A simple Rolex that you can use forever

あなたが死ぬまで愛用できるのは、シンプルな3針モデルのヴィンテージ・ロレックス

今も30年後もずっと愛用できるシンプルな〈ロレックス〉の魅力にクローズアップ。読めばきっと欲しくなるヴィンテージの3針モデルは、買い物としてももっとも賢い選択の可能性あり!


Written : LIVE IN RUGGED
Photo : HODINKEE

今〈ロレックス〉を買うならシンプルな3針モデルのヴィンテージこそが賢い選択?

「ロレックスバブル」と言われるほど空前の大人気が続き、常に品薄状態の〈ROLEX(ロレックス)〉。正規店では人気のスポーツモデルはもちろん、ドレスウォッチまで姿を消す異常事態が続き、並行輸入品やヴィンテージウォッチを取り扱うショップでは定価の2倍以上もの価格で売買されている。レアモデルが常軌を逸したプレミア価格で取引されるスニーカーブームに共通する状態が何年も続いているのは腕時計好きであれば嫌というほどご存じだろう。DAYTONA(デイトナ)SUBMARINER(サブマリーナ)のような超人気モデルは「ロレックスマラソン」と称される正規店行脚を毎日のように続ける猛者も続出するほど在庫が枯渇しているほどで、いまや〈ロレックス〉製の腕時計は世界でもっとも手に入れにくいファッションアイテムと言ってもいいほど。
デイトナやサブマリーナ、GMT-MASTER(GMTマスター)のような絶対定番のスポーツウォッチはいつだって手に入れたい憧れモデルであることは変わらない。でも、高騰しすぎた市場価格を冷静に見るととてもじゃないけど自分には買えない…と感じる方も多いのではないだろうか。よほどの時計マニアかお金にかなり余裕がある人じゃなければ手が届かないプライスになってしまったのが〈ロレックス〉のスポーツウォッチなのだから。
しかし、分不相応なほど高価なスポーツウォッチではなくもっと身近に素晴らしい腕時計があることを私たちはつい忘れがちではないだろうか。ヴィンテージのOYSTER(オイスター)やDATEJUST(デイトジャスト)なら、背伸びをせずに現実的な価格で手に入れることができる。そしてシンプルで洗練されたデザインは今も30年後も変わらずに愛用できる普遍的な美しさもある。流通量が多い定番モデルなので、万が一壊れてしまってもパーツが簡単に手に入る。つまりメンテナンス料で面食らうようなこともないはず。シンプルな3針の〈ロレックス〉の魅力を改めて振り返ってみよう。

1.究極レベルにシンプルな73年製のOyster Precision

まずは1973年製のOyster Precision(オイスター・プレシジョン)Ref.6426。「Less is more」を絵に描いたようなミニマルなデザインと作りは〈ロレックス〉が過去に作ったひとつの完成形だ。デイト表示もないため、この時計で知ることができるのは文字通り時刻だけ。ムーブメントは手巻きのCal.1225を搭載し、34㎜の小さなケースの中に納まっている。そう、巨大化してしまった現代の腕時計と比べると圧倒的に小振りな34㎜というケースサイズもこのモデルの魅力のひとつなのだ。必要以上に主張することは決してせず、ただひっそりとオーナーの腕もとに収まる…オイスター・プレシジョンはそんな控えめさが何とも愛しい。
清廉でクラシカルな文字盤を見てみよう。シルバーのサンバーストフィニッシュとサテンのタッチ、時刻を瞬時に判別できるバトンマーカーが完璧なハーモニーを奏でている。私たちはついスポーツウォッチにもれなく付いているタキメーターや回転ベゼルといったディテールに惹かれがちだが、本来腕時計ってこういうものでは?超ミニマルなデザインのオイスター・プレシジョンをじっくり眺めていると、30年後、自分がおじいちゃんになってからも当たり前のように身に着けている姿が想像できそうな気がしてくる。


まさに「Less is more」なルックス。王冠マークが大きく感じるほど小振りのケース径(34㎜)もファッションを問わずに合わせやすい。

手巻きムーブメントなのでケースの厚みも抑えられていて、身に着けていることを忘れてしまうほど快適な着け心地。


裏蓋には何も刻印が入らない。ちなみにヴィンテージらしさを強く感じる巻きブレスレットが付いていて、それ自体にも価値がある。

腕の太さに関係なく心地よく収まってくれる絶妙なサイズ感。それにしてもミニマルで素晴らしいデザイン!

2.ラグジュアリーさがほのかに漂う85年製のDatejust

続いて1985年製のOYSTER PERPETUAL DATEJUST(オイスター・パーペチュアル・デイトジャスト)Ref.6426。先に紹介したオイスター・プレシジョン比べるとずいぶんゴージャスな印象を感じないだろうか?モデル名にもあるように、オイスター・パーペチュアル・デイトジャストは堅牢なオイスターケースに自動巻きムーブメントを搭載し、日付表示を備えたモデル。〈ロレックス〉好きには説明不要だが、「デイトジャスト」の名の通り0時になる瞬間に日付が切り替わる画期的な機能でもある。
本モデルはステンレススチールのケースにホワイトゴールド製のフルーテッドベゼルが組み合わされた大人っぽさを強く感じる仕様。そしてもうひとつのポイントがブレスレットにある。〈ロレックス〉の多くのモデルにデフォルトで組み合わされる3連のオイスターブレスレットではなく、5連のジュビリーブレスレットが何ともゴージャス!スポーティーさよりもドレッシーな雰囲気が強くなるジュビリーブレスレットは男性がラグジュアリーに着用するのはもちろん、女性がメンズライクな要素を楽しむためのジュエリー的な付き合い方をするのも素敵だ。
36㎜のケース径は一般的な日本人男性の腕周りにベストなサイズ感で非常に収まりが良い。正面から見ると刻みのあるベゼルが光を反射して高貴な雰囲気をより一層高めていることが感じられるはずだ。自動巻きムーブメントはCal.3035を搭載。手巻きもいいけれど、より実用性を求めるなら身に着けているだけで勝手にワインディングしてくれるパーペチュアルムーブメントがおすすめだ。


こちらもドレスからカジュアルまでスタイルを問わず合わせられる完成されたデザイン。フルーテッドベゼルが高級感を高めている。

ぷっくりと厚みのあるプラ風防もヴィンテージウォッチならではの魅力。


自動巻きムーブメントを搭載しているため、オイスター・プレシジョンと比較するとやや厚みのあるケース。

ジュビリーブレスレットと相まってドレッシーな大人の佇まい。ストリート系ファッションに合わせて一点豪華主義を楽しむのもおすすめだ。

3.人と被らない個性を楽しめるグレータペストリーダイヤルの87年製Datejust

最後は1987年製のDATEJUST Ref.16030。2つめに紹介したデイトジャストが85年製であるのに対し、こちらは87年製のデイトジャスト。製造時期がほぼ同じなので作りとしては基本的に共通している。搭載されるムーブメントもCal.3035と同様だ。
先の2つのモデルと比べて一番分かりやすい違いは文字盤のカラー。灰色のタペストリー仕上げが施されたダイヤルは上品そのもの。黒よりもソリッドではなく、白やシルバーとはまったく印象が異なる落ち着いた雰囲気のグレータペストリーダイヤルはまさに大人のための逸品。規則的に並ぶ縦線がドレッシーさを強めており、ジャケットスタイルのようなかっちりとした着こなしの際に最大限に魅力を発揮するだろう。
ちなみに2つめのデイトジャストと決定的に異なる点があるのだけれど、お気づきだろうか?
実はこちらのデイトジャストはフルーテッドベゼルではなくエンジンターンドベゼル。細かい刻みが増えると時計自体の雰囲気も異なるので、好みに応じて選びたい。そして立体的で高級感のあるアワーマーカーもラグジュアリーさを増大させている重要なパーツだ。
グレータペストリーダイヤルは探してもなかなか見つかるものではないので、出会った瞬間が手に入れる時。一目惚れした方は出会いを大切に即ゲットを心がけていただきたい。


グレータペストリーダイヤル、エンジンターンドベゼル、立体的なアワーマーカーの3拍子でラグジュアリーなデイトジャスト。

細かい刻みが特徴のエンジンターンドベゼルは横から眺めても美しい。


裏蓋は2つめのデイトジャストと同様。自動巻きムーブメントが収まっているため裏蓋の中央付近がやや盛り上がっている。

腕周りをグッと大人っぽくするグレータペストリーダイヤル。デイトジャストのような洗練されたデザインと灰色の文字盤はいうっとりするほど相性抜群だ。

背伸びせずに手に入るヴィンテージ・ロレックスなら、今もこれからも毎日愛用できるはず

3針モデルと言えども、時代やモデルによってデザインも雰囲気も大きく異なるのが〈ロレックス〉の魅力。究極のシンプルを楽しめるオイスター・プレシジョンか、程よくラグジュアリーながら飽きの来ないデイトジャストか、レアで人と被らない洗練を極めたグレータペストリーダイヤルのデイトジャストか…もちろん本記事で紹介している以外にもヴィンテージ〈ロレックス〉は膨大な選択肢があるので、自分好みのモデルを探すのも楽しいはず。
スポーツウォッチとは違う大人の落ち着きと普遍的なデザイン、そして時代や流行が変わってもまったく影響を受けない永続的な魅力が〈ロレックス〉の3針モデルにはある。冒頭で述べたように、今も30年後も変わらずに愛せるモデルが必ず見つかるのがヴィンテージの3針モデルなのだ。モデルによって価格は変動するものの、多くがアンダー50万円前後で購入できる点も現実的で嬉しい。100万円以上出せば最高の腕時計が手に入るのなんて当たり前。50万円前後、もしくはそれ以下の価格帯で一級品を手に入れるのが健全で気負わずに楽しめる。
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