Sharp dressed man Rolex and Tiffany & co.

ロレックス×ティファニー デイトジャストは本気で探せば今でも手に入れられる最高の腕時計

絶滅危惧種のようにレアな存在になってしまった〈ティファニー〉シグネチャーが入った〈ロレックス〉製腕時計。本記事では名ムーブメントを搭載するデイトジャストの〈ティファニー〉ダブルネームをピックアップ。普遍的価値に〈ティファニー〉ならではの付加価値が加わった特別なウォッチを紹介する。


Written : LIVE IN RUGGED
Photo : HODINKEE

シンプルでミニマルな美しさが光るデイトジャスト
〈ティファニー〉ダブルネームモデルは手に入れられるうちにゲットすべし!

「地に足のついた」という表現は男女問わず最高の賛辞だと思う。現実的で浮き足立ったところがなく、自分の「分」をわきまえている状態。驕り高ぶらず控えめな姿勢である「地に足のついた」人は、すなわち自分をしっかり持ちながら周囲への配慮もできるニュートラルな状態であると言ってもいいかもしれない。それでは「地に足のついていない」のはどんな人だろう?その答えはこの記事を読んでいるあなたには既に分かっているはず。すぐにマウントを取りたがる人や、やたらと自分の凄さを言葉の端に匂わせる人、面食らってしまうほど自尊心が強い人、金銭的成功をアピールしたがる人…こういった人々は「地に足のついていない」状態のように感じる。そして「地に足のついている」人は時計選びにおいてもスマートで、「地に足のついていない」人は肥大した自尊心と自己PR精神がやたらと表に出た時計を身に着けがち…なんて言ったら極端すぎるだろうか?
腕時計はかつて男性にとってステータスの象徴だった。アクセサリーを身に着ける場面が女性に比べて極端に少ない男性にとって腕時計は数少ない自己主張できるアイテムであり、その価値観はビジネスシーンにおいてもカジュアル化が進む今の時代でも残っている。しかし、価値観の多様化が浸透しつつあるこの時代に「高級時計=ステータスシンボル」と信じるのはちょっと危険であることは覚えておきたいところ。スイス製機械式時計よりも遥かに安価なアップルウォッチがもっともヒップな時計になり、G-SHOCKがかつてないほどファッション界隈でもてはやされるようになった昨今、高級時計が一番かっこいいと妄信すること自体がクールではなくなってしまった。
それでもLIVE IN RUGGEDが昔ながらの機械式時計を猛プッシュする理由は、ステータス性という表面的な部分以外に素晴らしさがいくつもあるからに他ならない。人の叡智と技術の結晶であり、美的観点においてもっとも美しさを日常的に享受できるファッションアイテムでもある。もちろん、人気のあるブランドの機械式時計が資産的価値がある点にも強い魅力がある(誰だって大金を出して手に入れたモノが数年後に価値がなくなるのは嫌でしょ?)。
本日紹介する〈ROLEX(ロレックス)〉 Datejust Ref.16220 With Tiffany Dial(デイトジャスト Ref.16220 ティファニーダイヤル)は完成された美しさと希少性、ハイレベルな手作業の技術力が詰まった逸品。シンプルな3針モデルであるデイトジャストは一般的なサラリーマンであっても「地に足の着いた」選択であり、「えい!」と覚悟を決めれば手に入れられる価格であることも重要なポイントだ。本モデルはマニアが血眼で探すTiffany & co.(ティファニー)とのダブルネームモデルなので通常のデイトジャストよりは高額ではあるものの、いつ作られたかに関係なく今後ますます市場価格が上がっていくことが簡単に予想できる。つまり、天井価格に跳ね上がる前に〈ティファニー〉モノはゲットしておくべし!ということ。前置きが長くなってしまったが、さっそく美しいルックスを眺めながら〈ロレックス〉が生み出した不変の傑作モデルの魅力を再確認しよう。


漆黒のダイヤルに浮かぶ「Tiffany & co.」のブランド名。ただそれだけなのにデイトジャストに更に気品を与えている不思議。

このデイトジャストは自動巻きムーブメントの傑作であるCal.3135を搭載している。

30年以上にわたり最高の評価を受けるムーブメントを搭載

〈ティファニー〉のシグネチャーが入った〈ロレックス〉はデイトジャスト以外にも様々なモデル…サブマリーナやデイトナといったスポーツウォッチでも発見されている。以前こちらの記事で詳しく紹介しているが、〈ロレックス〉の販売戦略のひとつとして1950~90年代初頭まで〈ティファニー〉社と契約を結び、主に北米の〈ティファニー〉のブティックで販売されていた。90年代後半にダブルネームモデルが評価されるようになり、やがて偽物が世界中で横行にすることに。〈ティファニー〉のシグネチャーが入ったモデルは真贋判定が特に難しいと言われているので、時計好きの間ではむやみに手を出してはいけない最たる時計と言われている。ヤフオクなどのフリマアプリに時々出品されることがあるが、まず間違いなくフェイクなのでウォッチリストに入れることすらやめておいた方がいいだろう。
本記事でフィーチャーしているデイトジャストは非常に状態が良く、〈ティファニー〉のシグネチャーも完璧に残っている。1990年製なので〈ティファニー〉のブティックで売られていたモノとしては後期にあたるモデルだ。漆黒の文字盤はまるで昨日製造されたように美しく、曇りひとつない。立体的な刻みの入るベゼルと建築的な雰囲気すら漂わせるインデックスも、デイトジャストの硬質なかっこよさを演出している。
Ref.16220のムーブメントは自動巻きのCal.3135を搭載。振動数は28,800振動/時なのでこの時代のムーブメントにしてはハイビートで高精度だ。パワーリザーブは約48時間と実用性が高い。Cal.3035を改良したキャリバーであるCal.3135はシングルブリッジだったテンプ受けをツインブリッジへと変更。テンプのアガキ調整が0.01ミリ単位で調整可能となったことで、定期的なメンテナンスを行えば本来の機能と精度をほぼ永続的に保てるのだという。何十年、あるいは100年以上にわたって使い続けられるのは機械式時計ならではの大きな魅力だ。先に述べたように、ステータス性という表面的な要素以外に大きな魅力があるからこそ機械式時計はデジタルに支配された今の時代でもわざわざ購入する価値がある。Cal.3135は登場から30年以上が経っても時計業界において最高のムーブメントのひとつという評価を得ていることも付け加えておきたい。


0時をまたぐと同時に日付が一瞬で変わる機能は発売当時画期的だった。トリチウム夜光がまだ使われていた時代のモデルでもある。

完璧に均整の取れたデザインに気品のあるジュビリーブレスレットを備えたシャープなドレススタイル。オンオフ問わずオーナーにハイクラスな雰囲気を与えてくれる。

発見→即購入を心掛けたい〈ティファニー〉ダブルネーム

〈ティファニー〉のシグネチャーが入った本物の〈ロレックス〉を手に入れるのは今後ますます困難になっていくのは間違いない。〈ティファニー〉ダブルネームモデルは資産的価値の高さばかりに注目されがちだが、モノとしての美しさ、希少性、特別感の3点で頭ひとつ抜けている。滅多に市場に出ることがなく、もしどこかのショップで販売されても光の速さで売り切れてしまうため文字通り争奪戦になっているが、もし出会いがあれば迷わずゲットすることをおすすめしたい。もちろんその際は信頼のおけるショップで。
庶民でも頑張れば手に入るセミ・ヴィンテージのデイトジャストでありながら、実は〈ティファニー〉ダブルネームというのが最高じゃない?
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同じく〈ティファニー〉ダブルネームのサブマリーナやGMTマスターをフィーチャーした記事はこちらをチェック。
死ぬまで愛用できるシンプルな3針モデルのヴィンテージ・ロレックスも併せてご覧いただきたい。

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