A little playfulness makes fashion unique

少しの遊び心がファッションをより自由にしてくれる – ネルシャツとドッキングしたメゾン・ミハラヤスヒロのデニムジャケット

正面→デニムジャケット。背面→ネルシャツ。ところどころ破けと裂けあり。〈メゾン・ミハラヤスヒロ〉の独創的な発想と技術力が結合したユニークな3rdジャケットを発見。


Written : LIVE IN RUGGED
Photo : HBX

三原康裕氏の誰も真似できないクリエイティビティが炸裂

クローゼットの中に納まりきらないほど洋服をたくさん持っていても私たちが買い物をやめられないのは、買わずにはいられないほど素敵なアイテムが世の中にはたくさんあるから。ジーンズなんて何本持っているのか、時々自分でも分からなくなる。Tシャツは毎年必ず何枚も買い足してしまうし、寒くなればフーディーやライダースジャケットも半ば無意識に探してしまう(ライダースジャケットなんて「一生物」と言い聞かせて買ったモノが既にあるのに!)。物欲ってつくづく病気のようだ。
今日(やめておけばいいのに)インターネットでお気に入りのショップを見ていたら、〈MAISON MIHARA YASUHIRO(メゾン・ミハラヤスヒロ)〉の風変わりなデニムジャケットを見つけてしまった。オーセンティックな3rdタイプをベースにしたジャケットは、重ね着をしているように見えるドッキング仕様。背面はネルシャツになっている。こういう遊び心のあるデザインを見つける度にテンションが上がり、ポチッとカートに入れたくなるのを辛うじて我慢する毎日…こんな感じで私たちはやっぱり買い物をやめられない。
〈メゾン・ミハラヤスヒロ〉は三原康裕氏が手掛ける日本のファッションブランドで、メンズファッションのベーシックアイテムを自由にアレンジした高いデザイン性と品質の高さが世界で評価されている。元々シューズブランドとして始まったため今でも靴のファンも多いことでも有名だ。2016~17年秋冬シーズンからコレクションラインを〈メゾン・ミハラヤスヒロ〉として展開し、1996年にスタートした〈MIHARA YASUHIRO(ミハラ・ヤスヒロ)〉はベーシックウェアを発売するラインとなっている。
写真のデニムジャケットはウォッシュを掛けた3rdタイプがベースで、前面がオーセンティックなデニムジャケット、背面がネルシャツになっているハイブリッドデザインが特徴。ややリラックスしたフィット感は誰でも無理なく着こなせるように設計されており、わずかにドロップしたショルダーラインとゆとりのある身幅、長めの着丈でいかにも合わせやすそう。ヒゲやアタリも加工で再現されているけれど、ガチのヴィンテージ系ではなくあくまでもユーズド感を自然に感じられる程度に抑えられている。
注目すべきは背面。まるで素人がDIYでカスタムしたかのようにデニムがビリビリと引き裂かれ、ブロックチェックパターンのネルシャツとドッキング。ウエスト部分のデニムはシャツに縫製せずに両脇からダラリと垂れているし、よく見ると両袖のデニムも大胆に裂けてインナーの一部が見えてしまっている。そういったルーズなデザイン処理でハイファッション的なデザイン性がプラスされているのが実にこのブランドらしい。既存のパターンを壊す加工はパンク的なファッションに見えがちだけど、〈メゾン・ミハラヤスヒロ〉のこのデニムジャケットは洋服自体に攻撃性があるわけではなく、どちらかというと温もりを感じる雰囲気。〈ミハラ・ヤスヒロ〉時代から三原康裕氏は他の誰も発想できない自由なクリエイティブを続けているが、このデニムジャケットも大胆な形でオリジナリティが発揮されている。


正面から見るとシャツをインナーに着ているだけのように見える。

ところが背面を見るとネルシャツがドーンと鎮座。両袖の内側は大胆に裂けているほか、デニムジャケットのウエスト部分はダラリと垂れ下がるデザインに。この破壊的なデザインはまさにこのブランドらしい。


アイテム単体で見るといかにこのデニムジャケットのデザイン性が高いかがよく分かるはず。壊す行為とつなげる行為が共存した不思議なルックスはコレクションラインならでは。

普通のデニムジャケットに飽きた方はぜひチャレンジを!


襟の一部とボタンホールの一部には少し色あせたトーンのオレンジ色のタグが縫い付けられ、これもデザインアクセントとして効いている。

正面のボディ下部にはシーズン名などがプリントされたタグを大きく設置。スタイルナンバーやサイズだけでなくユーザーIDやパスワードを記入する項目もあり、こういった箇所にも三原康裕氏の遊び心が。

いつもの洋服の上に羽織るだけでファッションが自由であることを楽しめるデニムジャケット

デニムジャケットという何十年も前に完成されたワークウェアをハイファッションに近しい方向性にアレンジしてしまう〈メゾン・ミハラヤスヒロ〉の自由な創造性は、洋服は不要不急という根拠のない意見すら出ている今の世の中の状況の中で見ると清々しさすら感じる。少しの遊び心がファッションをユニークにするということ、そしてファッションは自由に楽しむのが一番なのだという当たり前のことを改めて実感させてくれる〈メゾン・ミハラヤスヒロ〉のデニムジャケットは、ただ着るだけで日常生活をユニークにしてくれるはずだ。
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変化球ではない直球のオーセンティックを楽しみたければ、〈DENIME〉の1stタイプもぜひご覧いただきたい。

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