The great western trendkill

CHROME HEARTS×WESCO 時代に流されない本物の存在感

一生物という言葉はあまり使うべきではないけれど、このワークブーツはきっと一生物になり得る数少ない一足。


Written : LIVE IN RUGGED
Photo : hwigwam

清々しいほどブレがない!

あらゆる消費活動がインターネット上で行えるようになり、ひと昔前と比べて格段に利便性が向上した今の時代。かつてはテレビと雑誌くらいしか情報源がなかったのに、今ではスマホを開くと過剰なほど雑多な情報が流れてくる。便利さを追求した結果が今の時代であり、今後もその方向でどんどん加速していくことは間違いない。この記事を書いている私も読んでいるあなたも利便性を追求した世の中からたくさんの恩恵を受けているのだけれど、情報過多になってしまった時代ならではの危うさを常にはらんでいることを忘れてはいけないとも思う。インスタントな情報は無責任なものが多く、無意識のうちに発信力の高いメディアから流れてくる情報に流されてしまいがちだからだ。私たちが大好きなファッションの世界においても、価格競争に走る安価なモノと極端にラグジュアリーなモノへの二極化が進んでいる。大切なのは本物を知る力と自分なりの価値観。だって、お金を出すのは他の誰でもなく自分なのだから、名前も知らない他人の価値観に流されてしまうことほどばかばかしいことはないと思わないだろうか?
CHROME HEARTS(クロムハーツ)〉がブランド初期から継続して作り続けている〈WESCO(ウエスコ)〉のカスタムワークブーツは、混沌とした今の時代の中で見ると清々しいほどブレがない。
レースアップブーツであるJOB MASTER(ジョブマスター)のアイレットやシューレースなどをスターリングシルバーのパーツに交換し、おなじみのダガーモチーフをアンクル部分に配置。ヒール背面にはブランドロゴのひとつであるスクロールラベルもセットされる。〈ウエスコ〉製ならではのタフでラギッドなデザインと〈クロムハーツ〉の優雅でロックなシルバーパーツのコンビネーションはこれ以上ないほど親和性が高い。どちらもアメリカのブランドであることも相性の良さの理由なのだけれど、〈クロムハーツ〉創業者であるRICHARD STARK(リチャード・スターク)自身が生粋のバイカーであり、日常的に〈ウエスコ〉のワークブーツを愛用してきたことも大いに関係していそうだ。言わば、ファッションではなくスタイル。作り手側のライフスタイルと価値観の中にごく自然に溶け込んでいるプロダクトだからこそ、両者の組み合わせには少しも不純物がなく、真っ直ぐな線を描くように芯のある逸品へと昇華されているのだ。
空前のスニーカーブームの真っただ中であり、登場しては消えていくブランドやトレンドの情報があふれる時代において、〈クロムハーツ〉がカスタムした〈ウエスコ〉のジョブマスターは圧倒的な存在感を放ちながらも静かな佇まいを感じさせる。〈クロムハーツ〉をよく知らない人にとっては60万円近いハイプライスに驚嘆するかもしれないが、このワークブーツは間違いなく時代の変化の影響を受けない本物だ。


丸みを帯びたトゥとビブラムソール、8インチのオーセンティックな高さを持つ定番のジョブマスターを〈クロムハーツ〉がフルカスタム。ベースの良さはそのまま残しながら、得意のシルバーカスタムで唯一無二の一足に仕上げている。

ペンダントを購入すると付属する編み込みの紐をシューレースとして使う贅沢!紐の先端には創業当時から存在するバレルモチーフのシルバーパーツが付いている。


足首付近に定番のダガーモチーフ、ソール背面にはスクロールラベルをセット。後ろ姿からも〈クロムハーツ〉カスタムであることをさり気なく主張してくれる。

もっとも有名なモチーフであるクロスを贅沢にあしらったフルカスタムのジョブマスターは、アメリカンスタイルを愛する人はもちろん、実はハイファッション好きからもリスペクトされる逸品。


分厚いブラックレザーと重厚なスターリングシルバーのコンビが男らしさ100%。

長く履きこむことでレザーはよりしなやかに、シルバーは輝きと燻しのコントラストが強くなり、自分だけのアイテムへと成長していく。

30数年以上も基本的なデザインが変わらないという事実が本物であることを示している

どちらもアメリカンブランドであることと他を圧倒する重厚感から、ファッション的に合わせられるスタイルが限定されると思われがちだが、実はこのブーツは意外なほどどんなスタイルにでもマッチする。全身ブラックのモードスタイルに合わせると足元に独特な重さが生まれ、それが全身を見た時の絶妙なスパイスになる。白シャツにスラックス、またはチノパンのようなごくシンプルなスタイルの場合でも足元に只者ではないオーラが生まれるのが面白い。オーバーサイズのフーディーやダウンジャケットをメインにしたストリートスタイルはもちろん、定番のアメカジ系との相性もばっちり。主張の強い靴なのに不思議なほどどんなテイストにも合ってしまうのは、ジョブマスターの普遍的なデザインがなせる業なのかもしれない。
アメリカ西部、ロサンゼルスのファクトリーでひとつひとつをハンドメイドで作る〈クロムハーツ〉がカスタムした〈ウエスコ〉ジョブマスターは、最初のモデルが誕生した30数年前から基本的に同じルックスのまま。その事実だけでも安易なトレンドとは一切関係のない立ち位置にいることが分かるはずだ。
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今の季節にぴったりのライダースジャケットも必見だ。

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