ブライトリング・ナビタイマーの完璧な復刻モデルが登場 – ディテールを徹底解剖!

つい昨日発表されたブライトリングの新作は全ヴィンテージウォッチファン必見。1959年のナビタイマーを完璧に復刻させた「ナビタイマー Ref.806 1959 リ・エディション」に迫る。


Written : LIVE IN RUGGED
Photo : Breitling

航空クロノグラフの傑作として今も尊敬を集めるナビタイマー

まずはナビタイマーの歴史について簡単に振り返ってみよう。
ブライトリング・ナビタイマーは1952年に発表されたクロノグラフ時計。発売から間もなく世界中の航空パイロットたちの間で評判になったのが、革新的な機能を持つクロノグラフ機能だった。両方向回転ベゼルと文字盤に刻まれた計算尺を組み合わせることで飛行に必要な様々な計算を行うことができる新機能は、「実際に使える航空用クロノグラフ」として当時のパイロットたちから支持されたのだ。
以来、様々なメーカーからパイロットウォッチが発表されてきたが、ナビタイマーはそれらの父のような存在と言って良いだろう。
2019年3月16日(土)にプレスリリースで発表された新モデルは、その伝説的なナビタイマーの1959年モデルを忠実に再現した復刻モデル。ちょうど60年前に発売された初代への強烈なオマージュだ。早速美しい写真と共にディテールに注目してみよう。


超ミントコンディションのヴィンテージを見ている感覚を覚えるが、これは紛れもなく2019年発売の新作。

往年の美しいダイヤルデザインを100%完璧に再現。これぞブライトリング!と喝采を送りたくなる素晴らしい作りだ。

歴史的な傑作を現代に復活させる「リ・エディションシリーズ第一号」

かつて発売していた人気のあるモデルを復刻させる…腕時計に限らず頻繁に行われる企画だ。洋服関係はもちろん、自動車業界などでも毎年どこかのメーカーが必ず歴史的なモデルを復活させている。それらのニュースを目にする度に我々ユーザーはワクワクし、そのすぐ後にガッカリしてきた。なぜなら「もう一歩オリジナルに届いていない」もしくは「余計な解釈を加えることでぶち壊しにしている」プロダクトがうんざりするほど多いからだ。
腕時計業界も復刻ブームの真っ最中だ。例えばチューダーから数年前に発売されたヘリテージ・クロノ。デザイン自体はかの有名な「モンテカルロ」をとても上手に再現していたが、ケースサイズが大型化されていたり、6時位置の日付表示にサイクロプスレンズが付いていなかったり、ムーブメントが手巻きではなく自動巻きだった。ヘリテージ・クロノ自体はいかにもクラシカルでカッコいい時計だと思うが、これらの「現代的な解釈」を知る度に購入候補から外れていったのも事実だ。
ブライトリングのナビタイマーが復刻されるというニュースを知った本日、まずデザイン面のネガティブな面を粗探しした。ない。細部まで確認したが、少なくとも私の目から見て違和感を感じる点がまったくなかったのだ。オールブラックのダイヤル、トーンオントーンのサブダイヤル。そしてアイコニックなビーズ装飾が施された両方向回転ベゼル。すべてがオリジナルに忠実で一切の破綻がない。
この時点でワクワク感はうなぎ登りになるが、心を落ち着けてプレスリリースを確認する。なんでも、このナビタイマーは「リ・エディションシリーズ」の第1号で、今後も歴史的なタイムピースを忠実に復刻させる新モデルが順次発売されるとのこと。つまりヴィンテージに飢えた時計ファンたちに向けて、ブライトリングがドヤ顔で開発・発売していくリアルヴィンテージな新品が続々とリリースされるということだ。


オリジナルとまったく同じ形状のドーム型アクリルガラス風防。

どこから眺めてもヴィンテージを見ている気持ちになる。ブライトリングの本気度が伝わってくる完成度は全世界の時計ファンを熱狂させるに違いない。

過去から現在に至るまで究極レベルの復刻モデル

初代ナビタイマーは伝説的なモデルなので、復刻させるのはリスクも伴うことは想像に難くない。中途半端な完成度だったり、前述のような余計な解釈を加えることですべてがぶち壊しになってしまうからだ。
ナビタイマー Ref.806 1959 リ・エディションの細部を確認すれば、もしかしたらガッカリさせられるような要素が見つかるかもしれないので探してみよう。
文字盤のデザインやディテールは既にご覧いただいている通り一分の隙もない。オールブラックのダイヤル、トーンオントーンのサブダイヤル。1959年に発売されたオリジナルのRef.806に見られる大文字のブライトリングのネーム刻印とウイングロゴまで忠実に再現されている。
特徴的な回転ベゼルはどうだろうか。こちらも1959年版とまったく同じ94個のビーズで装飾されている。オリジナルのナビタイマー Ref.806がリアルタイムで製造されていた時代は、ベゼルを囲む小さなビーズの数が変化していたことは、ブライトリングの熱狂的なファン以外にはあまり知られていない。例えば1950年代初期のモデルには125個のビーズで装飾されていたが、1960年モデルには93個しかない。リ・エディションはマニアックなディテールの細部に至るまで気を遣っているのだ。
それではケースサイズはどうだろう?大抵の復刻モデルは現代的な大型ケースで作られ、ヴィンテージファンを落胆させている。44mmなどの巨大なサイズで作られていれば興ざめしてしまう…そう思いながら確認すると、リ・エディションはケース径についても抜かりがなかった。このモデルのためだけに特別に制作されたケースはぴったり40.9ミリのステンレススチール製。ラグの外形や仕上げもオリジナルと同じだという。これは個人的には本当に素晴らしい事実だった。日本人の腕には40mm前後のサイズが合わせやすさの上限だと思う。


美しく均等に配置されるベゼルのビーズ装飾。流麗なフォントのリューズのロゴもクラシカルだ。

後に続くパイロットウォッチに強く影響を与えた文字盤上の細かい計算尺。モノトーンのコントラストが男らしさを演出する。

ブライトリング、ありがとう。これは究極のヘリテージモデルだ!

極めつけはムーブメント。どうか自動巻きではありませんように…この記事を読む誰もが願うだろう。初期のナビタイマーに搭載されていたのは手巻き式キャリバーであり、復刻モデルが手巻き以外のムーブメントを搭載することは冒涜以外の何物でもない。
何と、ブライトリングはリ・エディション用に手巻きムーブメントを新しく開発してくれた。この自社開発製造キャリバーB09は、定評あるキャリバー01をベースにしたCOSC公認クロノメーターだ。何ということだろう!ちなみにこのムーブメントは今後発売される手巻き式キャリバー採用モデルのリ・エディションに搭載される予定だという。
強いてイヤらしいところを気にするとしたら蓄光塗料がトリチウムじゃない点だが、これは現在法律で禁止されているのだから仕方がない。代わりにブライトリングはここでも粋な計らいをしてくれている。塗料にスーパールミノバを使いながら、当時の腕時計に使用されていたトリチウムの雰囲気が忠実に再現されるよう、色調にはとりわけ大きな配慮をしたという。なるほど、確かに少し塗料部分が焼けているような風合いになっている。明らかにコストが増大する細かい部分へのこだわりと配慮までまったく抜かりない姿勢に感服だ。
ナビタイマー Ref.806 1959 リ・エディションはケースバックにシリアルナンバーを刻印した合計1959本のリミテッドエディションとして発売される。全世界のブライトリングファン、クロノグラフ好き、そしてヴィンテージウォッチファンの争奪戦になるだろう。本気で欲しい方は今後ブライトリング・ジャパンから発表されるであろう公式情報を逐一チェックしてほしい。
他メーカーを含めて、間違いなく復刻モデルの中でも最高峰の出来だ。

ITEM CREDIT
  • Breitling:Navitimer Ref.806 1959 RE-EDITION