Updates for the future 2020 Rolex new models

ロレックス・サブマリーナの2020年新作モデルに迫る

新型コロナウイルス感染症の世界的な影響、そしてバーゼルワールド撤退。「今年は新作なしか?」とささやかれていたロレックス。しかし9月1日、新作モデルが満を持して登場した。一見するとマイナーチェンジにしか見えない今年の新作ロレックス…しかし、実は未来へと繋がるアップデートなのだ。


Written : LIVE IN RUGGED
Photo : Rolex

荒れに荒れた2020年、ついに発表されたロレックスの新作モデル

新型コロナウイルスの影響は腕時計業界にも及んでいる。本来であれば毎年3月下旬に開催されていたはずの腕時計市場最大の見本市であるバーゼルワールドの開催が延期に。そして何とロレックスを始めパテック・フィリップ、チューダー(チュードル)、ショパール、シャネルがバーゼルワールドを撤退するというビッグニュースへと発展した。更に後日LVMHグループに属するタグ・ホイヤー、ゼニス、ウブロも相次いで撤退を表明。撤退側は「主催者から延期をする旨の事前連絡がなく、勝手に延期が決定されていた」と主張。それに対してバーゼルワールド側は「主要な出展者と協議した上で延長を決定した」と真っ向から対立。実際のところは何があったのかは推測するしかないものの、集客力の最も高いメーカーがこれだけ撤退したことはバーゼルワールドにとって前代未聞の失態と言えるだろう。
そんな荒れに荒れた2020年、ロレックスの新作は出ないのでは?という噂がささやかれたり、秋には発表されるというニュースが報じられていたところ、いくつかのティザー動画が配信されたのちに、9月1日に新作が発表された。こちらの記事では生まれ変わった超人気モデルサブマリーナに主軸を置いて詳細に迫る。

サブマリーナはわずかにケースサイズ拡大、しかしパワーリザーブ約70時間と機能性アップ!

まずはもっとも売れるであろうサブマリーナ・ノンデイトから。ブランドを代表する人気モデルであるサブマリーナは「ケースサイズの拡大」と「芯ムーブメントの採用」が主なアップデートである。ケースサイズは40mmから41mmへとわずかに拡大。現行モデルであるサブマリーナ・ノンデイト Ref.114060は2012年の登場から40mmのケースサイズをキープし続けてきたが、今年1mmながら大きい時計へと変わる。これは心臓部分であるムーブメントを新世代のCal.3230に変更するためなのだが、単純に「機械が変わるのでケースも大きくなります」ではないのがロレックス。機能的に明らかに優位である新ムーブメントを採用することは大前提ではあるものの、美的観点を決して損なわない工夫が施されているようだ。サブマリーナは数十年に渡りアップデートを繰り返してきたブランドの要となるモデルのひとつ。わずかなケースサイズ拡大ではあっても厚みは薄くなり、ラグもスリムになるなど、よりスタイリッシュなフォルムへと生まれ変わる。また、リューズガードのラインもより美しくカーブを描くように手が加えられている。
基本的なデザインはまったく変えずに機能性を優先しながらルックスに関係する場所を上手くアップデートする。ポルシェが911のモデルチェンジを実行する時のように、ロレックスは今回も非常に上手くまとめた。
ケースサイズ拡大は腕の細い日本人としては必ずしも嬉しくはないニュースではあるものの、代わりに新ムーブメントを搭載する恩恵を受けることができる。最大の利点はパワーリザーブの大幅延長だ。現行モデルのムーブメントが素晴らしいことは異論の余地がないが、パワーリザーブ48時間は現代の機械式腕時計としては「普通」であり、「決して長くはない」のは確か。それが今回Cal.3230が搭載されることでパワーリザーブ約70時間と大幅に延長されたのだ。例えば月~金までの平日にサブマリーナを日常使いするとしよう。金曜の夜に外して置いておいても、パワーリザーブ約70時間であれば再び腕に巻く月曜の朝でも稼働しているということだ。これはリアルに日常使いするユーザーにとって大きなメリットである。
この新しいサブマリーナ・ノンデイトは854,700円(税込)で近日発売予定。恐らく発売と同時にどの店舗でも即売り切れで姿を消してしまうだろうが、並行輸入の市場相場が100万円を超えるか、超えるとしたらどのくらいの金額になるかが気になるところ。


サブマリーナ・ノンデイト。見た目的には現行モデルと並べてみないと違いが分からない。これぞダイバーズウォッチ!の素晴らしいデザイン。

サブマリーナ・デイト。日付表示付きのサブマリーナは「ハルク」の愛称で親しまれるグリーンサブに黒文字盤が復活!早くも往年のファンを歓喜させている。

サブマリーナ・デイトやコンビモデル、金無垢モデルもリニューアル

日付表示付きのサブマリーナ・デイトもノンデイトと同様41mmにケースサイズが変更。こちらはCal.3235を搭載する。最大のトピックは「ハルク」の相性で人気の高いグリーンサブに黒文字盤が復活したことだ。ロレックスのコーポレートカラーでもあるグリーンカラーをベゼルに纏うグリーンサブは人とは違うロレックスを求めるコアなファンにも常に支持される人気モデル。もちろんベゼルは最新のセラクロムベゼルを採用し、高級感とグリーンカラーならではのカジュアル感も同時に感じられる稀有なモデルとしての立ち位置は変わらない。価格は1,009,800円(税込)。ノンデイトより15万円以上高い!と思うか、15万円くらいだったらデイト付きを選ぶぜ!なのかはあなた次第。
また、派生モデルと捉えられがちなコンビモデルと金無垢モデルも新しいケース、ムーブメントを搭載して生まれ変わる。高額ゆえ一般人には手が届かないのが正直な感想だけれど、昔は普通に直営店で売られていた高級ラインもここ数年は売れ行きが好調でなかなか店頭に並ばないらしい。ロレックス自体の人気が非常に高いことはもちろん、腕時計市場もそれだけかつてよりも成長したということなのだろう。
ステンレススチールとゴールドのコンビネーションはとても美しく、もちろん価値も非常に高い。流行とは無縁でいつでも換金性が高い。更に人と被りにくいことも高級ラインの魅力だ。
コンビモデルは1,509,200円(税込)、ホワイトゴールドが4,195,400円(税込),イエローゴールドが3,906,100円(税込)とさすがのプライス!間違っても気軽に購入できる値段ではないが、例え10年使って売却してもかなり取り戻せる(であろう)こともロレックスの凄さ。清水の舞台から飛び降りる覚悟で手に入れたとしたら、所有欲と自己満足度は想像すらできない。


精悍なルックスのRef.126613LN。ブラック×ゴールドのカラーコンビは金無垢よりも着けやすく、ステンレススチールよりもゴージャスという絶妙な立ち位置。税込み150万円という価格設定も本当に買える人にとってはこれもまた絶妙だったりする。

金無垢のRef.126618LB。イエローゴールド×ブルー文字盤でゴージャス極まりないルックスで、着用時の目立ち度も絶大。金額的にも雰囲気的にも常人が立ち入ることができない領域に君臨している。

どんなに辛い時代でも生き残るロレックスの力強い未来を感じさせる新作

サブマリーナ以外にもオイスターパーペチュアルやスカイドゥエラーからも新作が登場し、コロナウイルス影響下であってもロレックスは魅力的な新作を多数生み出した。今年の新作は以前からあるモデルのマイナーチェンジに近い変更ではあるものの、主要モデルに新しいムーブメントを搭載しケースなどを設計し直すなど、見た目以上のアップデートが施された。実用面を考えると現行モデルよりも新作を選ぶユーザーはきっと多いだろうし、これからのロレックスの未来につながる新作が多数誕生したことはいち時計ファンとして嬉しい。
1939年から参加してきたバーゼルワールドからの撤退は衝撃的なニュースだったし、今後はオンライン販売に力を入れるという話もある。新型コロナウイルスの影響は今も世界中で響いているが、ロレックスはきっとこれからも力強く生き残ってくれるだろう。

ITEM CREDIT
  • ROLEX:Submariner Ref.124060 / Ref.126610LV / Ref.126613LN / Ref.126618LB