Basic is the best Burgus Plus Lot.770

やっぱりベーシックが一番?2020年もっとも穿いたジーンズ – バーガスプラス Lot.770

とにかくヘビロテで穿きまくったLot.770に感謝の気持ちを込めながらお届けする。


Written / Photo : LIVE IN RUGGED
item : BURGUS PLUS

アメカジを知り尽くした老舗ショップのオリジナルブランド

数十年の長きに渡り日本のアメカジファッションを見つめ、牽引してきた上野アメ横の名店〈HINOYA(ヒノヤ)〉。今や〈ヒノヤ〉は欧米のデニムファンやミリタリーファッション好きにも知名度が広がりつつあり、アメカジのスペシャリティストアとしてリスペクトされている。そして、〈ヒノヤ〉が展開するオリジナルブランド〈BURGUS PLUS(バーガスプラス)〉はアメカジやワーク、ミリタリーといった男の定番服を独自に解釈し、「究極のベーシック」となる洋服をメイドインジャパンにこだわって作り続けるブランドだ。
〈BURGUS PLUS〉は長年国内外のブランドを扱ってきた経験があり、デニムウェアに関してのノウハウは洋服ブランド顔負けのレベル。だから、オリジナルブランドのジーンズもとにかくクオリティが高い。そしてストアオリジナルブランドであることから良心的な価格帯になっており、ライトユーザーとハードコアなデニム狂の両者を満足させるプロダクトを作っていると言えよう。

ヴィンテージを再現したオリジナルデニムと、誰でもカッコ良く穿けるストレートシルエット

Lot.770は〈バーガスプラス〉の定番モデルで、くせのないやや細身のストレートシルエット。標準的な体型であれば国籍を問わず細すぎず太すぎない着用感で穿けるようにパターンが計算されており、とにかく穿き心地が良い。ここ数年ジーンズのトレンドはスキニーに近い細身のシルエットが欧米ではトレンドになっており、現在もそれはある程度続いているものの、やはりベーシックなストレートシルエットは流行とは少し違う立ち位置に属しているように思う。いつどんな時でも普通に穿けるジーンズは「細身=ロック」や「太め=ヴィンテージワーク」のような先入観を持たれることもない。この汎用性の高さもLot.770の魅力。
デニムはざらつきのある質感でいかにもジャパンデニムらしい。15ozのセルヴィッチデニムは縦糸に6.8番手のムラ糸を使用。米国産100%スーピマ綿糸をタテ糸、ヨコ糸ともに打ち込み、旧式力織機でローテンションで織ることでデコボコしたヴィンテージデニムのような風合いを再現している。手で触るとザラついた質感があり、毛焼きされた大量生産のデニムとはまったく異なるものであることが分かるはずだ。


写真では伝わりにくいけれど、いかにもローテンションで織られたデニムであることが見ても触っても実感できるのが〈バーガスプラス〉のセルヴィッチデニム。

ヴィンテージジーンズの仕様を再現したデザインも非常に完成度が高い。ボタンやリベットなどの副資材もオリジナルで作られている。

実はLot.770が2020年もっとも穿いたジーンズ

このLot.770の着用時間は約2,700時間。日にちに換算すると112日と12時間という計算になる。先日インスタグラムでも触れたように、実はLot.770が2020年もっともよく脚を通したジーンズだった。このモデルが自分にとって初めての〈バーガスプラス〉で、一番ベーシックな定番モデルを試してみようという実に安直な理由で手に入れたこともあり、正直に言うとそこまで期待値は高くなかったように思う。しかし、いざ穿いてみるとクオリティの高さと使い勝手の良さを実感。穿けば穿くほど「これって実は物凄く良いジーンズなのでは…」という思いになった。着用期間112日というと、一年の3割近くの日々をLot.770を穿いて過ごしたことになる。それくらい高頻度で穿けるのは品質と着用感が良いからだろう。


ボタンもリベットもオリジナルで製作したパーツを使用。鉄製トップボタンの文字の彫り込みもリーバイスのような大企業と比較してもまったく見劣りしない。縫製のレベルも非常に高い。

革パッチはディアスキン(鹿革)。しっとりとした柔らかさを持ちながら水に強い特性を持ち、洗濯をしても過度なダメージを受ける心配がない。


112日間着用で一度しか洗濯していないため、いわゆるバキバキのアタリが出始めてきた。膝裏のハチノスも既に形成されつつあり、今後のエイジングが楽しみ。

洗濯をしない代償として膝が出てきている。アイロンをかけると緩和されるので、同じ悩みを持つ方はお試しあれ。

品質の高さに反比例する値段の安さ
Lot.770はバーガスプラスの真面目なモノ作りの姿勢がある

ちなみにデニムは100%ピュアインディゴのロープ染色で、ダブルダイと呼ばれる手法で染められている。その名の通り二度染めされているため、新品状態はまさに濃紺。穿きこんでいっても簡単には色落ちしてくれない。濃く染められているためコントラストの強い色落ちに成長していくのも〈バーガスプラス〉のデニムの特徴だ。
そしてこれはごく個人的な主観になってしまうのだが、15ozという重さも定番モデルとして絶妙だと感じている。ヴィンテージの501などは13oz前後のデニムなので、よりストレスなく穿くことができるだろう。ただ、デニム自体が薄いため長く穿くとダメージに耐え切れなくなり崩壊していく場合もある。一方15oz以上あるデニムは穿き心地の良さと強度が両方備わっており、オールシーズン着用可能なのに破れなどのダメージが発生しにくいのだ。そういう意味ではLot.770はリアルなヴィンテージレプリカではなく、オリジナルを再解釈した定番服と言える。
自社開発したジャパンデニムを使い、ヴィンテージを知り尽くした工場で縫製。ボタンやリベット、パッチなどの副資材も既成のものを使わずに自社で作る。ここまでお金と時間を掛けて生産されるLot.770の価格は13,800円(税抜き)。定番モデルなので戦略的な価格で設定されたのだろうが、それにしても安い。〈バーガスプラス〉にはストアブランドという枠を軽く超えた高いクオリティと、ユーザー想いの姿勢が息づいている。
ちなみに阿波正藍染で染められた特別なLot.770はチェック済み?

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