究極レベルにレアな1971年製TUDOR「HOME PLATE」
圧倒的なオリジナリティを武器に倍以上の相場まで高騰した「史上もっともレアな〈チューダー〉」、その魅力に迫る。
できることならタイムマシンに乗って買い漁りたい…。
ここ数年で爆発した空前のヴィンテージ・ロレックスブームの影響をもっとも強く受けたブランドが〈TUDOR(チューダー)〉であることは、腕時計好きであればご存知かと思う。元々〈ROLEX(ロレックス)〉のディフュージョンブランドとして誕生した出自を持つだけに兄貴分との関係は深く、ファン層の重なりも多いからだ。〈チューダー(古い呼び名はチュードル)〉のヴィンテージは〈ロレックス〉のケースやパーツをそのまま流用したモデルも多く、兄貴分と遜色ないデザインと作りで値段は半分以下、なんてモノが多かったことも人気の理由。
ところが、ヴィンテージウォッチの価値が見直されたここ数年でヴィンテージ・ロレックスを筆頭に相場が急騰。例えば〈ロレックス〉デイトナ・ポール・ニューマンモデルは20年ほど前は400~500万円前後だったのに最低でも2,000万円以上(実に4倍以上!)という相場に激変した。それに引っ張られるようにヴィンテージ・チューダーの相場も一変したのだ。10数年前までは「薔薇サブ」でも50万円も出せば間違いなく手に入れられたのに、今や最低でも200万円以上は必要なほど。デイトナのチューダー版とも言えるオイスターデイト・クロノタイムは20万円前後で購入できたのに、90年代以前の古いモデルは軒並み100万円以上まで跳ね上がる具合だ。
ところが、ヴィンテージウォッチの価値が見直されたここ数年でヴィンテージ・ロレックスを筆頭に相場が急騰。例えば〈ロレックス〉デイトナ・ポール・ニューマンモデルは20年ほど前は400~500万円前後だったのに最低でも2,000万円以上(実に4倍以上!)という相場に激変した。それに引っ張られるようにヴィンテージ・チューダーの相場も一変したのだ。10数年前までは「薔薇サブ」でも50万円も出せば間違いなく手に入れられたのに、今や最低でも200万円以上は必要なほど。デイトナのチューダー版とも言えるオイスターデイト・クロノタイムは20万円前後で購入できたのに、90年代以前の古いモデルは軒並み100万円以上まで跳ね上がる具合だ。
もちろん〈ロレックス〉や〈チューダー〉だけではなく〈OMEGA(オメガ)〉や〈TAG HEUER(タグ・ホイヤー)〉などの世界的な腕時計メーカーも古いモデルは中心に相場が激変し、「少し前までは普通に変えたのに手が届かなくなってしまった…」と多くの時計ファンが嘆いているのがここ数年のヴィンテージウォッチを取り巻く世界だったりする。
そして、そんなヴィンテージウォッチ・バブルの影響で大化けした代表モデルが本日紹介する〈チューダー〉1971 オイスターデイト「ホームプレート」Ref.7032である。2021年現在、ヴィンテージの「ホームプレート」をゲットするには400~500万円(状態により前後)ものお金が必要になってしまった。外車に匹敵するほどの価格まで跳ね上がったことについては賛否両論あるけれど、今後大幅に下がることは恐らく二度とないだろう。ただし、当然のことながら「ホームプレート」の魅力は相場が上がってしまったことに非ず。オリジナリティ抜群のデザインと〈ロレックス〉の系譜を引き継ぐ確かな作りにクローズアップし、その魅力をお届けする。
兄貴分である〈ロレックス〉とは一線を画す大胆なデザインが最大の魅力
「ホームプレート」というペットネームの由来は文字盤上のインデックスの形状から。野球場のホームベースのような形をしていることからこのペットネームが付いた。〈ロレックス〉を含めて他ブランドがインデックスや新円や四角を採用する中、ホームプレート形にしてしまうところが実に〈チューダー〉らしい。〈ロレックス〉のディフュージョンブランドというある意味で微妙な立ち位置であるからこそ、兄貴分が決してしないデザインを積極的に採用していたのではないだろうか。
3ダイヤルではなく横並びの2ダイヤル式クロノグラフで、この時代特有のフューチャリスティックなデザイン性も独特な雰囲気につながっている。50年も昔の腕時計なのにどことなく未来的で、それでいて懐かしさのある不思議なルックス。文字盤の落ち着いたグレーカラーと要所要所に入るオレンジのコントラストもヴィンテージとモダンを感じる要因だ。
ムーブメントはETA社製のバルジュー7734を搭載。比較的多くのメーカーに採用されたクロノグラフムーブメントで、自動巻きではなく手巻きであることも魅力を高めている。「ホームプレート」はケース径が40mmで、70年代初頭の腕時計としてはサイズが大きめなのはバルジュー製ムーブメントを収めるためだった。バルジュー製のムーブメントは「ホームプレート」以降の「モンテカルロ」やクロノタイムにも引き継がれていくので、本モデルがその伝統の記念すべき初代という立ち位置でもある。
挑戦者の精神は50年前のモデルにも息づいている
きっとここまで読めば現代の〈チューダー〉が掲げるブランドフィロソフィーである「BORN TO DARE(挑戦者の精神)」が50年前のヴィンテージウォッチにも流れていることが分かるはず。〈ロレックス〉という圧倒的存在を常に身近に感じながら、自分たちの個性を確立するために挑戦を続けてきた歴史がこのブランドを形成している。〈チューダー〉1971オイスターデイト「ホームプレート」からは、そのレアさもさることながら、挑戦する姿勢を第一に生み出したブランドの精神と圧倒的なオリジナリティも感じることができる。本当に手に入れるには清水の舞台から飛び降りる覚悟が必要なほど高額になってしまったが、今後価値が下がる可能性が限りなく低いことを考えても「買い」の一本であることも間違いない。
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