My best partner pt.1 Dartisan SD-107

【生涯の相棒を紹介】My Best Partner Pt.1 – ダルチザンSD-107

愛用品の中でも特にお気に入りで、これまでも、そしてこれからもずっと使い続けたいモノたち。そんな生涯の相棒を紹介する新連載「マイ・ベストパートナー」をスタート!


Written / Photo : LIVE IN RUGGED

最高の中の最高と思う相棒を紹介するのが「マイ・ベストパートナー」

LIVE IN RUGGEDではこれまでも筆者の私物愛用品を紹介してきたが、それらの中には特に気に入っていてできればずっと愛用していきたいと心の底から思うモノがある。見た目はもちろん、機能性や作り、品質やブランドのバックグラウンドやヒストリーなどをすべて含めて最高と感じるモノたち。間違いなくそういったモノは所有者の生活を豊かにしてくれる。オーナーである私が偏愛する相棒たちをフィーチャーし、単純なモノ紹介の枠に収めずに思いの丈をぶちまける記事はきっと読者にも共感いただけるのではないか…そう思って新連載を始めることにした。「マイ・ベストパートナー」の第1回はステュディオ・ダ・ルチザンの定番モデルであるSD-107にフィーチャーする。


タイトなストレートシルエットが美しいSD-107。程よいローライズや絶妙な裾幅など計算し尽くしたパターンも魅力。

細身なのでアタリが出やすく、特に膝裏のハチノスはこれから強烈なエイジングになること間違いなし。

老舗ブランドが生み出したタイトなジーンズの傑作

数年前に手に入れてから常に私のワードローブの一軍から外れることがないのがダルチザンのSD-107。SD-107はダルチザンの定番モデルとして国内外問わず売れている人気モデルなのだが、どちらかというとオーセンティックなジーンズを作ってきた同ブランドにとってはある意味で挑戦的なモデルだったと記憶している。リーバイス501XXがジーンズのパイオニアであり、神のように崇められる名作であることは異論を挟む余地もないが、ジーンズがファッションとして進化してくると、よりスタイリッシュでファッショナブルなシルエットが世界的に好まれるようになった。ハイブランドを筆頭に細身のボトムスが席巻してくると、カジュアルなブランドも需要とトレンドに応える形で細身のジーンズを作るようになる。
ダルチザンのSD-107はその波にいち早く乗る形で生まれたモデル。ヨーロッパ的なスーパータイトストレートは完全に計算し尽くしたシルエットで、どのアングルから眺めても美しい。もちろん着用時のシルエットも完璧だ。ただ細いだけで穿き心地が良くないボトムスはたくさんあるが、SD-107は腰回りの収まりが良く、太ももから足首にかけて実に美しいラインを描く。それでいて着用していてストレスがないのだから、恐らく相当時間を掛けて何度もパターンを微調整しながら完成させたのではないだろうか。永く愛用されるためにはただシルエットを磨くだけではなく、穿き心地の良さを両立させるのが絶対条件である。SD-107はシルエットの美しさと絶妙な穿き心地を兼ね備えた逸品なのだ。

超美麗シルエットなのに作りはヴィンテージ仕様

1979年に創業したステュディオ・ダ・ルチザンは日本で最初のセルビッチジーンズを作ったブランドとして知られている。アメリカの名だたるデニムメーカーであるリーバイスやLEEが生み出した5ポケットジーンズの原型に敬意を払いつつ、オリジナルのデザインや意匠を織り込み、40年以上もの間ジャパンデニムブランドを引っ張ってきた大御所ブランドでもある。デニム系の商品はすべて自社生産できる体制を整えており、ヴィンテージの仕様を生地から再現する能力も高い。だから、SD-107にも当然ヴィンテージディテールが万遍なく備わっている。
デニムはもちろんセルヴィッチ。SD-107は青耳だ。毛焼きをしない生機デニムは穿きこんでいくと捻れが生じる。オリジナルの15ozデニムは分厚さと快適性のバランスが良く、オールシーズン着用できるところも一軍選手をキープする秘訣。隠しリベットやオフセットした中盛りのベルトループ、トップボタン脇のV字ステッチ、コインポケットもセルヴィッチデニムで、デニム狂がニヤニヤしてしまうヴィンテージディテールがてんこ盛りだ。どんな素材を使ってどう作ればコアなデニムファンを満足させられるかを熟知しているので、ジーンズとしての完成度はとてつもなく高い。そんな職人集団が満を持してリリースした細身モデルがSD-107なので、素材や仕様、作りは往年のヴィンテージで、見た目はスタイリッシュというモデルが高い完成度で実現するのだ。


ジャストサイズを選んだので腰回りのアタリやヒゲは横に引っ張られるような形状に変化した。他ブランドと比べても濃いインディゴを色落ちさせるのはなかなか手強いが、約1年間穿きこむとくっきりしたコントラストが出てくる。

やや高めの位置に配置されるバックポケット。ヨーロッパのブランドはバックポケットの位置が低いモノが多く見受けられるが、SD-107は着用するとだらしなさのない印象。オフセットしたベルトループや堅牢なヤギ革のレザーパッチもお気に入りポイント。

このジーンズはきっと10年単位で愛用し続ける

SD-107はこの記事を書いている時点で約1年間穿きこんでいるが、エイジングとしてはまだまだこれからだろう。1年間で1度しか洗濯していないためコントラストが強めの経年変化をしており、今後どう進化していくかもとても楽しみ。自他共に認めるデニム狂である私が心底気に入っていて、これからもずっと愛用していきたいと思うジーンズがSD-107なのだ。もし10年くらい経ってボロボロになってしまってもリペアして穿き続けるのではないかと思っている。もし直せないレベルになったらまったく同じモデルを買い直す。そこまで溺愛できるジーンズと出会えたことは幸せなことだ。
前述の通り細身でも快適なパターンなので、今後40歳を超えて50代を迎えたとしても無理なく穿き続けられると自然に思える。もし10年間着用できたらとてつもなくコストパフォーマンスが高いということにもなる。これからも色々なジーンズを新調するだろうけど、SD-107はきっとそれでも1軍選手でい続けるはずだ。

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