Science and beauty Rolex Milgauss

ROLEX唯一の耐磁時計、ミルガウスは磁力に囲まれて生きる今の時代にこそ最適なモデルでは?

カジュアルテイストをベースに上質な素材とパターンで作られる極上の子供服がこの秋登場。


Written : LIVE IN RUGGED
Photo : LES RHABILLEURS

超人気モデルたちと比べてやや目立ち度が低い〈ロレックス〉ミルガウスの秘めたる魅力を探る

スイス製腕時計の王道にして絶対的王者である〈ROLEX(ロレックス)〉には数多くの歴史に残る傑作がある。SUB MARINER(サブマリーナ)EXPLORER(エクスプローラー)GMTマスター、AIR KING(エアキング)やDAYTONA(デイトナ)などは、高級腕時計の人気ランキングを行えば軒並みランクインしそうな人気モデルが勢ぞろい。どのモデルも時代を超えて愛される理由があり、マスターピースとして不動の支持を集めている。
ところが、そんな〈ロレックス〉の腕時計の中でもどちらかというと目立たないモデルもある。それがMILGAUSS(ミルガウス)。1,000ガウス(約80,000A/m)の耐磁性を持つモデルとして1956年に誕生したこのモデルは、磁力の強い特殊な環境で働く科学者や技術者向けのプロフェッショナルウォッチとして生まれた…というややマニアックな背景を持つ。ダイバー向け(サブマリーナ)、レーサー向け(デイトナ)といった分かりやすくてキャッチーなコンセプトを持つモデルと比べると、ともすれば地味な印象で捉えられがちかもしれない。恐らく初めて〈ロレックス〉を購入する場合にいきなりミルガウスを手に入れる人はかなり少ないのではないだろうか。
でも、筆者のようなひねくれ者はそんなミルガウスにある種のシンパシーを感じてしまう。分かりやすいキャッチーさはなく、争奪戦になったり中古市場で物凄いプレミアが付くようなモデルではないかもしれないが(一部のヴィンテージ・ミルガウスを除く)、人からあまり選ばれることのないミルガウスを見ていると「俺は君の良さを分かっているよ」と声を掛けたくなってしまう。そして、この少し控えめな腕時計のことを知れば知るほど「もしかするとエクスプローラーIよりも魅力的なんじゃないか?」という不思議な気持ちすら芽生えてくるのだ。
この記事では雑誌やウェブサイトではあまり取り上げられることのない〈ロレックス〉ミルガウスの魅力を自分なりに掘り下げて探ろうと思う。ターゲットは腕時計黄金時代の1968年製だ。熟知している方には同感していただければ幸いだ。ミルガウスって何?という方にはこれを機に魅力を感じていただきたい。


〈ロレックス〉らしいシンプルな顔立ちの1968年製ミルガウス。縦方向に走るヘアラインが大人の上品さを出している。

デイト表示のないシンプルな3針仕様で、ブレスレットは王道の3連タイプ。まさに〈ロレックス〉の定番デザインを楽しめるのもミルガウスの魅力。

「耐磁」という他にはないユニークなコンセプトを数十年に渡り追求し、数多い〈ロレックス〉製ウォッチの中でも独自の地位を確立させる

「耐磁」がコンセプトと聞くと「磁力って日常生活でそれほど気にする必要があるの?」と思われるかもしれないが、実際のところ私たちは磁気に囲まれて生活している。PCや携帯電話はもちろん、テレビや電子レンジなどの家電製品全般は強力な磁気を放つ。機械式時計にとって磁気は水分と同等かそれ以上に最悪の敵だ。写真のミルガウスが製作された1968年と比較して、私たちが生きる現代が遥かに多くの磁気にさらされていることは説明の必要がないだろう。
ミルガウスは少しマニアックなモデルなので、まずは簡単に歴史や背景を振り返ってみよう。
遡って、1956年に誕生した初代ミルガウス(Ref.6541)は魅力的なスペックを備えていた。当時にしては大きなサイズ(37mm)のオイスターケース。外観的にはサブマリーナにとてもよく似ている。ドルフィン針やリベット留めのオイスターブレスレットも魅力的だが、今なおファンを熱狂させるのはミルガウスにしかない稲妻針だ。耐磁性を持つことを視覚的にも表現した稲妻針はミルガウスをアイコン化させることに成功し、このディテールを備えたヴィンテージモデルは年々評価が上がっており、今手に入れようとすると高級車一台分以上の金額を支払わなくてはならない。
初代登場から3年後、早くも2代目へとモデルチェンジが遂行される。ミルガウス2ndモデル(Ref.1019)は1959年に登場し、1991年まで発売されるロングセラーモデルとなった。心臓部となるムーブメントはCal.1580クロノメーターへと替わり、腕時計としての精度が大幅に向上。磁気から守るために初代から組み込まれていた金属製のインナーケース以外にケースバックの内側にも十字型のパーツが追加されるなど、耐磁性向上の工夫は更にアップデートされている。また、外観上の大きな特徴であった回転ベゼルからエクスプローラーシリーズやエアキングに似たポリッシュドベゼルへと変更。よりスマートで知的な雰囲気へと進化していく。
初代のアイコンであった稲妻針は2ndモデルからはなくなってしまったことが非常に惜しいところだけれど、より洗練されたルックスへの変更を目指した背景があるためやむを得なかったのだろう。本記事で紹介している1968年製ミルガウスもこの時代に作られた2ndモデルで、エクスプローラーIやエアキングと共通するシンプルな美しさと男性的なたくましさを兼ね備えていることが感じられるはずだ。
1991年に一旦ドロップアウトするも、2007年のバーゼルワールドで待望の復活を果たし、3代目ミルガウスが登場。基本的なデザインの方向は先代を引き継ぎつつ、多くのファンの声にこたえる形で初代だけが持つ意匠だった稲妻針が文字通り電撃的に復活。世界中のミルガウスファンを歓喜させる。
もちろんムーブメントも進化し、Cal.3131クロノメーターを搭載。自動巻きムーブメントとして第一級の心臓も与えられ、3rdモデル登場時は一時期プレミア価格で取引されていた(超人気モデルの陰に隠れがちだったミルガウスがここにきて大ブレイク!)。他の〈ロレックス〉とはひと味違うルックスと独特なコンセプトは長い時間を掛けてじわじわと評価され、爆発的にヒットすることはないものの「人とは少し違うモノ」を求めるコアな腕時計好きや「本物」を見極める紳士たちから愛されるモデルへと成長したのだ。


シンプルなルックスなのでカジュアルからドレスまで幅広く対応。1968年製のミルガウスはいたずらに誇張しない控えめのデザインこそ魅力を感じる。

太いバーインデックスの効果もあり、視認性も素晴らしい。「MILGAUSS」赤いモデル名と秒針の先に付く赤がコントラストになっていて、さり気なくオシャレなデザイン。

〈ロレックス〉の長い歴史から見ても特殊な機能と背景を持つミルガウスは手に入れられるうちにゲットすべし!

科学者やエンジニアからの要望を全面的に反映した耐磁腕時計の先駆者であるミルガウスは、〈ロレックス〉の中でも特に渋さを感じるモデル。サブマリーナのような超人気モデルは人と被ることが頻繁にあるようだが、ミルガウスの場合はそれがほとんどない。くだらないことのようだけれど、最低でも数十万円を払うのであれば自己満足度が高いことは非常に重要だ。
そして、ありとあらゆる電子機器や家電に囲まれて生活する21世紀に生きる私たちにとって、水分よりも電磁気の方が遥かにリスキーであることは言うまでもない(数百メートル防水の機能は素晴らしいけど、実際〈ロレックス〉を身に着けたまま水中深く潜る人はほとんどいないでしょう?)。
この記事で紹介しているミルガウスはフランスのボークリューズ地域の原子力発電所で長年働いていたエンジニアが実際に職場で身に着けていた個体。原子力発電所というこれ以上ないほど強力な磁力を受ける環境で何の問題も起こさずに稼働し続けたミルガウスという腕時計は、ただそれだけで称賛に値する。1,000ガウスの磁力を日常生活で受けることはまずあり得ないと言っていいけれど、オーバースペックにロマンを見出すのは男の常。特殊な機能性を持ち、シンプルで美しく飽きることのないデザインで、所有者がさほど多くない〈ロレックス〉の腕時計…これはどう考えても「買い」のモデルではないだろうか。
科学と美が融合した唯一無二の孤高の腕時計、ミルガウスは希少性が高く、今後ますます市場価値が上がっていくはず。今のうちに思い切って手に入れてみてはいかがだろうか。
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