベイクロノのユニークさが際立ったという見方もできる。
このモデルに搭載されるムーブメント、Cal.MT5813はブライトリングと共有しているのも面白いエピソードだ。ブライトリングのような時計メーカーとパーツを共有するのはロレックス以外では初めてのはず。Cal.MT5813を今後登場するモデルでも使い続けるのかはまったくの謎だけれど、ブライトリングのようなクロノグラフのトップブランドと多少なりとも関わりを持ったことは何だかニヤリとしてしまう。
このモデルに搭載されるムーブメント、Cal.MT5813はブライトリングと共有しているのも面白いエピソードだ。ブライトリングのような時計メーカーとパーツを共有するのはロレックス以外では初めてのはず。Cal.MT5813を今後登場するモデルでも使い続けるのかはまったくの謎だけれど、ブライトリングのようなクロノグラフのトップブランドと多少なりとも関わりを持ったことは何だかニヤリとしてしまう。
タフなルックスとロレックス譲りのゴツいベゼルのせいか巨大な時計に見えてしまうが、ブラックベイクロノのケースサイズは41mmと現代の時計にしてはそれほど大きくないのも嬉しい。かつて製造していたクロノタイムはちょうど40mmだったことを振り返ると、41mmというサイズは昨今のビッグケースブームに乗らなかった英断だ。
2カウンターなので6時位置にはインダイヤルがなく、そこには200m防水である旨とクロノメーター検定を通ったムーブメントであることが書かれ、カレンダー機能は最下部に配置される。
生粋のチューダーファンやロレックス好きが思わず喜んでしまうのが深い溝のあるスクリュー式のプッシュボタンだろう。これは明らかにロレックス・デイトナのパーツを意識して採用しており、モンテカルロ~オイスターデイト・クロノグラフ~クロノタイムの歴史を受け継ぐ存在であることを示唆するものだ。ブラックベイクロノはモダンなスポーツウォッチだが、チューダーの伝説的なクロノグラフのヘリテージをさり気なく主張するクールさもある。
2カウンターなので6時位置にはインダイヤルがなく、そこには200m防水である旨とクロノメーター検定を通ったムーブメントであることが書かれ、カレンダー機能は最下部に配置される。
生粋のチューダーファンやロレックス好きが思わず喜んでしまうのが深い溝のあるスクリュー式のプッシュボタンだろう。これは明らかにロレックス・デイトナのパーツを意識して採用しており、モンテカルロ~オイスターデイト・クロノグラフ~クロノタイムの歴史を受け継ぐ存在であることを示唆するものだ。ブラックベイクロノはモダンなスポーツウォッチだが、チューダーの伝説的なクロノグラフのヘリテージをさり気なく主張するクールさもある。
ブラックベイ・フィフティーエイト
ブラックベイ・フィフティーエイトはブラックベイシリーズの小径版。ケースサイズが39mmなので日本人の腕に馴染みやすく、着け心地や合わせやすさの点で強みがある。また、ベゼル上の印字がゴールドカラーになる他、文字盤のサークルやインデックスの縁、針にもゴールドカラーがあしらわれ、一層クラシカルな雰囲気が強い。マットな質感の文字盤やブレスレットも華やかさよりも渋さが強調されており、チューダーの中でも特にヴィンテージ感が強いモデルなのだ。
近年トレンドだったビッグサイズのケースは主張が激しすぎる傾向があったので、ブラックベイ・フィフティーエイトの絶妙なサイズ感とクラシカルな雰囲気は、ラギッドな洋服との相性も抜群。レザーやデニムはもちろん、シンプルなシャツとの相性も良く、きっと合わせやすさに驚くはず。27石で2万8800振動/時、200m防水というハイスペックの自社製ムーブメントを搭載しながら32万円というこなれた価格も実に嬉しい。
近年トレンドだったビッグサイズのケースは主張が激しすぎる傾向があったので、ブラックベイ・フィフティーエイトの絶妙なサイズ感とクラシカルな雰囲気は、ラギッドな洋服との相性も抜群。レザーやデニムはもちろん、シンプルなシャツとの相性も良く、きっと合わせやすさに驚くはず。27石で2万8800振動/時、200m防水というハイスペックの自社製ムーブメントを搭載しながら32万円というこなれた価格も実に嬉しい。
ヘリテージ・クロノ
最後を飾るのは伝説の「モンテカルロ」の直系であるヘリテージ・クロノ。1970年代に生まれたオイスターデイト・クロノグラフの形状やディテール、意匠を受け継ぎ、現代的な解釈を加えたヒストリカルな逸品である。
オリジナルの「モンテカルロ」は現在1stジェネレーションモデルが数百万円で取引されるほど価格が高騰しており、ここ数年で特に再評価された腕時計のひとつ。値段が高騰した直接の理由は60~70年代のロレックス・デイトナの世界的なブームだが(オイスターデイト・クロノグラフは当時チュードル版のデイトナのような存在だった)、「モンテカルロ」はデイトナの意匠を共有しつつ、あくまでも独自路線を貫いた異端児だった。カジノのルーレットからヒントを得たという文字盤のエキゾチックな配色や「ホームベース」と呼ばれる独特なインデックスを持ち、他の何にも似ていないルックスで伝説的な腕時計として評価されている。
オリジナルの「モンテカルロ」は現在1stジェネレーションモデルが数百万円で取引されるほど価格が高騰しており、ここ数年で特に再評価された腕時計のひとつ。値段が高騰した直接の理由は60~70年代のロレックス・デイトナの世界的なブームだが(オイスターデイト・クロノグラフは当時チュードル版のデイトナのような存在だった)、「モンテカルロ」はデイトナの意匠を共有しつつ、あくまでも独自路線を貫いた異端児だった。カジノのルーレットからヒントを得たという文字盤のエキゾチックな配色や「ホームベース」と呼ばれる独特なインデックスを持ち、他の何にも似ていないルックスで伝説的な腕時計として評価されている。
ヘリテージ・クロノは「モンテカルロ」そのままと言いたくなるほどそっくりなデザインで発表され、ファンを歓喜させた。ブラック系、写真のグレー系、ブルー系の3パターンのカラーリングもオリジナルそのままだし、前述した「ホームベース」インデックスも受け継いでいる。針やインデックスがポップなオレンジカラーなのもいかにも70年代的でカッコいい。
ヘリテージ・クロノを選ぶならブレスレットやレザーストラップも捨てがたいが、チューダー自慢のファブリックストラップで遊び心を演出するのも楽しいだろう。ケースの雰囲気に合わせてブラック・グレー・オレンジのストライプが入るバンドはスポーティーなのに不思議と安っぽくない。通勤時のTPOや休日の気分に合わせてストラップを交換するのもチューダーならではの楽しみ方だ。
ヘリテージ・クロノを選ぶならブレスレットやレザーストラップも捨てがたいが、チューダー自慢のファブリックストラップで遊び心を演出するのも楽しいだろう。ケースの雰囲気に合わせてブラック・グレー・オレンジのストライプが入るバンドはスポーティーなのに不思議と安っぽくない。通勤時のTPOや休日の気分に合わせてストラップを交換するのもチューダーならではの楽しみ方だ。
もうプアマンズ・ロレックスとは誰も呼ばない
ロレックスのディフュージョンブランドとして誕生した歴史があるので、かつてはどうしても「ロレックスを買えない人のためのブランド」という不本意な批評をされていたチューダー。しかし2019年の今、オリジナリティを追求し独自の路線で突き進んできたチューダーのことを「プアマンズ・ロレックス」と呼ぶ人がいても、まったく気にする必要はない。その人は少々腕時計に関して無知であると言わざるを得ないだろう。
往年のルックスを程よくアレンジしながら現代的な時計として作り上げる抜群のセンス。スイス製腕時計の花形である自社製ムーブメントを開発できる確かな技術力。この2つに加えてファッション性の高さや高級腕時計でありながらコストパフォーマンスが高く、ひけらかすような嫌味さがまったくないところも魅力的だ。
ブラックベイGMT、ブラックベイクロノ、ブラックベイ・フィフティーエイト、ヘリテージ・クロノ。独断と偏見で数多いラインナップの中から4本の素晴らしいモデルをピックアップしたが、どれを選んでも長く愛用できることは自信を持って断言する。
ブラックベイGMT、ブラックベイクロノ、ブラックベイ・フィフティーエイト、ヘリテージ・クロノ。独断と偏見で数多いラインナップの中から4本の素晴らしいモデルをピックアップしたが、どれを選んでも長く愛用できることは自信を持って断言する。
ITEM CREDIT
- TUDOR:Black Bay GMT / Black Bay Chrono / Black Bay Fifty eight / Heritage Chrono