sacaiがSchottおよびMADSAKIとのコラボレーションを含む2022年秋冬コレクションを発表
1月24日(月)に発表された2022~23年コレクションおよび23年秋冬プレフォールコレクションのLOOK画像とともに、日本を代表するブランド〈sacai〉の美しい洋服をじっくりと見つめる。
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原点を見つめ直し完成した「sacaiらしさ」
〈sacai(サカイ)〉らしいハイブリッドデザインが前面に出たLOOK画像を見ていると、ファッションの未来はとてつもなく明るいのではないかと思えてくる。新型コロナウイルスの影響に約2年間も苦しみ続ける私たちの今とこれからの生活を冷静に考えると、正直に言うと明るい気分にはなりにくい。政治は頼りなく、格差社会はますます進行し、弱者は社会から見放されているような世の中に思えてくる。日本の未来は暗いものになるのではないか…そう心の底で思う人は今とてつもなく多いのではないだろうか。
しかし、コロナ禍が一層猛威を振るう今〈サカイ〉が発表したコレクションからは、少なくとも筆者は明るい未来を感じた。どのLOOKを見ても〈サカイ〉らしい。伝統的な洋服のセオリー・構造を大切にしながら大胆に再構築する作りと斬新で挑戦的なデザイン。トップスからボトムス、靴、そして小物までトータルで新しさと懐かしさを感じる不思議な雰囲気。誰が見ても〈サカイ〉そのものであるコレクションをじっくり眺めていると、変に聞こえるかもしれないけれど、心がホッとするのだ。
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とはいえ、決して次のシーズンの洋服が退屈なわけではない。むしろ逆だ。デザイナーの阿部千登勢さんは次のコレクションを作るにあたり、自己肯定感や自信を掻き立てる服、というブランドの根底にあるものを今まで以上に掘り下げたという。〈サカイ〉として洋服を作り続ける根源的な思想、言い換えるとピュアな本質のようなものを見つめ直して生まれたのが2022~23年コレクションおよび22年秋冬プレフォールコレクションとなる。
その結果、ブランドがデビューを果たした頃の洋服を思い起こさせるテイストが浮き出るデザインとなった。実際、阿部千登勢さんは初期のコレクションを振り返り、当時のデザインの特徴を再確認。そのうえで最新シーズンのデザインへと一部が受け継がれている。マスキュリンとフェミニンの間を簡単にクロスオーバーするような独特のデザインは本コレクションで初コラボレーションとなるアメリカ・ニューヨークの老舗レザーブランド〈Schott(ショット)〉と共同制作したライダースジャケットにも表れている。
また、ニューヨークと東京を拠点に活動するスプレーペイントアーティスト、MADSAKI氏とも初めてタッグを組み、アート感あふれるグラフィックとメッセージを洋服に落とし込むことに成功した。ジャケットやスウェットシャツの背面に描かれる「Sheeple Zombies and Kool-Aid」というメッセージの意味は、人が羊の群れのように集団でなければ行動できないこと、そして自由な考えが持てないことを風刺したもの。この意味深なメッセージはMADSAKI氏のペイントをプリントとエンブロイダリー加工で再現しており、ストリート感あふれるデザインで作られる。
その結果、ブランドがデビューを果たした頃の洋服を思い起こさせるテイストが浮き出るデザインとなった。実際、阿部千登勢さんは初期のコレクションを振り返り、当時のデザインの特徴を再確認。そのうえで最新シーズンのデザインへと一部が受け継がれている。マスキュリンとフェミニンの間を簡単にクロスオーバーするような独特のデザインは本コレクションで初コラボレーションとなるアメリカ・ニューヨークの老舗レザーブランド〈Schott(ショット)〉と共同制作したライダースジャケットにも表れている。
また、ニューヨークと東京を拠点に活動するスプレーペイントアーティスト、MADSAKI氏とも初めてタッグを組み、アート感あふれるグラフィックとメッセージを洋服に落とし込むことに成功した。ジャケットやスウェットシャツの背面に描かれる「Sheeple Zombies and Kool-Aid」というメッセージの意味は、人が羊の群れのように集団でなければ行動できないこと、そして自由な考えが持てないことを風刺したもの。この意味深なメッセージはMADSAKI氏のペイントをプリントとエンブロイダリー加工で再現しており、ストリート感あふれるデザインで作られる。
〈Schott〉、そしてMADSAKI氏を新たなパートナーに選び、〈サカイ〉のクリエイションはよりオリジナリティあふれる方向へ
日本とヨーロッパを主戦場に戦うブランドだけに、〈LEWIS LEATHERS(ルイスレザーズ)〉ならまだしも、アメリカンブランドである〈Schott〉とタッグを組んだのは少し意外だった。でも、LOOK画像を見ると当然のことながら違和感などはまったくなく、見事なほど「〈サカイ〉の洋服」に化けている。もちろん〈Schott〉らしいタフでルードなテイストも残っているのだけれど、毛色の異なるブランドの素材をベースにしながら、自分たちらしいデザインに生まれ変わらせてしまう天才的な才能とスキルに感動すら覚えてしまう。この圧倒的なバランス感覚は継続的に作られている〈PORTER(ポーター)〉とのコレクションにも通じるものがある。
〈Schott〉およびMADSAKI氏とのコラボレーションアイテム以外も、見事なほど〈サカイ〉らしいデザインに。テーラードスーツにスノーボードウェアのようなスポーツテイストをミックスさせたモノや、取り外し可能なライニングを巧みに組み合わせたコートなど、ひとつひとつが夢の世界と現実世界の架け橋になるような独創性にあふれている。毎日着用できるリアルクローズに〈サカイ〉らしさを注入したこのバランス感覚よ!凄すぎるじゃないか。
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日本のファッション業界はきっと明るい
ゆったりとした形状のトップスはオーバーサイズシルエットというトレンドに乗ったものではなく、あくまでも〈サカイ〉らしさを追求した結果。幾重にも重ねるようなプラスのデザインとパターンメイキングや秋冬らしい重厚な素材、それでいてアイテムによっては空気をはらむようなエアリーな軽やかさがあり、どのLOOK画像を見ても〈サカイ〉らしさがたっぷりと詰まっている。目玉は〈Schott〉やMADSAKI氏とのコラボレーションになるのかもしれないけれど、言うまでもなくそれ以外のアイテムも私たちがこのブランドに求めるすべてが完璧な形で反映されていることが分かる。
世の中が暗く閉塞感が漂っており、「不要不急」のファッションはつい脇に置かれがちのように感じることもあるコロナ禍の現在。店舗が閉店するニュースを目にしては暗い気持ちになる方もいらっしゃるだろう。でも、日本のファッション業界には〈サカイ〉のようなブランドがある。世界が驚くクリエイティブで日本のファッションを引っ張ってくれている〈サカイ〉がここまでパワフルな洋服を作ってくれているのなら、きっとこれからの未来は明るいはずだ。
世の中が暗く閉塞感が漂っており、「不要不急」のファッションはつい脇に置かれがちのように感じることもあるコロナ禍の現在。店舗が閉店するニュースを目にしては暗い気持ちになる方もいらっしゃるだろう。でも、日本のファッション業界には〈サカイ〉のようなブランドがある。世界が驚くクリエイティブで日本のファッションを引っ張ってくれている〈サカイ〉がここまでパワフルな洋服を作ってくれているのなら、きっとこれからの未来は明るいはずだ。
LIVE IN RUGGEDがお届けする〈サカイ〉の記事はこちらから。
洋服への深い愛情を感じるDIORとsacaiの歴史的なコラボレーションも改めてチェックしてみよう。
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