Dead stock blue WAREHOUSE 1000XX

究極のレプリカジーンズ誕生?ウエアハウス「デッドストックブルー」

「ヴィンテージ古着の忠実な復刻」をテーマにアメリカン・カジュアルを追求し続けてきたウエアハウスが創業から25周年を迎えた。それを記念してリリースされる最新のデニムは「デッドストックブルー」がキーワード。素材開発からすべてにおいて徹底的にこだわるウエアハウスが生み出した最新なのにヴィンテージなジーンズとは?


Written : LIVE IN RUGGED
Photo : WAREHOUSE&CO

店内で何年もストックされた状態を再現したのが「デッドストックブルー」

1995年の創業以来、ウエアハウスは一貫して「ヴィンテージ古着の忠実な復刻」をテーマにモノ作りを行ってきた。ヴィンテージに傾倒するブランドは国内外問わず多くあるし、古着からインスパイアされたファッションデザイナーも数知れない。そんな中でウエアハウスが洋服好きから熱狂的に支持され、リスペクトされ続けるのは、異常なほど研究熱心だからである。コアとなるデニムはヴィンテージのデニムバナー解体し分析。糸の状態から構造を研究することで黄金時代のヴィンテージデニムを限りなく忠実に再現することに成功した。もちろん紡績機は当時と同じヴィンテージを稼働させている。シルエットやパーツをそれっぽくして「ヴィンテージを再現しました」とアピールするブランドとは根本的に違うのがウエアハウスであり、まったくぶれずにその姿勢を貫いてきたからこそ多くのファンを獲得してきたのだ。
2020年8月に発表された秋冬最新作の看板商品「デッドストックブルー」は、記念すべき25周年を祝う特別モデル。この記事を投稿する時点ではまだ誰も穿いていない「デッドストックブルー」をクローズアップする。
先に書いたようにウエアハウスはヴィンテージのデニムバナーを解体・分析することでヴィンテージデニムの再現に成功した。ただ、それは言うならばヴィンテージデニムの「新品状態」を再現したデニムということ。何十年も前にまっさらな新品として店先に並んだ状態がデニムバナーを研究することで生まれた中白デニムなのだ。それに対して「デッドストックブルー」は新品のヴィンテージデニムが店内で何年も在庫としてストックされた状態を再現したもの。例えばアメリカ西海岸の乾いた砂漠地帯にある雑貨屋。ドアを開ければ砂風が入り込む埃っぽい店内で何年も(あるいは10年以上)ひっそりと在庫として積まれたデニムは、新品であってもいつの間にか経年変化するはずだ。デニムはもちろん、革パッチやリベットなどの金属パーツもピカピカの新品状態からややくすんだような質感へと変化していく。そういった時間の経過に伴う経年変化を再現したのが「デッドストックブルー」である。


Lot.1000XXの全体図(フロント)。ほとんどテーパードしないクラシカルなシルエットはヴィンテージジーンズを彷彿させる。

こちらはバックショット。14ozのセルヴィッチデニムは張りがありながら柔軟さも兼ね備えたオリジナル。


バックポケットのダブルアーキュエイトステッチはウエアハウス特有の意匠だ。写真からでもざらついた質感が伝わってくる。

計3個のボタンフライ+トップボタン。コインポケットはやや大きめのサイズ感。

やっぱりウエアハウスのデニムへの情熱は常軌を逸したレベル!

新品のまま長い間店内や家の中でストックされた状態を再現と聞くとずいぶんマニアックな設定だと思うかもしれないが、実は楽器業界で以前から同じ設定が存在する。ギターメーカーのギブソンとフェンダーはそれぞれ「VOS(Vintage Original Spec)」と「NOS(New Old Stock)」というシリーズを用意している。細かい話は割愛するが、ギブソンのVOS、フェンダーのNOS共にピカピカの新品状態ではなく、塗装面の光沢を抑えたり、金属パーツやプラスチックパーツが少しくすんだ状態を再現。このさり気なくもマニアックな処理はギターマニアの心をつかみ、すっかり定番のフィニッシュになっている。
ウエアハウスの「デッドストックブルー」は考え方としてはギブソンやフェンダーと非常に似たもので、どちらかというとマニア向けのコンセプトと言えるだろう。デニム自体はデッドストックで長い間放置された末のやや酸化した状態へ。リベットなどの金属パーツも銅が自然と色味が変化した状態を再現し、ディアスキンの革パッチはごくわずかにエイジングしたように見える。この手の加工は少しでも失敗すると一気に嘘っぽくなってしまうのだが、さすがウエアハウス。どのパーツをどう見ても違和感がなく、本当にアメリカの古い雑貨屋で何年も放置された新品デニムを眺めているような気分になってくる。
丹念に熟成されたウイスキーが深みのある味を出すように、ウエアハウスの「デッドストックブルー」は人知れずエイジングして旨味を増した極上の状態を再現している。派手な加工が上手なブランドは多いが、ここまでさり気ないエイジングができるのはウエアハウスが25年間研究開発を積み重ねてきたから。ジーンズに必要なすべての素材とパーツを独自に開発し、実際に製品として形にするノウハウまで含めて「これ以上はない」とブランド側が言い切るほどのクオリティ。その結晶が「デッドストックブルー」なのだ。


銅製のリベットはところどころ少し錆びたような質感。縫製糸も酸化したデニムに合う色味を採用するなど、細かいディテールも徹底的にこだわっている。

ディアスキンの革パッチ。しなやかな質感で水にも強く、実はデニム衣料のパッチとして理想的な素材。


リーバイスのアーキュエイトステッチを上下ダブルで描いたようなウエアハウスオリジナルのデザイン。バックポケットに付くタブも「デッドストックブルー」用の退色したものを採用するというこだわりっぷり。

ピンク色のセルヴィッチ。当然チェーンステッチだ。デコボコしたデニムの質感が伝わってくる。

25周年にふさわしい究極にマニアックな新シリーズ

ヴィンテージの再現という命題を追求し続けてきたウエアハウスが新たに生み出したシリーズ「デッドストックブルー」は、本当にデニムが大好きな人以外にはコンセプトも魅力も伝わりにくいだろう。しかし、生地や縫製、パーツ、デザインやシルエットなど色々なことが気になってしまう生粋のデニム狂であれば、このシリーズはきっと気になるはずだ。「デッドストックブルー」は現在予約受付中で、10月中旬~12月中旬頃に入荷予定。31,900円でヴィンテージジーンズと同等のモノが手に入ると思えば格安に思えてくる。

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